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異世界転生の際にナイスバディを願ったらダイナマイトボディになっていた

作者: 砂糖ご飯

出オチをやりたかっただけ


 トラックにはねられて死亡した私、島田京子。

 でもそのトラック事故は予定にないものだったと、死んだ後に神と名乗る人から聞かされたわ。

 そして、異世界に身体を再構築して転移させてもらえるとも。その際に願いを一つだけ叶えてくれるらしい。

 ナイスバディになりたい!!

 平凡な身体つきにコンプレックスを抱いていた私はそれはもう願った。出るところは出て、引っ込むところは引っ込む。そんなナイスバディに!

 神様は頷き、了承してくれた。

 そして私は異世界で新たな身体とともに、再スタートするんだーー!

 そう意気込んで目を開けた時に入ってきた私の身体は、それはもう素晴らしく。


「な、なんで、ダイナマイトボディになってるのよ~!」


 自分の声なのにとても野太い声が響き。

 漢字の漢と書いておとこと読むのがふさわしいぐらいの超絶マッスルボディになっていました。



****



 体は男なのに心は女のまま、私の異世界生活は過ぎていきました。

 もちろん、男らしく振舞い、女性に恋をしようと努力はしましたが、成果は実らず。私は男性にしか恋ができませんでした。

 そんな私が働いているお店は、いわゆるオカマバー。オネエやオカマが集う場所です。異世界でも珍しいその場所は、逞しく生きるオネエ様方がたくさんいました。

 もちろん、そこだけでは食べていけないのが現状です。私は泣く泣く冒険者というのにもなって、日銭を稼いでいます。

 前世ではこういった転生や転移では記憶を頼りにNAISEIやらなんやらをしてお金を稼ぐのでしょうが、あいにくそんな便利知識など記憶にございません。

 一銭にもならない、トイレや部屋を綺麗にする、水浴びをしっかりするなどと言ったささやかなことしか身の回りの人に教えることができませんでした。

 でも、周りの人たちが病気になりにくくなったりして、少しだけでも役に立ててよかったな、と自分の身体をよく見せるためのポージングをしている時に思いました。

 相も変わらず、野太い声のダイナマイトボディ、ですけど。



****


 そんなある日、私に引けを取らないダイナマイトボディであるキャサリン先輩と買い物に出かけました。

 空が曇ったので雨かしら、と見上げてみると図体のでかいトカゲがぎゃあぎゃあ騒いでるじゃありませんか。

 先輩と私は顔を見合わせて頷きあいました。

 あのトカゲ、いいお肉になりそうだ、と。

 そうしてシバキ倒したあと、解体だ、という時にそのトカゲが光ったのです。

 眩しさから回復した後に居たのはトカゲではなく、成長すればとても美人になるであろう少年でした。

 そしてなんやかんやあって、少年を私が預かることになりました。

 お肉、欲しかったな。

 その後に大変なことになるとはつゆ知らず、私はのんきなことを考えていたのです。


「キョーコ、何を考えてるの?」

「あら、あなたと出会った時のことを思い出していたのよ」

「そっか。あれほど刺激的な出会いはなかなか無いよ」

「そうね。刺激的といえば刺激的だったかしら。でも、その後のことの方が私にはびっくりだったわ」


 あの時の少年、実は少女でした。性別が発覚した時、私が思ったのはリアル宝塚だ!でした。

 でも、そこからが私にとって大変でした。

 少年は少女で、しかもドラゴン。ドラゴンは自分を負かした相手に惚れるそうなのです。

 キャサリン先輩はどうした、と思うでしょうが、最終的にシバキ倒したのは私だったのです。


 そこから少女アレクサンドリア……アレクの熱いアプローチが始まりました。

 少女と言っても私よりも長生きをしている彼女は、私が思っている以上に手ごわかった。

 私がロリコンじゃない!と拒否すると、次の日には成長した姿で現れました。

 私は男だけど、心は女なの。男じゃないと好きになれないのよ、と言うと次の日からもっと男らしくなって現れました。

 他にも花束を持ってきたり、愛の言葉をささやいたり、私の方が強いのに狩りに行ってくれたり。

 

 私がほだされるのも時間の問題だったのでしょう。

 先輩たちからニヤニヤ見守られる中、ついに私はアレクのプロポーズを受け入れました。


「でも、良かったの?ずっと言っているけれど、心は女なのよ」

「いいんだ。ボクはそんなキョーコが好きなんだよ。逞しい身体に繊細な心…とっても可愛いじゃないか。

それにね、ボクたちドラゴンっていうのは愛する人と会うまでは性別が定まらないんだ。ボクはキョーコと出会ったからこうなった。見た目の性別なんて些事だろう?」

「アレク……」

「ボクのお嫁さんになってくれるって、言ったよね。明日はもう結婚式だよ。逃げるなんて、言わないでね?」

「大丈夫よ、お嫁さんになるのが夢だったもの。そんなチャンス、逃すはずがないでしょ」

「それはよかった。明日、楽しみだね。キョーコの身体は白いドレスが映えるから。」


 そう言って笑うアレクにつられて私も笑う。そしてポージングをする。


「別の意味で、でしょ?」

 

 それはもう、私は超絶ダイナマイトボディ、ですから!!



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