【ショートコント】('A`)はエーミールを考察するようです【SS】
キーンコーンカーンコーン
(;^ω^)「あー今日はテストだってのに全然勉強してないお」
('A`)「お前ほんと勉強しないな。どうせ家でゲームばっかやってんだろ」
(#^ω^)「おぉん?決めつけは良くないお!」
('A`)「じゃあ何やってんだよ」
( ^ω^)「ゲーム!」
('A`)「てめぇぶっ殺すぞ」
( ^ω^)「どうしよーこのままじゃ赤点だおー補習だおー」
('A`)「……はぁ、しょうがねぇな。テスト範囲の部分、ちょっと教えてやるよ」
( ^ω^)「……ほう、面白い。やってみせよ」
('A`)「君死に給へ」
('A`)「今回のテスト範囲は、著ヘルマン・ヘッセの『少年の日の思い出』だ」
( ^ω^)「エーミールがウザいやつだお」
('A`)「あぁ、確かにエーミールはウザい。主人公が作ったコムラサキの標本を見て『下手だなぁ~(笑)。これじゃ20ペニヒくらいかな?(笑)』とか吐かすぐらいにはウザい。10歳くらいのガキでこの性格はウザい」
( ^ω^)「ウザいわ~。なまじっか実力があるのがウザいわ~。自分が評価する側に立ってエクスタシー感じてるのが丸見えだわ~。」
('A`)「そして彼の存在感を確固たるものにしているのが、このセリフ……」
('A`)「『そうか、そうか、つまり君はそんなやつなんだな』」
( ^ω^)「贖罪を求めている主人公にこの仕打ち……これぁ、エーミール何人か殺ってますよ……もちろん、自分の手は汚さずにね」
('A`)「しかぁし!エーミールが血も涙も無い虫のような人間になってしまったのには、深い事情があるのだ!」
(;^ω^)「なんだって!?そいつぁ真か?」
('A`)「然り。エーミールは先生の子どもなんだ」
( ^ω^)「先生って、学校のかお?」
('A`)「たしかな。先生の息子として育てられたエーミールは、いつでも品行方正でいるように、完璧を求められてきたのだ」
( ^ω^)「無理だお。どこでもいつも誰にでもいい顔なんてできないお」
('A`)「『しっかりしなさい』『お父さんに恥をかかせてくれるなよ』『常にトップ、それが掟だ』『……こんな簡単な事もできないのか』常日頃、父親からプレッシャーを与え続けられて、彼の幼く柔らかい心は歪になってしまった……」
(#^ω^)「くっそぉ!先公めぇ!エーミールが!子どもが本当に欲しがってるモノはそんなものじゃねぇ!親の!愛だろうが!」
('A`)「そう……エーミールが父親からの重圧に耐えられたのは、『認めてほしかったから』……しかし、父親が彼を認めることは無い。なぜなら、完璧など彼にとっては『当たり前』だから……」
('A`)「やがてエーミールは父親と同じ様に、常に自分は上に立つものであると思い込むようになる。しかし、それも仕方のないこと、彼の世界の全ては父親なのだから……」
(#^ω^)「哀れなりエーミール!君は!そうか!つまり君は!そんなやつだったのか!」
('A`)「以上が、少年の日の真実だ」
( ^ω^)「そうだったのかお……思い出に隠されていたのは、歪んだ親子関係生んだ幼い少年の心の傷だったのかお……」
('A`)「さて、テスト始まるぞ」
( ^ω^)「っしゃ!これで赤点回避だお!」
('A`)「う~ん……無理じゃねぇかな」
(;^ω^)「え?なんでだお?」
('A`)「俺も全然勉強してないもん」
( ^ω^)「そうか、そうか、つまり君はそんなやつなんだな」