光の裏には闇がある
お久しぶりです
なんか久しぶりで暴走しました
「いいですね。毎年これが一番輝く」
私は多くの監視カメラから映される生徒たちの闘争の煌めきに体の奥底から悶えた。
毎年恒例の一年戦争。未来をかけた序列戦。
誰もが必死に、死に物狂いで、醜くも勝利を渇望するその姿は一種の芸術だ。
「取り乱していますよ。ソレーユ校長」
強かで慇懃な声が響く。
漆黒の髪をポニーテールでくくった夜神先生の声だ。
「いいじゃないですか。ここでは人の目を気にする必要がないんですから」
「私がいます」
「忘れましたか? ここに入れるのは私だけの特権。今のあなたは特別であり、主権は私にある。あなたの命でさえもね。夜神先生」
今私たちがいる場所は誰にも教えたことのない秘密の部屋。
コンフリクト学園の中に造ったいわゆる私室だ。
学園内に設置された数千の監視カメラを全てハッキングした私だけの娯楽施設。
「……申し訳ありません。こんな広い部屋は初めてでついテンションが上がってしまったようです」
「ふふ、その皮肉にも聞こえる言葉は聞き逃しましょう。それくらいには貴方を評価しているんですよ?」
「ありがとうございます」
夜神先生のお手本のようなお辞儀は、いつみても厳格という言葉を想起させる。
数千のカメラをハッキングした私室は、モニターの多さから広い部屋を強制させる。それ故に、
少し無茶をしてまで私はこの部屋を造った。
見つかれば解任させられるのは確実でしょう。だからこそ他の人には秘密なんですが。
夜神先生をこの部屋に招待した理由は単純。
いいネタを持ってきてくれたからだ。
ふと、そのネタの中心にいる少年が数千のモニターの一つに姿を現した。
「おや? 丁度、九条君が戦闘に入りましたね。相手は……狂坂君ですか。面白そうですね」
「確かに、あの子の魔法は厄介ですから」
その言葉に私の口は自然と三日月を描いた。
もう思考は、この二人がどう輝いてくれるのかを見守ることしか考えられない。
狂おしい。ああ、早く私に命の煌めきを見せてくれませんか。
「桐生と日向がぶつかるか」
後ろから震える振動に興味はない。
故に、言語なんて意味を成さない。
しかしほんの僅かな理性が、モニター下の残り人数を情報として脳に処理を強要してきた。
残り 102
あと二人が負ければこの娯楽の時間は終わりになる。
「戦いの途中でゲームが終わるなんて興ざめなことはやめてくださいよ」
「……例年よりも、早いですね」
「ただ化け物が潜んでいるだけです。そんなことはどうでもいいんですよ」
そう。それは些事だ。
「玉の世代ですか」
どこか他人事な声音。
夜神先生にとって、本当に他人事なんだろう。
だから私は訂正した。
私と同じように、他人事に人生を捧げる女性の言葉を。
「玉の世代? 何を言ってるんですかあなたは」
命の煌めきはぶつかる度に輝きを増していく。
それは否定しない。
しかしと、私は言葉を続ける。
「だれが宝石のように輝いていますか? だれが目を伏せるほどの綺麗な光陽を持っていますか?」
答える声はない。
いや、続きを待っているのだろう。
理性の糸が切れた音がした。
もう心の声は止まらない。
「私にとって全ての煌めきは漆黒だ。命は黒く輝いている。瞳を染める闇を輝かせている!」
本音が抑えられない。
「黒は芸術だ。この世を一色に統一できる!」
ブレーキの壊れた新幹線に乗ってしまった。
「玉の世代? 笑わせる! 玉がぶつかって輝く? たかがそれだけで黒く漆黒な闇を見れるわけがない!」
後はただ、ひたすら加速するだけ。
だから私は訂正した。唯一の同乗者の言葉を。
「学園? ここはただの瓶の中だ! 玉? 彼らはただの毒虫だ!」
ここは私の学園。
「私の蠱毒を造る入れ物」
さぞや私の目は煌めきを放っていることでしょう。
丁度、動き始めた九条君と狂坂君を捉えた。
「さあ。私に死の舞踏を! 命の輝きを!」
恍惚とした私を冷淡な視線と沈黙が捕まえた。
それでも狂気は止まらない。




