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少女達の奏でる夢想曲  作者: まぐろどん
13章 天界 ベゴニア編第1部
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大天使

妾達は天界へと向かっている。天界は竜宮城の逆で、時間の流れが極端に遅くなる。移動時間次第で日帰りも可能というわけじゃ。妾が地上に降り立ち、天界へと戻らなかったのは理由がある。1つはいくら妾でも往復するだけの魔力が無いこと。もう一つは連れ戻される危険性があったこと。片方はベゴニアの魔力を借りて解決した。もう片方は危険を顧みずに門を開いたベゴニアが有罪となった。それは納得いかん、理不尽じゃ。無罪を訴えたい。それだけで理由としては十分。じゃから、今妾達4人は船に乗っている


「なぁ、カトレア?」


「なんじゃ?」


「あいつ、ホント声帯どこにあるんだ…?」


「本人が…いや、本魔が隠したがっておるんじゃから言えん」


「俺はまだ、あいつに苦しめられるのか…」


船の操縦士の元へ向かう。


「いつもご苦労じゃの。褒美をやろう。何が良い?」


「いえ…私はこれしか出来ませんので…」


「そう言わずにじゃな」


「でしたら…これからもこの仕事をさせてください…私はこの仕事が好きなので…」


「そうかそうか!良いぞ、これからも宜しく頼む!」


「あ…ありがとうございます」


声帯が何処にあるか分からない骸骨の魔物は笑顔を浮かべ、感謝を言ってくる。感謝するのはこっちの方じゃのに…。


「でも、それだけでは申し訳がないのぉ…そうじゃ!名前なんてどうじゃろう?」


「いえ…私は骸骨という特徴だけで十分で…」


「これからお主はヴォーチェじゃ!魔王の決定じゃぞ?断れるわけがなかろう?」


「…!ありがとうございます…ヴォーチェ…大切にします…」


こうして妾は操縦士の元を去る。あと…2.3時間ほどじゃろうか…ベゴニアの方へ向かう。


「ベゴニアー?」


いない…


「ベゴニアー?」


やはりいない…置いてきたのかのぅ…


「いたいた!おーい!ベゴニアー!」


そこには天を見上げ立つベゴニアの姿。


「あと少しで到着ですね」


「そうじゃな。して、何故お主はそこに?」


「万一天使に勘づかれた時、交渉、もとい実力行使のためですね」


「なるほどのぅ…む…」


とてつもない魔力が近づいてくる…。この魔力は…


「ここから先は天界です。神聖な土地へ入り込むのはどこの輩ですか」


大天使、アルテミス。ギリシャ神話から譲り受けた名らしい。陽は妾達の後ろにある。つまり、向こうから見れば逆光。分からなくとも無理はない。


「妾は魔王、カトレアじゃ。汝等と話がしたい」


「なるほど。魔王でしたか。先程の無礼をお許しください」


「ふむ…そこまで警戒されるとは思っておらんかったでのう。何かあったのか?」


「立ち話もなんですから、中はどうぞ。案内いたします。」


大天使はくるりと後ろを向き、進み出す。


「ヴォーチェ。大天使についていけ」


「了解致しました」


船のどこからでも操縦席とは連絡が取れる。これはとても大事なポイントじゃからな。

その隣にいたベゴニアの顔は、苦虫をすりつぶしたような、そんな顔をしておった。

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