【第5話】わがまま魔道士、暴れます
大図書館の町、ナレッジは、平凡な朝を迎えた。
『依頼?』
「えぇ、あなた達にはこれから依頼を受けてもらおうと思ってるわ」
ソフィアは依頼について説明を始めた。
「依頼とは、現在困ってる人達を助ける活動よ。成果次第では報酬が貰えるから訪問者にはオススメです」
「どうやってその依頼とやらを受けるんだ?」
「ここから少し離れた所にギルドがあるからそこで受けることができますよ」
「まぁ元の世界に戻るには人助けする必要があるし、俺にとっては一石二丁な訳だな」
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【依頼】わがまま魔道士を懲らしめて
依頼人:黒猫の父
「最近うちの娘に魔術を教えたら調子に乗って周りの建物を次々に壊して私達じゃ手に負えません。どうか娘を懲らしめてやって下さい。(若さって凄いな)」
報酬:昨日の晩飯の残り
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彼らは依頼を受け、ナレッジから少し離れた村へと移動した。
「それにしてもこんな危ない少女どうやって懲らしめるのさ」
エリカは無茶振りな依頼について文句を言う。だがそれも無理はない。特に戦闘力もない2人が建物壊すやべー奴を懲らしめるわけだ。RPGで例えるなら初期レベルでラスボス級を倒す感じだ。
「そんなの決まってるだろ」
自信満々そうにマサルは拳を合わせ、その後右手の拳を掲げて答えた。
「拳で」
2人は依頼人の家らしきものに着いた。「らしきもの」という表現も無理はない。依頼人の家も跡形もなく壊れていた。そして、近くに依頼人だと思われる人(猫型の人)が倒れていた
「大丈夫?」
「だ、大丈夫だ、問題ない。ちょっと怪我しただけだ」
傷だらけの依頼人は今にも意識を失いそうな状態だった。
「君たちは依頼を受けて来たのか、気をつけろ、娘は近くにいる。ちなみに奴の弱点は…」
その瞬間近くが爆発した。その爆発は轟音と共に声を掻き消していった。奴が現れた。
「うちの娘を…頼んだぞ」
依頼人は意識を無くし静かにまた倒れた。そして奴は2人を見つけた。
「わははっ、君たち誰?私はアンリエッタ。」
2人は恐怖で硬直した。いざ化け物を目の当たりにして恐怖は更に上がっていた。
「ほ、ほらマサル、そ、その拳で懲らしめてやりなさいよ」
「な、何言ってるんだ、こんな拳でどう闘えって言うんだ?頭大丈夫か?」
「さっき拳でなんとかって言ってたじゃん」
「勢いで言ってみただけだよ」
2人の戦意は喪失していた。アンリエッタはその会話を聞いて機嫌が悪くなった。
「わははっ、君たち私の邪魔をするつもりなの?ならあの建物と同じにしてあげる」
その途端彼女は魔法を唱え始めた。エリカは逃げる準備を始めた。一方マサルは恐怖で頭がおかしくなったのかアンリエッタにゆっくり近づいていった。
「もし俺がこんなサイコパス少女に無様に蹴散らされるっていうなら…」
アンリエッタは今にも魔術を打ち込もうとしているがマサルは気にすることなく右手の拳を強く握り近づき距離を詰めた。
「まずはそのふざけた幻想をぶちk…」
激しい轟音と共に大爆発が起きた。マサルは無様に蹴散らされた。爆発後エリカはマサルの残骸を拾い、全力で逃げた。
その後、エリカは無事ナレッジに帰還し、マサルはナレッジの治癒施設で無事に復帰した。
「いやー凄い爆発だったねー」
「俺は死にかけたけどな、てか一回死んだんじゃね?」
「まぁまぁ、依頼は無事クリアしたからいいじゃん」
「え?」
エリカはマサルに状況を説明した。どうやらアンリエッタもその大爆発に巻き込まれてそれで懲りたらしく今は大人しくしているとのことだ。マサルが距離を詰めていなければ起きなかった事態だ。
「じゃあ報酬は?」
その質問に対してエリカは残念そうな表情で答える
「家が壊されたから残飯も無くなった」
その後ソフィアに特別に夕飯は奢って貰ったが2人に残ってるものは後悔とトラウマだけだった。
久しぶりの投稿になってしまって申し訳ないです(まぁ誰も見てないし問題ないかw)