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過去との対峙
「よくぞ戻られましたね」
「命からがらじゃったよ」
相変わらず、ベゴニアにはお茶を入れないらしい。さすがの俺もそろそろ我慢の限界が近い。
「では、約束です。こちらへどうぞ」
連れて行かれたのはとある一室。正方形の部屋に吹き抜けの二階。床には大きな魔法陣。
「ここに、宝珠を」
アルテミスの言う通りに宝珠を置く。吹き抜けの二階に人…もとい天使が入ってくる。
「一つ、ここまでしておいて確認してもよろしいですか?」
「はい、どうぞ?」
「記憶を戻すという事は、過去と対峙するという事。発狂し、下手すれば心も失われてしまいます」
「そんなこと、大丈夫ですよ。俺には支えてくれる仲間がいますから。きっと発狂しても支えてくれるでしょう」
「他力本願なんですね」
「否定はしませんよ。ここまでもそうでしたから」
「覚悟は、変わらないようですね。よろしい…さぁ、この魔法陣に魔力を!」
「「「「やぁぁぁあ!!」」」」
頭に記憶が流れてくる。…深く…深く…眠るように落ちていった…。