【第4話】頭脳バトルは突然に!
前回のあらすじ
大図書館に着いたマサルとエリカ、そこに図書館の管理者ソフィアと出会う。元に戻る方法を聞こうとしたが突然対戦を申し込まれた。
『ゲーム?』
「そうよ、あなた達が私に勝ったら、情報を教えてあげる」
「ちなみにどんなゲームなんだ?」
マサルは問いかけた。その返答は思ったより単純なゲームだった。
「貴方達がクイズを4問出す、それを私が1問10秒以内に答える。全問正解したら私の勝ちというわけ」
「つまり1問でも答えられなかったり間違えたりしたら俺らの勝ちという訳か」
「そうね、ただ複数回答を求めるような問題は禁止、答えは名詞か固有名詞のみ」
ゲームの内容を把握したマサル、しかし今のまま挑んでも無謀だということは既に分かっている。彼女はあらゆる知識を得ている。真っ向勝負ではまず勝てない。
「だいたいルールは理解した」
マサルはさらに言葉を付け加える。
「ただ少し時間をくれないか?問題を決めないといけないからな」
「ええ、では1時間後にここにまた来てくださいな」
「あぁ、1時間あれば十分だ」
彼らは一旦この大図書館から出ていき、近くの喫茶店で作戦を練ることにした。中は落ち着いた空間で2人は飲み物を1つずつ注文した
「よし、じゃあ問題考えますか」
エリカは一つの疑問を抱いていた。
「てかどうして喫茶店にしたの?普通に図書館から問題探せばいいんじゃない?」
「お前は馬鹿か、そんな問題出して相手が答えられないと思ってるのか、普通のクイズでは圧倒的にこちらが不利だ」
「じゃあどうすれば…って今私のこと馬鹿って言ったな?またエライ目に遭わせたろか?」
「もう結構ですすいません」
(…はぁ、これだと言いたいことろくに言えなくなるなぁ…ん?)
時は少し経ち彼らは再び図書館の地下室に戻り、ソフィアと対峙する。
「あら、結構早いわね」
「そりゃ早くもとの世界に戻りたい訳だしな、さっさと始めようぜ」
ソフィアは手を前に出し、突然結界を張り始めた。周りは暗くなり自分と相手だけが見える、そんな状態と化した。
「これで準備は整ったわ。さっき言ったルールに基づいて作ったので、不正を行うことは出来ませんよ」
ソフィアが魔術師だったことに対して少し驚いた2人、ただやることに変わりはなかった。
「では問題を出してください、その直後にカウントが始まります」
「なら俺から行くぞ…」
問題1
応仁の乱以後,身分の下の者が上の者を実力で倒す傾向を何という?
この瞬間カウントダウンが始まった。それは部屋内の全員の脳内に直接伝わっていった。これが0になればマサル達の勝ちとなる。
「下剋上」
あっさり答えられた。その瞬間カウントは止まった。
「へぇー俺の世界のことも知ってるんだな」
「えぇ勿論、全ての所から情報を仕入れてるので」
ソフィアは余裕の表情を浮かべる。それに対してエリカはすかさず問題を出す。
問題2
拾ったのにも関わらずお金を払わないといけないものとは?
「なぞなぞですか、答えはタクシーですね」
またもやあっさり答えられた。しかしここまでは彼らの想定内だった。
「なかなかやるじゃない」
「当然じゃない、この勝負私が勝つのは目に見えてるのです」
「そうか、つぎ俺いくぞ」
問題3
あなたはマラソン大会に参加してます。あなたは今2位の人を抜かしました。あなたは今何位でしょう?
「なるほど、結構単純な問題ですね」
「…どうだ」
「……2位ですかね」
またあっさり答えられた。2位を抜かしたら2位になる。単純な答えだが引っかかって1位だと答えがちな問題だ。
「単純な知識では勝てないと踏んでひっかけ問題でミスを誘いにきたところか、悪くない発想ね」
「引っかかると思ってたんだけどなぁ」
「次はエリカ様の番かな?」
「いや、最後も俺が出す」
もう彼らには後がない。次が最後のチャンスだ。彼はすぐに問題を出さない。
「まぁどんな問題でもすぐ答えちゃうんだけどね」
「くっ…」
最後まで余裕な表情を見せ、挑発してくるソフィア。その時だった。彼女は自身が作った結界を作り変えた。
「少しルールを変えさせてもらったわ。次の貴方の問題、制限時間3秒に変更したわ。少しくらいハンデ与えないと可哀想だしね」
マサルはその挑発に対して怒りはなかった。まるで自分の勝利を確信したかのような、そんな表情だった。
「どう?少しは希望見えてきたんじゃない?」
「そうだな、じゃあ俺の最後の問題」
彼の出した最後の問題、それは引っかけでもなぞなぞ系でもなく、単純な知識問題であった。
〜30分前〜
「相手の性格を利用する?」
「そうだ、あの管理人さんはほぼ勝ちを確信しているだろ?だからその隙を上手く突くんだ」
「でもどうやって…」
「ルールを聞いた限りでは制限時間付きだったろ、時間切れを狙うのさ、そのための問題は既に考えてある。他は適当に考えてくれ」
「でも制限時間は10秒、どうやって時間切れねらうのさ?」
「あいつは調子に乗って制限時間減らしてくるはず、大抵そういう性格のやつは自分の勝てる範囲内でハンデを与えてくるからな」
「なるほど」
「ただ失敗すれば当然俺らの負けだ、分かったらさっさと行くぞ」
○ ○ ○
問題4
ピカソの本名をフルネームで答えよ
「ピカソの本名をフルネーム…ちょ」
余裕な表情を浮かべるソフィアの姿はどこにもなかった。彼女は急いで答えようとする。
「パブロ・ディエーゴ・ホセ・フランシスコ・デ・パウラ・ホアン・ネポ…」
時間切れだ。その瞬間結界は解けた。決着の合図だった。
ちなみに答えはパブロ・ディエーゴ・ホセ・フランシスコ・デ・パウラ・ホアン・ネポムセーノ・マリーア・デ・ロス・レメディオス・クリスピーン・クリスピアーノ・デ・ラ・サンティシマ・トリニダード・ルイス・イ・ピカソ
「まさか、あなたたち最初からこれを狙って…」
「当然だろ、逆にこれ以外にどうやって勝てと、これなら分かってても時間内に答える事は出来ないだろ」
「はぁ、私の負けというわけか」
「という訳で、元に戻る方法教えて貰うぞ」
「えぇ」
「まずマサル様、あなたは前の世界でいろんな人から恨まれてますね、幼馴染へのちょっかい等が主な原因でしょう。人の役に立つことを行い、その恨みを清算
すれば元に戻れるはずよ」
「つまり人助けをすればいいと」
「そうね、次はエリカ様、あなたはおそらく誤転生ですね、そのうち帰れるようになるんじゃないかな」
「誤転生って…」
訪問者のほとんどは何かしらの理由があってこの世界に来ることがほとんどだ。しかし極々稀に理由もなく来ることがある。
「もう日が暮れるな」
「そうね、この図書館の近くに豪邸があるんだけど、私全然使ってないし、譲るよ」
「でもいいのか?」
「実は私、訪問者達には元の世界に戻る方法を教える義務があるの、だからさっきの勝負は勝ち負け関係なかったの」
『マジかよ』
「暇潰しに訪問者達には同じことを何度もやったきた、もし私に勝った相手には豪邸をあげるつもりだったのよ」
彼らはようやく自分達の暮らす家を手に入れることができた。そのあと2人は豪邸に行き、エリカはすぐに眠った。元の世界に戻るための生活がここから始まった。
今は真夜中だ、マサルは寝ているエリカを置いて図書館に入った。図書館は暗かったが月の光が差し込んでるおかげか、周りは十分に見れた。ソフィアは図書館の本を整頓していた。
「あら、夜中にどうしたのですか?」
真夜中に急に来たマサルに対して少し気になった。一応図書館はいつでも入れるが真夜中に来る人はまずいない。
「お前は確か全てのことを知っているんだよな」
「えぇ、一応」
「………………」
「どうかしましたか?」
「俺の10年前の最悪な出来事も……か」
「……………えぇ、もちろん」
次話からは「前回のあらすじ」を一旦締め、ここになんか書いていくつもり(多分)です