参加決定
序列戦はまだまだ先になりそうです。
誤字脱字は明日直します
「じゃあ本当になにもなかったの?」
「だからそう言ってるだろ…」
茜は俺が改めて入学式前に起きた出来事を話すとどこかホッとしたような表情をして問いかけてきた。
俺はため息をつきながら茜に答えたあと、俺を挟むように茜の反対側に立っている凛に同じことをしないよう注意しておく。
「凛も紛らわしいこと言わないでくれよ」
「…」
凛は両腕を組みながらまだどこかムスっとしていた。
ちなみに目も逸らしている。
まだ何か怒っているのだろうか?
いや、怒りたいのは俺の方なんだけど…
ていうか、殴り返すくらいの権利はあると思う。
まあしないけど。
「わかったな?」
「…」
俺は確認のため再度問いたが凛は相変わらずムスっとしいて返事をしない。
「そういえば茜は俺に会いに来ただけか?」
茜が俺と顔を合わせた理由は1つだけじゃないとなんとなく俺は思っていた。
なぜかって?
まあ、こいつはどこか天然のように見えて腹黒…計算しているところがあるからな、昔から。
だから多分今回もだろうと思ったんだけど。
茜は本題を思い出したらしく、左の手のひらに右拳の小指側の側面で叩く。
思い出した!ってやつだな。
忘れてたか怪しいけど。
茜は俺の方にテテっと至近距離まで近づき少し背伸びして聞いてきた。
身長が俺と頭一つ分低いので顔が近い。少し前に出ると唇が触れそうな距離だ。
ほんのり茜の頬が赤いのは気のせいだろうか。
「あー、そうそう!明後日ひま?」
「…」
答えることができなかった。
なぜなら超パニックだったからだ。
近い近い近い近い!!!!!
おい、こいつには異性という概念がないのか!?
幼馴染だけど、顔が可愛いんだから余計に緊張してしまう。
ていうかこれでドキドキしなかったらホモォ。
「大地?」
茜は返事をしない俺を不思議そうに見つめてくる。
俺は動揺したのを隠しつつ問い返す。
「あ、ああ…明後日何かあるのか?」
「えっと、明後日に大地が同じ学校だ!ってお母さんやお父さんに脅かしたいんだ。明日は序列戦だし、明後日は1年はオフだからいいかな〜って!」
「うーん、明後日か…」
「ダメなの?」
「ダメというか…」
俺は校長にヴェネノビーネの討伐依頼を言い渡されていたので、凛の方をちらりと見る。
その時、凛はまた意地悪そうな笑みを浮かべた。
あ、またこいつ変なこと考えてるな
俺はそのあと、そんなことを考えてる間に直接凛に聞けばいいのに本当に俺のこういうとこでの能力の低さは酷いな。
っと後悔することになった。
「ごめんなさい、日向さん。大地君には私という先約があるの」
凛はまた挑戦的なことを茜に言った。
ていうかいつ誰が、大地君と呼ぶ許可をだしたんですか桐生さん。
まあ、歓迎するけど。
するとまた茜は下を向き表情を隠すと、黒いオーラを放ち出した。
ええ!?また!?
確かに凛の方が先約というか校長の命令が先約なんだけどさ!
それは仕方ないんだし、怒ることはなくないですか!?
それでも俺はどうにか黒いオーラを…茜を抑えようと謝ろうと声をかける。
「いや、凛の方が先約というか校長の命令なんだから仕方な…」
最後まで言うことはできなかった。
なぜなら茜が怒っている理由を呟いたからだ。
「なんで呼び方が大地君に変わってんの?」
えええええ!?そこ!!?
先約があるってとこに怒ってたわけじゃなかったの!?
うーむ、昔からこいつの考えてることはわからん。
「えっとだな、茜。先に気にするべき点が他にあるだろ?」
俺はなんとか茜の思考を戻そうとするが
「そういえば、大地も凛って呼んでたし、やっぱり2人はそういう関係でさっき言ったことも真っ赤な嘘で実は森の中で大人の階段を登ってて入学式に遅れた?」
戻らない…どころかとてつもなく危険な方向に向かっていた。
「あ、茜…?」
俺は自分の世界に入っている茜をこっちに引き戻すために両肩に手をかけ茜の顔を覗き込んだ。
そこで見えた茜の目には光がなかった。
やばいやばいやばい。
茜が呟くたびにそれに比例するかのように茜のマナもどんどん膨れ上がってきていた。
本当にやばい。
「落ち着け!茜!おちついてぇーーー!」
「はっ!?」
俺は絶叫してしまったが茜をこっちの世界に戻せたようだ。
絶叫なんて情けないと思うかもしれないが、みんなも想像してほしい。
さっきの茜は時限爆弾のようなものだ。
そしてその時限爆弾の解体作業で最後の一本を切る時に絶叫するのは普通だと思う。
「あれ?私なにを?」
茜は自分が負のオーラを出して怨嗟らしき言葉を呟いて事を覚えていないようだ。
周りをキョロキョロしている。
それはそれで怖い。
でも、戻ってきてくれてよかった!本当によかった!
人生の中で一番嬉しかったかもしれない。
茜は一通り見渡すとやっと俺と目があった。
その瞬間、顔を真っ赤にしてあとずさる。
「わわ!なんで大地が近くに!?」
自分であんなに近づいたくせに俺が近づくと逃げんのかよ…
ちょっとショック。
そして何回か深呼吸をすると、俺の方を向いて本題に戻る。
「そういえば、先約っていうのは?」
やっとここにたどり着いた…
というかさっきの流れはただ俺の寿命が縮んだだけじゃね?
「ああ、実は俺と凛は校長にヴェネノビーネの討伐を依頼…というか命令されてるんだよ」
俺はため息を吐きながら言う。
「そうなの?」
茜はキョトンとした顔で凛の方に向かって聞いた。聞いたというより確認だろう。
「ええ」
凛は面白くなさそうに、またムスっとして短く答える。
茜だけじゃなくて凛の考えてることもよくわからんな…。
まあ、まだ会ったばかりだしそれは仕方ないか。
「うーん」
茜は凛の返事を聞いて右手を顎につけて考える仕草をしている。
「…うん!」
何かを決めたのか1度頷いて、俺の方に向いて茜は両拳を腰の前まで持ってきてギュッと握って言ってきた。
「私もその依頼うける!」
「いいのか?依頼ってことにはなってるけど、一応罰だから報酬ないぞ?」
確かに茜の回復魔法は役に立つだろうが報酬なしだと、ただの骨折り損のくたびれ儲けというやつにしかならないだろう。
「いいのいいの!そのかわり、依頼が終わったら家まで来てもらうからね!大地だけ!」
最後の大地だけでという部分が微妙に強調されているような気もしたが、俺も久しぶりにおばさんとおじさんに会いたかったから丁度いいだろう。
「わかった。危険なことにはならないと思うけど気をつけるんだぞ?」
「うん!…大地と女狐の2人だけで行かせる訳にはいかないしね」
「なんか言ったか?」
なんか返事の後ボソボソっと言ったような気がしたんだけど小さすぎて聞こえなかった。
「ううん、なんでもないなんでもない」
茜はどこか焦ったような笑みを浮かべて、両手を軽くあげて、小さく振っている。
「…?まあいいけど」
俺は凛にこの事を言おうと振り返ると、思いっきり嫌そうな顔をしている凛がいた。
「き、聞こえてただろ?茜も一緒に来てくれるってさ」
俺は少し引きつつもさっきの会話が聞こえてたであろう凛に一応報告する。
「ええ、聞こえてたわ。大地君だけ日向さんの家に行くのね」
凛は目をつぶりながら、嫌みを言ってるような口調で返事した。
…だから、他にもっと気にする点があるだろ。
「まあな」
ため息をつきながら答える俺に凛はまた同じ事を繰り返す。
「大地君だけ、日向さんの家に、行くのね」
しかも今度は所々区切ってる。
「まさか、凛も茜の家に行きたいのか?」
「ええ」
あっさり肯定した。
「ま、まあ茜がいいなら…」
「却下」
俺は茜に確認を取るつもりで、茜の方を振り向きながら問いかけると、最後まで喋り終わることなく否定された。
ええ〜…
「あら、それはどうして?」
凛は挑発的な態度で茜に近づいて、質問する。
「私は幼馴染が生きていた事を両親に教えようとしているから、貴方ははっきりいって邪魔なんだよね」
「それなら、口で伝えた方がいいじゃない。わざわざ大地君が行く必要はないわ」
「私は大きいサプライズがしたいから、その時大地がいた方がいいよね?」
「それなら、私がいても別にいいんじゃないかしら?」
「へぇ、それはどうして?」
「だって、サプライズは人が多くてなんぼ…でしょ?」
いや、それはちょっと違うんじゃない?
というか俺を挟んで喧嘩しないでくれ…
2人はそれっきり無言で睨み合っている。
そしてその無言状態を終わらしたのは凛だった。
「まあ、断られても行かせてもらうつもりだけれど」
「どうしろっていうのよ!?」
凛が超強引に約束を取り付けた…?ことに対して、茜はとうとう折れた。
茜が若干涙目だったのは気のせいじゃないだろう。
長い1日ですね…
すいません笑




