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CINDERELLA  作者: もと
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01:ばれちゃいけない秘密

ちょっとポップでラフな感じの小説です。

ラフに読んで頂ければ嬉しいです。

兄貴が住んでいたアパートに転がり込んだのは数ヶ月前のこと。


アパートといっても2LDKで結構良い感じの部屋なんだ。


兄貴と一緒に住むってのもどうかと思ったけど、仕事先はこっちにあるし、家を探す手間も省けるし、なんて思ってたんだ。


ところが、俺が来てから兄貴はさくっと家を出ていくことを宣言した。まあ別に寂しいわけでもなんでもないし、むしろラッキーってくらいの話なんだけど。当の兄貴は、彼女と同棲するんだなんて嬉しそうに言ってたけど、要するに彼女の家に転がり込むってことなんだ。俺と一緒で。


そんなわけで、快適な2LDKは俺のものになったんだけど、面倒だからっていって、名義は兄貴のままになってる。家賃は兄貴を通して俺が払うってことになって、今に至ってるわけだ。


まあそれは良い。それは良いんだ。


問題は、やっと快適になったはずのそのアパートに、今度は同居人がやってきたってことなんだ。



ことのはじまりは数週間前。



久々に兄貴から連絡があって、一体何かと思ったら、

「一日だけでいいから友達泊めてくれ!」

という事情だったわけだ。


仕事から帰ってくるのも遅いし、一日だけだったらまあ良いか、なんて思って気軽にOKしてしまったら、あろうことかソイツは、そのまま家に居座るようになってしまったんだ。


最初の夜。


仕事から帰ってくるとドアの前に男が立ってて、ああ、こいつが例の友達か、なんて思って家に入れた。勿論、違う部屋に収納だ。で、朝起きたらもう既にソイツはいなくて、兄貴から電話がかかってきた時は「もう帰ったよ」と問題なく答えたのだが、その夜になってまた男がドアの前に立っていたというわけ。


挙句の果てには「同居させてくれ」ときたもんだ。


まったく呆れるやら何やら…。


本当だったら兄貴に連絡して、こんなわけのわからん状況とはおさらばって言うのが当然なんだろう。多分そうなんだ。でも、俺はそれをしなかった。というか、そうしたくなかったんだ。



だって、一目ぼれだったんだ。



いや、違うか?

最初の夜はなんとも思わなかったから、二目惚れかな?

まあどっちでも良いや。


とにかく、俺はその男に惚れてしまったわけで…だから、兄貴には内緒で同居をし続けてるってわけだ。幸い、同居人は兄貴とそれほど連絡を取ってないらしくて、最初の日の夜はたまたま連絡を取ったというだけだったらしい。


兄貴には絶対に言えない。

それどころか家族にだって言えないよ。

いや、友達にも言えないかも…。


だって、こんなことを言ったら馬鹿にされるに決まってるんだ。それを分かってるから言えないし、ぶっちゃけた話、自分でも自分のことを気持ち悪いとさえ思ってる。



でも…あいつを見てるとドキドキするんだ。



ドキドキなんて乙女が使う言葉だろうが!って思うけど、本当にそうなんだから仕方が無い。認めたくないけど、体が勝手にそうなってるんだ。こんな気持ちになるのは、もしかしたら生まれて初めてのことかもしれない。


俺は、こんな自分の気持ちすら、誰にも言えないんだ。

毎日毎日、秘密ばっかり持ってる。

秘密を抱えたまま、このアパートにいる。


だけど秘密がばれたら、あいつの傍にはいられない。それに、あいつは俺を軽蔑するんだと思う。こんなヤツが俺を好きなのかよ?って。


それは嫌だから…だったらせめて傍にいれれば良いかな、なんて思ってる。


バレちゃいけない。


バレちゃいけないんだ。


あいつのことが好きだということも。




そして…俺が女だっていうことも。





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