魔王城の残党
「ヴォーチェ、魔王城まで頼む」
「ですが、あそこはまだ奴隷商の残党が…」
「なに、構わん」
「…分かりました」
船が動き出す。魔王城は浮遊しているため比較的天界からも近い。魔力は十分足りるじゃろう。
「ベゴニア、大丈夫じゃったか?」
「はい?なんでですか?」
「いや…まぁ、気にしてないのなら構わんが…」
そうとう酷い待遇を受けて…さぞ辛いじゃろうに
「さては魔王様、私の待遇について気にされているのですか?」
「まぁ…そんなところじゃ」
「気になさらなくて構いませんよ。私の撒いた種です」
「…そうか…すまんな」
妾の勝手なお願いで…この者の生涯を狂わせてしまった
「謝らないでくださいって…言うなら、ありがとうでお願いします」
「そうか…ありがとう、ベゴニア」
「お褒めに預かり光栄です、カトレア様」
こうして妾とベゴニアとヴォーチェは魔王城へ向かった。
「良かったのですか?ギューフ様を置いてきて」
「構わんよ。怪我でもされたらたまらん」
「それもそうですね」
※
魔王城城門
「変わっとらんな、何一つ」
「そうですね、乗っ取られたのが嘘のように」
「乗っ取られる前もこんな感じだったのですか」
城門に敵がいない事を確認して船を降りる。
「さて、ベゴニア。行くとするかの」
「はい、カトレア様」
「行ってらっしゃいませ…どうか、ご武運を」
「うむ」
魔王城に足を踏み入れる。庭を抜け、扉の前へ。
ギィィィ…
扉を開ける。妾とベゴニアが中へ入る。
バタンッ!
「!?…閉じ込められたようですね」
「まぁ、そうなるじゃろうな」
さて、鬼が出るか邪が出るか。
「やっほー!久しぶりだね!魔王!」
ッターンッターン
「魔力防壁…久しいのう、麻痺弾の銃士」
「ミイナだよ!覚えてから死んでほしいかな!」
ッターンッターンッターン
「単調ですね。魔力防壁も最小限で何とかなりそうです」
「あっちゃー…やっぱダメかー。天使もいるとなると厳しいかなー」
「諦めて降参という手も許してやっても良いぞ?」
「私達としては降参して貰った方が楽なのですがね」
戦うとなると往復の船の魔力が足りるか分からん。
「むー、諦められないんだよね、これが」
カバンをガサゴソと弄る。
「あったあった。これ貰ってるから、絶対討ち取れと命令だからねー」
「なっ…理破りの宝珠」
「ピンポーン!せいかーい!ぱちぱちぱちー!」
パリンッ
「さて、本戦、開始だよ!」