決定
「お母様!」
「まぁ、フィリアナ落ち着きなさいな。どうしまして?」
王妃・ベルリンナは優雅に紅茶を飲んでいた。
フィリアナは深呼吸をして、話をきりだす。
「国の外へ出ようと思うのですわ。」
「あら、いきなりですこと。」
そう言いながらも、まったく驚いていなさそうなベルリンナ。
いつか言い出すと思っていたのだ。
「なるほど、一人で行きたいのかしら?」
「ええ、いろいろな国を見てこの国に生かしていこうと思うのです。」
「ふむ…いいわ。お父様にも聞いてごらんなさい。」
話を聞いて、ベルリンナはとりあえずは賛成した。
「ありがとうございます、お母様!」
「ええ、ええ、頑張りなさい。」
なんだかんだで、フィリアナには甘い。
フィリアナとベルリンナは王の執務室に入る。
「おや?どうしたんだい?」
国王・クレイは愛妻と、愛娘の姿を見て笑顔になる。
「お父様、実は…」
「うーん…いいだろう。まだ即位するまで時間はあるしな。楽しんでおいで。」
「やったあ!ありがとうございます、お父様!」
フィリアナはクレイを抱きしめる。
最近、反抗期であるフィリアナに抱きつかれて、父は嬉しかった。
「ええと…空間魔術で1年は暮らせる食料を持って…。ああ封印の魔方陣もよね…。」
いろいろ、こっちの世界ではあり得ない感じの準備が完了した。
「えっと、……。封印もOKね。」
封印では、翼と力を封じた。
外では必要ない…とあの本に書かれていたからだ。
ちなみに魔術は、あのこっぱずかしい詠唱(我の力を封じよ!……みたいなやつ)はいらない。
魔方陣を頭の中で処理すれば効果がある。自分で作ることもできるのだ。多少センスがないと無理だが。
フィリアナは新魔術を作ることが、とてもうまいのだ。
つまり、天才なのだ。
準備を終えて、未来に想いを馳せる。
笑い顔を隠そうとするが…
「いいわ。とってもワクワクしてきましたわ」
フィリアナのニヤニヤ笑いは隠せていない。
「ふふふ、楽しんでおいで。恋人つくってきてもいいですからね。」
とベルリンナ。
「なに!いやいやだめだろう!きちっと報告しなさい。ちゃんと100年経ったらもどってくるんだよ。」
とクレイ。
「やはり、お一人でいくのですかぁ。連絡してくださいね!」
とメアリ。
「頑張ってきてください!」
と国民達。
「行ってきますわ!」
「「「行ってらっしゃい!」」」
大勢の国民におくりだされ、フィリアナは旅だった。
全然「おっとり」じゃないですね(笑)