路地の中で
約3週間ぶり?の投稿
すいません!
テストで忙しく書く時間が取れませんでした。
無事テストが終わったので少しずつペースを上げていきます
「助けてくれてありがとう」
俺は一応礼をした。
正直1人でも全然乗りきることができたし、なんの問題もなかったのだが一応助けてもらったことには変わりない。
「おう」
少年は爽やかな笑顔で応じた。
さっきの動きは準備体操程度だったのだろうか、息一つ乱していない。
いや、気にするところはそこじゃない。
さっき触れた時に起こったマナの移動。
吸収したのだろう。そんな魔法は聞いたことがないしもちろん見たこともない。
それにヤンキーの攻撃をかわした時の動きにも無駄がなかった。
「にしても、何でこんなとこに1人でいるんだ?」
そんなことを考えていると目の前の少年が首をかしげて聞いてきた。
「いや、ちょっと迷ってな」
「あー、なるほどね。納得納得」
少年は満足気に首を振っている。
現れた時からの笑顔は未だに崩れていない。
「にしても、えっと…」
「ん?ああ、俺の名前は狂坂闘慈。闘慈でいいぜ。九条」
「…なんでおれの名前を?」
少し声のトーンが低くなる。
少し右足を下げて警戒態勢をつくる。
「おいおい、俺らの学年じゃお前を知らない奴は今日始業式に来てないやつらだけだとおもうぜ」
と、飄々とした態度の少年、闘慈は笑いながら理由を語る。
そして、俺は今日の始業式の事を思い出して顔が熱くなるのを感じた。
忘れてた!というか、記憶から消してた!
闘慈は赤いバッチをしているということは今日の始業式には参加していたってことで、当然俺の名前もわかるってことか…
恥ずかしい、恥ずかしすぎて穴があったら入りたい…
そんな恥ずかしさでしにたくなってると
「迷ってるってことは帰り道はわからないよな?」
笑っていた闘慈がその笑顔を崩さないスタイルで聞いてくる。
「ああ、闘慈はわかるのか?」
「もちろん、案内してやるよ」
「ありがとうございます!」
このままだと迷った挙句絡まれて、下手すれば出れない可能性もあったので思わず敬語になってしまった。
2人で歩きながらちょっとした疑問を聞いてみる。
「闘慈は何でこんなところに?」
「ああ、ちょっと見回りにな」
「なんかの組織みたいなやつのか?」
未だにガビアのことには疎いので正確な意味はわからないがなんとなく治安活動ということがわかる。
しかし、それはボランティアなのか組織ぐるみの活動なのかわからないので聞いてみる。
もし仮に、組織ぐるみだったとしたならばその組織は俺の目的にとっては必ず敵対する相手になるということだからな。
「ああ、エグゼティアのな」
「エグゼティア?」
「九条は知らないのか?」
「大地でいいよ。…まあ、この前ここに来たばっかりだからな」
おかげでめんどくさいことに巻き込まれてるんだけどな…
まあ半分は自分せいか…
そんな自嘲的なことを心の中で思う。
その心の中を読んだのか、闘慈がため息まじりに言ってきた。
「そんなんじゃ、ここだったらめんどくさいことに巻き込まれてばっかだぜ」
「ご忠告本当に心に染みるよ」
もっと早く言って欲しかった…などと後悔しても遅いのだが、後悔せずにはいられない。
これ以上考えてたら憂鬱スパイラルにはまりそうだったのでおれは話を本題に戻す。
「それで、エグゼティアって?」
「ああ、エグゼティアってのは魔女狩り、つまり昔でいう警察みたいなものだ」
「警察か…、てことはそのエグゼティアってのがこの街を取り締まっているってことか?」
「まあ大雑把に言えばな、だけどエグゼティアってのは部隊の名前なんだ」
「部隊か、それなら大元があるのか」
「ああ、ペンタグラムっていう大元がある。エグゼティアは実働部隊みたいなものだな」
「なるほど、でも実働部隊って何か事件があって動くもんじゃないのか?」
ただ単にこの迷路みたいなところの見回りという可能性の方が高いと思うけど、それならそれ専用の部隊を作った方が効率がいい。
なのに、実働部隊が動くということは何かあったのだろうか。
「まあな、最近ちょっと妙な噂があってな」
「妙な噂っていうのは?」
「うーん、まあもうすぐ街全体に警告されることだしな。最近、魔物の様子がちょっとおかしいんだ」
「おかしい?」
「最近妙に群れで発生したり、変異種がやたらと発見されているという報告がきててな」
「そうなのか…、ん?でもそれでこの路地を見回りするっていうのはおかしくないか?」
それなら、こんな路地でなくて魔物が目撃されたところにいって掃討なりすればいいだけのことだ。
見回りをする場所としては不適切なように思える。
そんなことを思って闘慈を見ると、なにかを考えてるのか、どこか困ったような表情だった。
闘慈はその表情のまま語る。
「実はな、その変異種は人工的に作られたっていう可能性があるんだ」
「…はい?」
すっとぼけたような声が出てしまった。
人工の変異種なんてのは初めて聞く。
それ以前に人工で変異種を作ったところでメリットがあるとは到底思えない。
闘慈も右手でこめかみを抑えて首を横に振っている。
これは確かに悩みの種の一つだろう。
「まあ、俺たちも本当かどうかはまだわからないんだけど、目撃者がいてな」
「ああ、なるほど。この路地で目撃されたから見回りをしてるってことか」
「ま、そういうことだな。っとあそこを右に曲がったら出口だ」
そう言われて見ると、十字路みたいな所がみえる。
近くから人々のざわざわとした声が聞こえてくる。
街が近くにある証拠だ。
礼を言うと
「今日は2回も助けてもらったな。ありがとう」
「いやいや、これもエグゼティアの役目の一種みたいなもんですから」
闘慈は少しおどけたような仕草で返してきた。
「じゃあ、俺はもう少し見回りしなくちゃダメだからここで」
闘慈は踵を返すとまた路地の方向へ歩き出す。
「ああ、じゃあまた明日な。気をつけろよ」
というと闘慈は首だけ振りかえり
「おう、大地も気をつけろよ」
っと最後まで笑みを崩さずに路地の中に消えていった。
***
俺は家に着くと、夕飯を食べてごろりとベッドに寝転がった。
時間はもう夜の10時を過ぎている。
目を閉じて今日のことを思い出す。
滝兄妹のくろいもや、闘慈の魔法、闘慈が言っていた噂。
そしてエグゼティア。
この街には何かが起こっているのだろうか。
それともこんなことは日常茶飯事のことなのか。
考えても答えはでない。
圧倒的に情報が不足している。
それに明日行われる序列戦のこともある。
厄災であるヴリトラの討伐を勝ち取るには大前提条件として、序列がトップ5には入ってなければならない。
1年生は合計で300人いる。
明日の序列戦で大枠が決まるらしい。
そして、その序列が下位200人の中に入ると半年は決闘ができないルールになっている。
3連敗による退学を防ぐためのルールだ。
しかし、逆に上にも上がれないということ。
たしかに半年待つというのでもいい。
でも、もしかしたらそれまでに討伐されるかもしれない。
手も足も出なかったヴリトラだが、ガビアができてから戦闘技術は日々進化している。
もしかしたら、俺のいないところで討伐という可能性がなくもない。
それを思えば早いに越したことはない。
とりあえず、序列は上を目指す。
目立ちたくはないが必要最低限に目立つのは仕方ない。
朝のことは予想外だったからもう忘れよう。
そして俺は深い眠りについた。
***
朝、コンフリクト学園。
俺たち1年生は体育館に集められていた。
体育館は広く300人が入ってもまだまだ余裕がある。
今から行われる序列戦に力をみなぎらしている生徒たちが大勢だ。
ぱっとみただけでも、この学園にやってきているだけあって普通より強そうなやつばっかりだ。
「序列戦で当たったら本気でいくわよ」
名前順で並んでるので後ろにいる凛が耳打ちをしてくる。
「もちろんだ」
自分より強い奴だと思っても全力でいくという姿勢は凛のいいところだろう。
俺は力を抜くような笑みで答えると、電気が急に消え、前の舞台に光が当たる。
スポットライトだろうか。
そこにソレーユ校長が現れ、マイク越しに喋りだした。
「みなさん、コンフリクト学園1年生、序列戦の舞台へようこそ!」




