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古き者19
とその時だった。窓から射す光がふと翳る。光を遮るものの正体を探るため、アルトは顔を上げる。
「やっぱりこうなってたか……」
そうアルトを見下ろしながら告げたのはディオだった。
アルトは何も言わずに再び俯く。
するとディオが一人でに口を開き始めた。
「お前、魔術の反動で動けないんじゃないかと思ってな。安心しろ、ちゃんと許可は取って来たから」
「……少し休めば動ける」
素っ気なくアルトはそう返す。が、ディオはそれでもアルトに手を差し出した。
「それでも、無いよりゃ良いだろ?」
アルトはしばらくディオの手を見つめていた。
が、やがて壁に手をつきながら震える足で立ち上がる。
そのまま覚束無い足取りで医務室へと向かった。
「たく、素直じゃないな……」
そう呟きながらディオはふらつくアルトの後を追った。