回答②でお願いします。
取り敢えずふて寝してみた。目が覚めたら夢でした! ってのを期待したんだが起きても俺は全裸の幼女だった。
仕方がないのでこの洞窟を散策してみることにした。
いつまでも全裸って訳にもいかないしそれ以上に腹がへったしな。
そうそう、わかったことがいくつかある。ふて寝しながら自分を観察していたらわかったことだ。まぁ見てほしい。
俺は自分の手を観察する。
名前:マリエル
称号:??
種族:魔族
職業:??
装備:??
魔法:??
能力:観察、暗視、??、??
さっぱりわからん。色々わからんってことがわかった。ただこれだけは予想出来るだけ、装備:??。俺、全裸だよ? 『??』のとこ『無し』って書かれてんじゃね?
わかったこと、どうやら俺はマリエルと言うらしい。…お祖父さんごめんなさい、貴方の付けてくれた名前は無くなったよ。
そして魔族! 頭や背中や尻をペタペタ触ってみたが角も羽根も尻尾もないよ? 調べるために身体中撫でまわしたけど良いよね? 今、俺の身体だし。…マリエルちゃんごめんなさい、君の身体は男に撫でまわされてしまったよ。
先に言っておこう、やましいことはしていない。魔族に動揺して全身くまなくペタペタしただけでやましいことは断じてしていない! スベスベのプニプニで触り心地は最高だったがやましいことは本当にしていない‼ だから警察は勘弁な。
散策しながら暇潰しに足元に落ちていた石を拾って観察してみる。
…
特に反応はない。
周りの感じからしてここは鍾乳洞っぽいしこれは崩れた鍾乳石の欠片だろう。金とか希少鉱物だった嬉しかったんだがこれはただの炭酸カルシウム、世の中そんなに甘くない。
ポイッ
《能力『鑑定 Lv:1』を取得しました。》
頭の中に声が響く。
焦った、ポイ捨て叱られるかと思った。つうか寝る前から思っていたけど、能力ってなに? どういう原理で声がすんの?
…
わかってた、俺、わかってた。返事なんて無いことくらいわかってた。
…はぁっ、何だよこの『マニュアル? んなもの手探りで覚えろよ?』的なシステムは! なるだけ親切で甘々な作りしてないとプレイヤー途中で投げだすぞ?
…まぁ、投げ出すことも逃げ出すこともできないんですけどね。
どうやらこの世界はファンタジーでRPGな世界っぽい。
①、俺はそんな世界にワープ(的な何か?)してしまった。
②、そんな夢を見てる。
元々どっか行きたかった訳だしもういっそ①でも良いかな。
そんなことを考えてたら分かれ道に着いた。T字路になっていて左右に道が続いている。
覗いてみる俺。
右側、でっかい百足。
左側、でっかい蜘蛛。
そっと戻る俺。
すみません、さっきの回答②でお願いします。
待って待って、俺全裸だよ? どう見たって素手だよ? …ダメでしょこれ?
はぁーっ、どうすんだよ? そもそも外骨格の甲殻類は自重で内臓潰れるからあんまりでかくなれないんじゃなかったか? なんだよあれ? 元の俺よりでかいぞ。こんなファンタジー、ノーサンキューなんだが。
取り敢えずもう一度覗いてみる。
右側、でっかい百足さん。目(?)が合った。
…どもーっ、こんにちはーっ。
左側、でっかい蜘蛛さん。こっちとも目(?)が合う。
…すみませーん、失礼しましーた。
そーっと戻る俺。
ヤバい。ロックオンされてる。
出来るだけ気配を消し、落ちていた少し大きめの石を投げ込んでみる。
ゴンッ!
石に突進してきた蜘蛛さん百足さんが鈍い音をたてて激突する。そして始まる昆虫バトル。どっちも昆虫じゃないけど気にしない!
ぎゃーっ! ぎゃーっ‼
怖えぇっ、3回目覗かなくて本当よかった。
長い身体で締め付けようとする百足さん、粘着性の糸で動きを封じようとする蜘蛛さん。互いの身体は牙をたてあいくんずほぐれつな死闘が繰り広げられる。
頑張れ蜘蛛さん、負けるな百足さん。俺の望みは共倒れだ。
闘えって? 素手の幼女に何を期待しとるのだね君は。
ずりずりと後退り2匹を観察する。
逃げろって? すまんな、腰が抜けたんだよ。
と言うわけで共倒れしてくれないと本気でまずい。カッコ悪いことくらいわかってるがどうしようもない。
名前:無し
称号:??
種族:魔虫
魔法:??
能力:??、??、??
×2
能力『観察』の効果だろう、新たな情報が頭の中に届く。しかし情報量が少なすぎて全く役に立たない。わかったことはでっかい虫が魔虫と呼ばれることくらい。自分と比べていくつか項目が少ないがそれはこいつらがモンスターだからだと思う。装備や職業ははじめから存在しないのだろう。
それからどのくらい時間が過ぎただろうか、自然と辺りが静かになってくる。
蜘蛛は8本の脚を4本まで減らし身体のあちこちから体液を流している。百足はそんな蜘蛛に半分千切れかかった身体を絡み付けている。そしてそんな2匹は糸で無造作に1つにされている。
もう、どちらも動かない。
両者相討ち。祈りが届いたのか、俺は胸を撫で下ろした。