対面
「よく来てくれた、桐生凛」
「この挑戦状は貴方たちのものね?」
凛が問う。
「そうだ」
男は手短に答え、名乗り始めた。
「俺は双子の兄の滝 響也、こっちは妹の…」
「滝 かなめ」
やっぱり双子か…
2人とも美形だな、…兄貴のほうはモテそうだな、気にくわん!
そんな場違いな怨嗟を心の中でつぶやいてる俺を無視して話は進んでいく。
「一応聞いとくけど、私みたいなまだ序列が明確に決まってもいない新入生に挑戦状を叩きつけた意味は何?」
私みたいって、俺もいるんだがな…
1年生は入学式を終えた次の日に序列試験し、そこで一年生内の序列を決めるらしい。
てことは、この決闘は序列が目的ではないということで…
「…純粋に戦いたいためだ」
「うそね、それなら1対1の決闘を挑めばいいはず。わざわざタッグバトルを選ぶ理由があるってことでしょう?」
凛はまるで答えがわかっているかのように響也が言った事を否定した。
「お前の兄のせいで私達は実験をされた、それに対する怨み」
かなめが淡々とした口調で答える。
おいおい、視線での敵意が隠しきれてないぞ…。
… ん?今、凛の表情が一瞬こわばったような?
「兄への怨みを私に?情け無いわね」
「うるさい」
「本当は、兄に構って貰えなくて私に八つ当たりしてるだけじゃない」
「うるさい!」
かなめの口調がだんだんきつくなる。
その会話の中で俺は気づいた。
凛の様子がどこかおかしい…
俺には冷ややかな目で挑発しているはずの凛の言葉がどこか自嘲気味に聞こえた。
「もういい、貴方を潰す」
そんなかなめの言葉を合図に、無言だった響也とかなめ、そして凛のマナが膨れ上がった。
そんな戦いが始まる場所から少し離れた木の近くで俺は、3人を観察していた。
別に、逃げようとしたら凛に火魔法で脅されたってわけじゃないからな?
俺は3人のマナの動きを見る。
しかし、双子の方のマナにかかる黒いもやみたいなものはなんだ?
マナは綺麗な青色をしている。
それはトラウマで強化されたマナでも同じだ。
人類の中で唯一マナを観る事ができる俺も黒いもやがかかったマナなんて初めて見るぞ。
…そりゃそうか、マナ自体観れるのがおれだけだもんな。
そんな黒いもやに対しての疑問を思考の隅においやり、まさに今魔法が放たれる前の特有のマナの輝きに注視する。
その輝きを見た次の瞬間、放たれた魔法と共に決闘が始まった!
次回こそバトル回です!