英雄たちの村
「どうしましょう、ニンゲンがいる場所はどこかしら」
フィリアナは絶賛迷子中だった。そもそも、ヴィリーオ国がある大陸はこの世界でまだ見つかっていない。ギルカリア大陸は危険な魔物が多い樹海に近く、誰も近づかないのだ。
今も、凶悪な魔物がフィリアナに襲いかかっているのだが、全てをことごとく返り討ちにしている。
危険な樹海も、フィリアナにとっては子犬がじゃれてくる場所くらいでしかない。
(この手はあまり使いたくないのだけどね…リサーチ。)
ついに魔術を使って、ニンゲンがいる場所を検索する。
すると、すぐにニンゲンがいる場所が分かる。そこまで行くことにした。
やっと着いたところは、小さな村だった。
もうお年寄りしかいないような寂れた村…
のように見える。しかし、その正体は歴代の魔王を討伐した英雄たちの住む村だった。
そんなことは知らないフィリアナは喜んで村に入る。
村には指一本で岩を割ったり、欠損していた腕がすぐ治るなどのほのぼの(?)した光景が繰り広げられている。怖い。
「あれ!お客さんじゃないか!」
村の入り口にいた、優しそうな感じのおばあさんが声を掛ける。
…おばあさんは、大魔法使いマリア。その魔法は古代の魔術に匹敵するとか。
「珍しいな。嬢ちゃん、どうした?」
…こちらのご老人は勇者シロー。過去に異世界から召喚された勇者である。
村に住む人々は規格外。常識人ならぶっ倒れるだろう。
そこは、さすがフィリアナでまったく驚いていない。
いや、今フィリアナはというと…
(つ、翼がない!耳が尖っている!?どうなっているのかしら、研究したい〜!体は弱そうね…実験して…
いやいや、相手はご老人よフィリアナ。落ち着きなさい。)
めちゃくちゃ興奮していた。引くほど。
そして、どこをどう見たら鍛え抜かれた肉体を“弱そう”と言えるのだろうか。
ご老人でなくとも、人体実験はダメだろう。
「いやー久々に人きたなぁ。」
「こんなに綺麗な子見たことないのぉ」
「ゆっくりしていってね」
ついにフィリアナの我慢の限界がきた。
「ニ、ニンゲンですの!!こんな感じですのね…よく見せて下さいな!背中とか!」
変態っぽい。
「お、おお?嬢ちゃん何族だ?」
「はっ!コホン、翼人ですわ。ヴィリーオ国王女、フィリアナと申します。」
我に返ったフィリアナは優雅にお辞儀をする。
勇者たちは、タジタジだ。
「翼人って…そんなのおとぎ話の中の存在よ…」
歩く伝説が何を言う、聖女様。
「ああ、翼人はかなり外に出ていないんですのよ。」
「それで、翼人の王女様がどうして?」
「それは、」
かくかくしかじか。
「なるほど。人族や獣人に会いたいなら、王都へ行ったらどうだ?」
勇者は語る。
「ほら、いろんな種族がいるし。
あと少しで学園の試験もあるしな。学園に行けば沢山の事を学ぶことができるだろう。」
「学園…。行ってみたいですね。
あ、教えていただきありがとうございます。」
「おう。んーでもな…翼人ってことは言わない方がいい。知られたら面倒くさいし。」
「?分かりました。」
フィリアナは優しい英雄たちに普通の服をもらって、張り切って村を出発した。
ヴィリーオ国以外にはないような規格外ドレスだったから。
魔術:世界を改変させる
魔法:魔力を変換させる
やっぱ魔術の方が強いです。古代の人々はヴィリーオ国(翼人)と同じく魔術を使っていました。
気分で投稿しています。ごめんなさい。