違和感
「ふぅ、ようやく追いついたよ、黒猫」
「遅かったね、ニシシ」
「心配してたんですからね、アーチュさん」
「あぁ、済まない」
「おや、珍しいね、そんな事するなんて」
んー…どこか違和感を感じます…
「今日の料理当番は私だったかな。何か食べたい物はあるか?」
「私、ハンバーグが食べたい!」
「リタがそう言うなら、私もそれで頼む」
「わかったよ、ハンバーグね」
やっぱり…何か違和感があります…
「ちょっと疲れたや…休憩するか…」
「そうですね…ヘトヘトですぅ…」
「む?そうか?なら分かった。」
「おい、お茶」
「はいはい、分かったよ、黒猫」
「はい、ありがとう…どこの誰か分からない人」
バシャァ!!
「ちょっ!?黒猫さん!?いくらアーチュさんが嫌いでもやり過ぎですよ!?」
「はぁ?こいつが?アーチュ?」
「…プハッ…なんだ…私はアーチュだが…」
「おぉ、確かに…素晴らしいコスプレだね。コスプレって気づかなかったよ」
「だから、言い過ぎですって!黒猫さん!」
「む、怒ってくれるのはありがたいが、そこまで私もイライラしていない。心配するな」
「モノ」
サクッサクッサクッサクッ
アーチュさんの四肢を固定します。
「はは…なんの真似だ?」
「今更しらばっくれるの?で?あなたは誰?」
「やり過ぎですよ!…今抜きますからね…」
黒猫さんの手で制される。
「私はアーチュ「もういいですよ。私達の負けです」
「…え?」
「やはりキミか…ロベリア。情報集める中で1番黒いやつ。集めるのは吐き気がしたよ」
「あら、それはどうもぉ…聞かせてくれない?なんで分かったのかしら?」
「うーん…情報料は?」
「1つの情報につき、1つ、私の血のフラスコを捨てましょう」
「うーん…よし、契約成立だ。ただし、捨てるものは私が選ぶ。異論はないな?」
「えぇ、問題ありません」
「なら、主なのは3つ。1つ目に、茶の色や匂いが普通だった。奴の茶の色や匂いは独特なんだ…いや…ホントに独特なんだ…誰にも真似できん。さて、1つ目。…この血を捨てるよ」
パリン!試験管が割れる。
「2つ目に夕食。私が当番の日はまっずいまっずいオムライスを作るんだ。ハンバーグがいいなんて、奴は決して言わない。ほら、割らせろ」
パリン!
「最後は呼び名だ。奴は私を黒猫と呼ばない。…なんと呼ぶかは伏せさせて貰うよ」
「あら、それは残念」
「ここまで言っただけ感謝して欲しいね…これでいいか」
パリン!
「さて、本日は私の負けですわ。いずれまた…」
「会わないことを切に願うよ…ニシシ」
こうしてロベリアさんは闇へと消えていった。
「あのぉ」
「なんだい?リタ」
「ホントに理由それだけでした?いつ頃気づいたんですか?」
「おっと質問は1つずつだ。どっちの事の答えか分からなくなる時がある。注意した方がいい…と、リタのご主人様にも言った事があるね…ニシシ」
「あ、すいません!では、いつ頃気づいたんですか?」
「ん?あぁ、一眼見て分かったさ」
「それは何故…?」
「私は奴の立ち方、角度、左右対象かどうか、目の奥の色、声色、その他全てを覚えた。言ったろう?コスプレとすら思わなかったって」
「…なるほど…私では敵いそうに無いですね…」
「シシ、リタはいずれ私を超えるかもしれない。キミの目はいい目だ。希望に溢れている」
「でしたら、この希望はご主人様がくださったものですね」
「シシ…さすがギューフだ」
こうして偽物は追い払い、無事、拠点へと足を運ぶのでした。
「おーい!大丈夫かー!?」
アーチュさんが走ってきます。
「遅い!私を待たせるとは何事だ!」
「む!」
黒猫さんはお茶をアーチュさん目掛けてかけつける。しかし、アーチュさんはそれを避ける。
「何をする!アンスール!」
「シシ…本物だね」
「…絶対気付いていただろう…」
「当然さ、私を誰だと思っているのかな?」
「アンスールさ。私の信頼のおける理解者だ」
「さて…奴の能力とか、その足の話、してくれるよな?」
「あぁ、帰りながら話をしよう」
そして数分前に遡る