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クリスマス・エアー・デート

作者: 皿尾 りお

クリスマスに一人のあなたへ

エアー彼女とは、2ヶ月前に付き合い始めたばかり。

まだ、キスまでの関係です。


ドキドキのクリスマスです。

待ち合わせは、幸せそうな顔のカップルでごった返す駅前。

彼女を待つ僕の顔もハニかんでいます。


街の大時計を見ると、もう7時を過ぎている・・・

遅いな・・・携帯にも連絡はないし・・・

どうしたんだろう・・・

周りを見渡す、僕。

・・・あ、見つけた!

今日は、いつにもまして、お洒落をしているな〜。

胸がキュンとなるよ。


彼女の後ろから、そっと、近づき、彼女の右の肩を「ポンポン」と叩く。

(もちろん、エアーポンポン)

(周りのカップルは、いぶかしげに見ている)

(僕は、そんなの気にしない)

右後ろを向く彼女。・・・誰も居ない・・・

おかしいなと思い前を向くと、

「やあ。遅かったね。」と笑顔で言う僕。

彼女は、「もう!」と、ビックリしたような、でも、

嬉しそうな笑顔。

僕の笑顔も更に笑顔になるよ。

(もちろん、街中で一人でニヤニヤ。どこからか、「警察よんだほうが・・」

 と聞こえる。でも、クリスマスだから、誰も警察は呼ばない。)


僕と彼女は、予約していたレストランに着いた。

「お連れ様が、着いてから、始めさせて良いですか?」

・・・と、わけのわからない事を言うウエイター。

僕は?と言う顔で、

「もう、始めてください。」

と真顔でいう。


二人分の、料理が運ばれてくるテーブル。

僕は、

「じゃあ、初めてのクリスマスに乾杯!」

と、ワイングラスをカチャリと合わせた。

食事を進めながら、この2ヶ月間を二人で語り合う。

(周りはやっぱり気にしない)


食事も終わり、彼女が、

「この後、どうするの?」

と聞いてきた。

(二人分の食事でお腹が、満腹だ)

僕はドキドキしながら、こう言った。

「・・い、家に、ケーキを用意しているんだ。」

彼女は、小さく、うつむくように、コクンっとうなづいた。


彼女と僕は、僕の住んでいる、マンションに向かう。

二人とも、言葉、少なめだ。

「着いたよ。ここだよ。来るのは初めてだよね。」

コクンっとうなづく彼女。


部屋に入ると、ケーキに火を灯し、シャンパンで乾杯をする。

彼女の肌は、少し、火照っているようで、ほんのり赤い・・


そして、しばらく二人で、話をしていると急に沈黙がおとづれた。

・・・・・すると、彼女はポツリと

「天使が通ったね。」

と、ニコっと笑った。


僕はたまらず、彼女をギュッと抱き寄せ、そっとキスをする・・・

そして、そのまま、ベッドへ・・・



僕は泣きながら、誰も居ないベッドの上で腰を

振り続ける。

何度も何度も。

涙は、止まらない・・・




精神安定剤を飲み始めてから、初めて流す涙だった。


部屋には、もう、僕には笑いかけてくれない、彼女の遺影が・・・

付き合い始めて一ヶ月目、事故だった。

初めてキスをしたその帰り道の事故だった。


僕は、永遠に腰を振り続けた・・・

いつか、逝けるその日まで・・・・


                   完

私も一人だよ

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― 新着の感想 ―
[一言] 腰を振りながら涙を流す男性というのは、あまり見ない描写でいいなと思いました。女性が涙を流しながら…ならよくある気がしてしまうんですが。彼の彼女への頑なな愛情が感じ取れます。 また、かっこの中…
[良い点] 最後思わぬ展開に行ったのがいいです
2013/01/05 19:24 退会済み
管理
[一言] こんな小説が書きたかった。この小説と出会えてホントによかったです
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