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双竜の厄災  作者: 縁野 綾斗
全ての始まり
7/21

心の悲鳴(さけび)と油断

初めて2,000文字超えました!

編集で間違いを直すのは明日します

「どんなに力を持っていても、認められなければその力には意味がない」


凛がどこか自嘲的な口調で双子に言った。

凛に同調するようにそよ風が吹いている。


それはある意味事実だ。

認められなければ意味がない。


だけどな、凛。

それは元々強い奴が言える事なんだ。

なんでか?それは…


「わかった風な事を言うな!」


凛の言葉に対し、かなめは大声で叫んだ。



世界が止まったように、そよ風が止む。

そこにかなめの声が響く。


「私たち兄妹に力がないせいでどれだけ苦しんだと思っている!この街は力が無かったら生きていけない。弱ければ奪い取られ、壊されて…!」


「それでもここで生きるしかない!だから、私達は大切な物を守るために必死に強くなった!強くなるためならなんでもした!」


「なのに、力には意味がない?その言葉は私達への、弱くても、力がなくても必死で生きている者達への侮辱だ!」


かなめの、今まで絶対強者の世界で生き抜くために必死だった奴の心の叫びだった。


「かなめ…」


ようやく立ち上がった響也がかなめを心配そうに、そして心なしか自分に対する怒りをもって、妹の名前を呼ぶ。


そうだろう、兄は妹を守らなければならない。


なのに、2人でも敵わなかった相手にかなめが叫んでいる。

かなめの、弱者の心からの悲鳴さけびを。


俺にも妹がいたからよくわかる。

歯がゆくて仕方ないんだろ?

自分の無力さに、圧倒的な力の理不尽さに。


「ぁ・・・」


そんな双子の気持ちを理解したんだろう。

凛は大きく目を開き、絞り出したような小さい悲鳴が聞こえた。


唇が震えている。

不用意な一言を後悔しているのだろう。


少し後悔の色が表情に表れ、動揺したのか、足の力が逃げたように、凛がふらふらっとよろけた。


その、動揺と油断をかなめと響也は見逃さなかった。


「兄さん!」


「まかせろ!」


かなめが凛に向かって手を突き出し、そして、凛とかなめの間に空気弾を撃ち込んだ。


「…くっ!」


凛は態勢を整え、反撃しようと試みるが…


動揺をひきづっているな。

判断がおそい。


凛が距離をとろうとバックステップで下がろうと地面を蹴る。


それは、悪手だ

地面を蹴った凛は後ろに下がれなかった。

キュクロプスが後ろにいたんだ。

それも4匹。


「なっ!」


凛は動揺のせいで気づかなかった。

キュクロプスは凛の両手両足を掴み固定する。


幾ら凛と言えど4匹のキュクロプスの力を1人で振り切るのは無理だろう。


恐らく2人が狙ってたのは初めからこれだったんだ。

森を選んだ理由はキュクロプスを隠すため。


最初、俺が【視た】マナの数は2人をいれて9。


最初の3匹を入れて、5つのマナがそろった。

しかし、4つ分たりなかった。

それが、ずっと謎だった。


それが、今わかった。

そして双子の兄妹は、布石をうっていた。


場所、そして最初の3匹キュクロプスの登場の仕方だ。


あの時、キュクロプスは砂埃の中から現れた事で、凛は召喚魔法と言っていた。

召喚魔法は自分の近くに召喚しなければいけないために、凛は響也から距離をとっていた。


しかし、響也は召喚魔法ではなく使役魔法。

この作戦を成功させるために響也はかなめと連携して、凛に召喚魔法と思わせていた。


そして、3匹のキュクロプスがやられて反動で動けないようにみせかけていた。

あれも、召喚魔法と思わせる1つの布石だった。


使役魔法はその名の通り【使役】する。


使役することは召喚するのと違い、やられた時自分に帰ってくる反動がない。


召喚魔法と違うのがこの点だ。


しかし当然デメリットも存在する。


使役獣を使役するには召喚魔法と違い調教テイムしなければならないため、時間がかかってしまうのと、近くにいなければ咄嗟の戦闘の時に戦えない。



凛も、召喚魔法ってすっかり騙されてたな。


証拠に凛は響也を警戒していなかった。

だから、動揺と合わさって、キュクロプスに気づくのが遅れたんだろうな。


凛が抜け出す手立てはない。

これはもう勝負が決まったか?


「くっ!この!」


凛が抜け出そうともがくもキュクロプスはビクともしない。


「どう?自分より弱い者に嵌められた気分は?」


かなめはゆっくり凛に近づくと、空気弾を凛の両手両足に撃ち込む。


「ぐっ!」


両手両足を撃ち抜かれた凛は痛みで顔をしかめる。


「貴方が馬鹿にした奴にやられる気分はどう!?」


かなめが何度も何度も凛の両手両足に向けて空気弾を放つ。


凛はその度に痛みをこらえ、顔をしかめるがかなめの攻撃は止まらない。


その光景を少し遠巻きに見ていた俺は急に頭痛を感じ頭を手で押さえた。


なんだ…?


謎の頭痛はどんどん痛みが増してくる。

それと共にある映像が、今の状況と重なる。


侮蔑のこもった目と嘲笑の中心にいる、その状況の辛さに顔をしかめている親友。


そして、また視界が切り替わる。

見えてくるのは笑顔。

親友が最後に見せた儚い笑顔だった。


おいおい、この状況でこれを見るのかよ…。

めんどくさい事考えてんじゃねえぞ俺。

これは、あいつが受けた決闘で俺は巻き込まれたんだ。

あいつは勝負中に油断した、だからこの状況になっている。


ここで助けると、目をつけられ俺の楽しい学校生活が一瞬にしてバトル生活になるぞ?

俺はカカ○ットみたいに戦いが好きじゃない。

ここは黙って見ているべきだ…


「あはははは!」


かなめは性格がガラッと変わったように笑いながら空気弾を放っている。


そして、それに比例して最初にみたマナにかかっている黒いもやのようなものがどんどん膨れ上がる。


かなめの目がどんどん虚ろになっていく。


その間にも攻撃は続いている。


凛のマナが弱々しくなっていく。


そして特大の空気弾を放った瞬間、かなめのマナはくろいもやに飲まれた。


「アハハハハハ、これくらいじゃ足りない!

カマイタチで服も体も顔も切り刻んで、人前に出られないようにしてヤル!そして死ぬ直前まで窒息させたり、空まで上げて落としたりして、死ぬ直前までいたぶってヤル!」


「かなめ?」

後ろにいた響也がかなめの性格の変化に戸惑っている。



「気絶なんて関係ない、決闘のルールなんてどうでもいい!桐生 凛お前は、楽にはさせない!苦しんで死ね!」


かなめは響也の言葉にも反応せず、ひたすら凛をいたぶっている。


「…かはっ!」


マナで防御しているとしても、もう凛は気を失う寸前だ。

マナもなくなりかけている。


「まずは、意識をなくすほどの痛みと無理やり目を覚まさせるほどの痛みを交互にしてヤル、アハ、アハ、アハハハハハ」


かなめは虚ろになった目で、巨大な圧縮空気弾を凛に向けて放った。





次回決闘がおわります!

楽しみしててください!

また読んでくれたら嬉しいです

ではまた!

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