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選者は勇者
「茜ー!遅刻するわよー!!」母の声がする。
「ヤッバ!」飛び起きて時計を見るといつもなら出る時間を過ぎている。
とりあえず着替えて家を飛び出す。…4時間目までお腹はぺこぺこだな。
チャイムと同時に教室に着いた。「ギリギリセーフだね。」
後ろから聞こえる声は、舞だった。「寝坊したん?」「うん。」
先生が入ってきて朝礼が始まる。朝礼じゃなくて小声のお喋りタイムだ。
「珍しいね、寝坊なんて。」「昨日遅くまでゲームしてたからね。」
「ダメじゃん!ゲームかよ!」「だってレベルが全然上がらなくてさ」
「今日数学の小テストあるけど、平気?」「え!本当に!?」「うん。」
それはマズい。かなりマズい。「舞、勉強してきた?」「一応。」
ここでポイント。女子の「一応」は自信があるって事。常識。
「ひどいっ!裏切り者!」「忘れる茜が悪いんでしょ!」「そんなー…」
「だって落ちると補習だよ。」「マジかー…。」
数学は苦手ではないけどさすがにノー勉で試験はキツいかもな…。