-戦国時代の武士ってすぐ刀抜くよね-
隣の部屋を開けると、原野が広がっていた。
後ろを振り向いたらドアがなかった。
もう現実を受け入れかけてる自分がすごいと思ったけど、ここでなにすりゃいいんだ。
-ここは北海道の函館、安東家の領土よ。今はアイヌと戦争中ね。あんたの目的は北海道から全国統一!天下統一!はりきって行ってみよー!-
「あの、姉ちゃん?」
-ん?なに-
「天下統一って信長とか秀吉とか家康がやったやつ?」
-そーよ。タイムリミットはジャスト100年。ちなみに今は1457年。だから桶狭間の戦いが起こる前に天下統一してね-
ああ、もういいよ。やるよ。完全に流された。姉に流された。主体性のない奴隷のように流された。
まじか、姉ってこんなんか。
戦国時代のことは知ってるけど、確か応仁の乱が起こったのって1467年だよな。
厳密にはまだ戦国時代は始まってないってことか。
なにから始めたらいいんだろう。
「姉ちゃん、なにから始めたらいいの?」
-頼るな!ノーヒントだ!ガンバレ弟!-
まじか…
えーと、こういう場合、戦で武功を立てて領主に気に入られるとかが近道かなぁ。
とりあえずお城?みたいなところ探すか。
原野を見回してもそれらしいものはない。というか道がない。
やばい、悲しくなってきた。
俺、メンタル弱いのかなぁ。マジで泣きそうだよ。
そんな気落ちした気分で立ち尽くすなか、馬の走る音が聞こえてきた。
あれは、多分、、、武士だ!ていうか人だよ。
「すいませーん!ねえ、ちょっと、こっちでーす」
近づいてきた。しまった、悪い奴だったらヤバいじゃん!
「なんだ、貴様。アイヌのものか?妙なナリをしておる。怪しいやつだな」
「あ、いや、そういうのじゃなくてですね、普通の学生っていうか、、、そのお城ってどちらにあるかご存知ですか?」
「城?城なぞないが、ひょっとして館のことか?」
「あ、それです。ここの一番偉い人の家っていうか、ほら、そういうところって町があるじゃないですか?そこに行きたいんですけど」
しばらく沈黙が続く、あれ、なんかヤバい空気?
馬から降りた武士は、
「縄につけ!怪しき者は捕らえよとの命を受けておる!」
「えっ、ちょ、待って、そんな怪しくなんかないって!」
「命に従わぬなら、斬る」
キラリと光る日本刀!
抜いた~!抜いたよ!この人、刀抜いたよ!
「え、ちょっと待って!なにそれ、捕まらないなら殺すってこと!」」
「そういっておるだろう!」
わ、わかった。じゃあこうしよう。
「つ、捕まる!黙って捕まるから!刀締まって!とりあえずソレ!刀、しまいましょう。ね?」
「む、そうか。物分かりの良いやつ。待っておれ」馬から縄を取り出そうとする武士の一瞬の隙をついて、馬に石を投げた。
気が動転した馬は、鳴き声をあげて去っていく。
今だ!
走れーーーー!!!!
早い、俺の方があのオッサンより早い!
足早いほうじゃなかったけど、なんか凄い早く走れる。これって改造されてるから?すごい体が軽いんですけど。
森の中に逃げ切ったとき武士はこちらを探すのを諦めたようで、馬を探しに戻って行った。