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フール  作者: 叢雲弐月
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01 

『汝らのうち何人も血をくらうべからず。』





『その時私は、彼の手に一冊の小さな書物があるのを見ました。


 黄ばんだ古い羊皮紙、流麗に綴られた金の文字。


 表紙には、Tの文字が。


 私はそれを、『Tの書』とひそかに呼んでいました。』





『アレクサンドリアの図書館が、炎と共に灰燼に帰した時、ある一冊の本がばらばらの断片にされ、奇妙な記号と共に、ある者の手に残された。


 彼は断片を元に、それを一組のカードに仕立てた。


 たくさんの秘密、深遠なる英知、永遠の生命、そういったものを、カードの絵の中に暗号のようにちりばめながら。


 象徴的な記号、思わせぶりな絵。


 ちりばめられた秘密は、宝石のように輝きながら、人の目をくらませ、欺く。


 ばらまかれた絵カルタ。


 今では誰もがそのカードのことを知っている。


 知っているのに、誰もが元の秘密を知り得ない。


 そのくせ、未来を知る手掛かり、運命の鍵を気まぐれでさし示し、人々を右往左往させる。


 二十二の大アルカナ、五十六の小アルカナ。


 カードの名は、『タロット』。


 世に流布され、蔓延したあげく、踊らされる人々。秘密を人目にさらしながら、当り前に日常に存在し、かえって目隠しをしている。


 我々の目は、いったい何を見ているのだろう?』



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