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選者は勇者9
沈黙が続いた後、ややあって、麒麟さんは言った。
「この話をするのは早すぎたかもしれないが。」
「いや。少し確認させてほしい。」
「どんなことがあろうとも、我々に協力してくれるだろうか。」
「まだ言っていなかったが、我々の目的は、ラフトの壊滅だけではない。」
「君の住む世界の……破壊だ。」
またも続く沈黙。
「嘘…ですよね。
そんなの、協力すると思いますか?
自分の故郷を消してまで、救わなきゃいけないものってなんですか?
そもそもここにいるのだって、誘拐じゃないですか。
返してください。友達を、学校を、街を、国を、家族を。
返してよ……返してッ!
私の世界を破壊する?そして何を救う?
大したボランティアですね。
住んでた世界より大事なものって何?
今すぐ私を家に帰して。」