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双竜の厄災  作者: 縁野 綾斗
全ての始まり
8/21

決着!

おかしなところ、誤字脱字などは起きたら直します


「死ね」


それが聞こえた瞬間、体が動き出した。


巻き込まれたくはない、これは本当だ。

めんどくさいし、自分から積極的に巻き込まれることを選ぶなんてことはしたくない。



それに、巻き込まれることに対してできる責任なんてのをもちたくないから。


だけど、1つだけ、どうしても見て見ぬ振りができないことがある。


「死ね」


この言葉だけは聞き逃せない。


本当にそう言われるに値する奴だったら、もしかしたら我慢できたのかもしれない。


だけど、その言葉を向けられてるのは凛だ。

桐生海斗の妹というだけで、ずっと恨みの対象にされている、1人の女の子。


口は悪い、挑発はうまい、人のことを人として扱わないような発言をする。


…悪いとこばっかり出てくるけど、そんな顔の裏になにかのトラウマを抱え生きている、年相応に弱いそんな女の子。


マナが【視える】からこそわかった、凛の心に残る大きなトラウマ。


そのことを知ってしまった。

だから俺はもう、凛を見捨てることはできない!



かなめが凛に巨大な圧縮空気弾を放つ。


「・・・っ!」

凛が目を閉じる。


駆け出した俺はそんな2人の間に割り込み…


「凍れ」


氷魔法を放ち、空気弾を凍らせる。


凍った空気弾はそこらじゅうにヒビが入り、砕け散り霧散した。


「・・・えっ?」


最初に反応したのは凛だった。

いつまでも痛みがなかったので気になって、目を開けたようだ。

俺が間に立っていることが不思議だったのだろう。


まあ、そりゃ強引に誘った乗り気じゃないやつが自分のピンチに急に前に立って、相手と対峙してたら誰だって不思議に思うだろうな。


「あれ…?」


そして辺りを見回し状況を把握しようとしていて気付いたらしい。

自分を抑えていたキュクロプスがいないことに。


「ああ、キュクロプスならすれ違い様に凍らして潰した」


「…4匹を一瞬で?」


「ああ」


「あなた一体…」


「九条 大地」


凛は戸惑った表情を俺に向けている。


そんなことを聞いてるんじゃないってわかってるけどな…

でも、別に話すことでもないと思うし。

…別に話したくないとかそんなんではない事を知っていてもらいたい。



「…邪魔をするの?」


かなめが虚ろな目で問いかけてくる。


「おいおい、俺は一応これでも凛のタッグパートナーだぜ?ただパートナーのピンチに駆けつけただけさ」


決まった…


「安全なところから近づかなかったくせに」


凛がボソっと小さい声で言ったが聞こえなかったことにする。

てか、そこに行くように仕向けたのは凛だよな?


まあ自分でも、一応とかこれでもとか少し自虐的な事がはいってたかもしれない。

考えないようにしよう。


「消えろ」


かなめがつぶやく。

表情は下を向いてるので見えない。


「そうはいかないな」


かなめが顔をあげ、俺と目を合わせてつぶやく。


「消えろ、消えろ、消えろ、消えろ…お願い、逃げて…消えろ、消えろ」


今、一瞬目に光がもどった?

それに【お願い、逃げて】と言った。

黒いもやがなんなのかわからないが、まだかなめは全てのまれていないのか?


そんな事を考えると、かなめの変化に未だボーっとしている響也に叫ぶ。


「響也せんぱい!かなめは、まだ全てのまれていない!助けるならいまだ!」


「のまれていない?」


あ、黒いもやが見えないのか。

自分が少し焦っていることに気づく。


「かなめは、まだ【潰れて】いない!だけど、それも時間の問題だ!助けれるのは響也せんぱい、あんただけだ!」


「…わかった」


流石、兄貴だけのことはある。

いま俺が言ったことはほとんど響也はわかっていなかっただろう。


しかし妹がおかしくなったことはわかっているはず。

だから俺の言葉に従うことを選んだ、かなめを助けるために。


「俺が、足止めをする。響也せんぱいはかなめを精一杯呼びかけるんだ!」


「わかった…!」


響也が力強く頷く。


俺にも、これでかなめが黒いもやから戻れるのかわからない。

でも、他にできることがない以上やるしかない。


俺は、かなめを足止めすることに意識を注ぐ。


「消えろ!」


かなめが空気弾を連続で撃ってくる。


黒いもやは魔法を使う度に大きくなった。

ということは、魔法を使わせないようにするしか無い。


近づいてもカマイタチで切り裂かれる。

遠ければ空気弾。


それなら手段は1つしかない。


俺は空気弾を避けながらかなめに迫る。


「切り刻メ!…っ!?」


かなめがカマイタチを放とうとする。

しかし、それが放たれることはなかった。

なぜなら…


「お前の体はもう動かない」


俺は、空気弾を避けながら近づき、かなめが空気弾からカマイタチに攻撃手段を変えようとした瞬間に、かなめの体を首から上以外を瞬時に凍らした。


「…体が死滅しない?」


凛がその状況を不思議に思いつぶやいた。


「なんてことはない。マナを調節して、細胞が死滅しない程度にコントロールしてる。」


「なんてことない?こんな精密なコントロール私でもできない…!それに凍らしても時間が経てば死滅するはず」


凛は俺の言葉にありえない物を見ているような目で反応する。


「大丈夫だ、コントロールは常にしているからな」


「そんなの、マナがすぐに枯渇する…!私でも1分持つかわからないぐらい…貴方は後どのくらい持つの?」


声がどんどん小さくなっていく。

なんとなく自分以上持つことはきづいているのだろう。

それでも聞いたのは、信じたくないからか?

まあ、ここでごまかしても仕方ないな。

心の中で苦笑した。


「1時間くらいかな」


今度こそ、凛は絶句した。


そんなやり取りをしている間、響也はかなめに必死に呼びかけている。


「戻ってきてくれ、かなめ!」


「うるサイ!消えロ!消えロ消えロ消えロ、…助けてにいさん…」


「かなめ!俺は知っている!楽しかった日常も!友達との思い出も!たった1人の家族の俺のことも!全部大切にしていたことを知っている!」


「ヤメろ!うルサイ!どうデモイイ!消エロ!…にいさん…ころシテヤル!」


かなめはのまれかけている、もうすぐ時間切れか?


「こんな決闘をした理由も知っている!俺を心配してくれたことを知っている!」


「ウルサイ!」


「力がなくて、妹1人守れなかったような弱い兄を慕って、心配してくれて、励ましてくれた!」


「そんな俺をを守るために無理をしてたことを知っている!だからこそ!」


そう言って響也はかなめを抱擁する。


「もういいんだ…俺は、兄さんはかなめがいる。それだけで幸せだ」


「…にいさん」


かなめの左目から一筋の涙がこぼれる。


その瞬間、黒いもやがマナから消え、綺麗な青色が視える。


間に合ったか…


もう、大丈夫だろう。

そう思った俺は魔法を解く。


かなめは響也に抱きつき大声で泣いていた。


そんな感動シーンを見ながら、俺はこれからどうやって逃げようか悩んでいた。


なぜなら、後ろで凛が興味深い目でこちらを見ていたから…




やっと決着しました笑

自分的にはあっという間でした。

大地が地味な活躍しましたね笑

この活躍はまだ序の口(予定)です。

次回でも会えたら嬉しいです!

明日は2作更新予定

主人公のカッコイイバトルは次回に期待!




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