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遠い昔
それはいつの日だったか。
私が友達と遊んで家に帰ると暗い顔をした両親がいた。
怒ると怖いけど、いつもおいしいご飯を作ってくれるお母さん。
太っているけど、いつもニコニコして優しいお父さん。
二人が暗い顔していると私もなんだか泣きたくなった。
泣きそうな私の顔に気が付いて、お父さんがポンポンと頭を優しく撫でた。
お母さんは目元に涙を浮かべながら私を抱きしめた。
私は不安でいっぱいだったけど、両親に抱きしめられていたらポカポカしてそのまま寝てしまった。
それは遥か昔の陽だまりのような思い出。