表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
男装女子と七人兄弟  作者: カナ
5/5

ドタバタ!お風呂騒動!?

「あー…昨日は色々ありすぎて疲れたぁ」


そう。事の原因は昨日。女子に追いかけられるわ、神無月兄弟だかが来るわ、一緒に行動することになるわで、ホントに疲れた……


「でも…気持ちいいー…」


何故かというと…温泉に入っているから。実はこの学校のお風呂は温泉で、登校時間前と放課後に開放されている。私立とはいえ、少しやりすぎだよね…露天風呂まであるし。


「でもまあ…」


気持ちいいし、いっか!


「それにしても…管理人さんが言った通りだなぁ…ホントに誰もいないや」


時計は9時。普段、僕は部屋風呂を使ってるんだけど、気分を変えて、温泉にしたんだよね。朝に管理人さんに確認すると、人がいない時間帯を教えてくれて…ここ、元々女学校だったから、男子風呂無くて…


(…僕、他の人から男子だって思われてるからなぁ…)


ホントは女子だけど、女子と一緒にお風呂入ったら正体がバレるし、もし、バレなかったとしても、間違いなく変態扱いだ…


「ふぅ…とにかく、今はリラックスだね!あいつらもいないことだ…し…!?」


突然、ガラガラッと、脱衣所の扉が開く音がした。


「それにしても、ここはすげーな!」


「学校なのに、温泉だもんな」


「珍しいですよね。」


「…珍しいどころじゃないと思うが」


「まあまあ。細かいことは気にしないでいいんじゃない?」


「…心の言う通りだよ。」


(…!?)


『心』ってことは…神無月兄弟!?


「なんで…!?誰もいない時間じゃ…あ!?」


そういえば…管理人さん、夜は留守にするとか言ってたから…あいつら、管理人さんに会ってないんだ…!


(落ち着け…落ち着くんだ、僕!どうすればいいのか、きっと打開策はどこかにある!)


なんて考えていても、全然何も浮かばなかった。思考が回らなくて…頭ん中がぐるぐるしてるよ…!


「よし、じゃあ開けるぞー」


ろ、六男の声だ!や、やばい!


「いちいちいいから、そういうの。早く開けてくれる」


「ったく…慧雅は…」


そして…


ガラッ…


「…は?」


「あ…」


扉を開けた六男が目を見開いている。


「な、なななな、何故、あなたがここに!?」


「お、おおおお、落ち着け、洸兄!」


「…颯樹兄さんもね」


と言っている七男にも、戸惑いのある表情をしている。


「…っ…僕…部屋風呂にします…!」


「お、おい洸兄!?」


五男が止める間もなく、長男は高速で着替えて出ていった。


「あー…えっと、その…」


「…何、迷ってんの?オレたち、風呂入りに来ただけでしょ。」


と、四男が入ってくる。


「あ、ああ…まあ、そうだな」


と、六男たちが続く。


「…ねえ」


「は、はい!?」


「…あんた、そっち向いてて。体洗うから」


「う、うん…!」


僕は慌てて壁の方を向く。


(…なんで僕がこんなこと)


シャワーの音が、耳に入った。幸い、ここの壁は木でできてるから…って…!


(僕…何考えてんの…!!)


ふう、とため息をつき、温泉の温かさに体を集中させた……。




「…えっと」


そんなこんなで…兄弟たちも、お湯に浸かっているんだけども…


(…変に緊張するな…いやまず、一緒に入ること自体おかしいよな、うん!)


ちなみに、兄弟たちの思考回路は…!?


(…早く上がりてぇ…!)


(お湯…もっと熱くできないのか?)


(…眠い)


(女と、一緒に浸かってるお湯…)


(気持ちいいーなぁ…)


(ふふ…先輩、顔真っ赤)


というような、おバカな思考回路でした☆


…ということを、一希は知るよしもありません…。


「…ねぇ、一希ちゃん」


「え?は、はい!」


突然、三男に話しかけられる。


「えっと…」


「…一波、でいいよ」


なんて呼ぼうか迷っていると、少し艶っぽい声で、三男がそう言った。


「い、一波先輩?」


「…先輩つきがちょっと残念だなぁ」


「せ、先輩は先輩ですから!」


と言うと、苦笑いして、一波先輩は立ち上がった。


「じゃ、僕は上がるよ〜おやすみ、皆!」


「は、はい…」


一波先輩が去った後…


「早上がりなのは相変わらずだな」


と、次男が言った。


「へえ、そうなんですか」


「ああ…」


次男も無言で立ち上がる。


「……オレのことは…渚羽でいい」


「え?」


その言葉を最後に、次男は上がった。


「オレのことは、稜雅な!」


「…オレは…」


「お前は、髪型不思議野郎で十分だろ!」


「…は?ケンカ売ってんの、それ」


「さーあなー♪」


「…っ!!…上等だよ…表出ろ…!」


と、双子のケンカが勃発。二人は睨み合いながら脱衣所に行った。…四男も、年相応なとこでムキになるんだなぁ…


「はっ!服着てまでケンカしようとするとかマジでお前らしーよな!」


「じゃあ別にお前は着なくていいけど?そのまま外に出て、変態扱いされて通報されたいならな」


「んだと!?」


…ここまで聞こえるし…。


「はあ…しょうがねぇ。オレも行くか…」


と、六男も脱衣所へ向かう。


「お前ら、ケンカなんてやめ」


『うるさいんだよ!年下のくせにいきがるなよ!馬鹿野郎が!』


「…!……てめぇら…人が親切に止めに入ってやってりゃあ、好き勝手によ…!!」


と、二人同時の、息ピッタリな言葉に、六男まで参加してしまった。やがて、その声も静まり、聞こえなくなった。多分、外に出たのかな。


(…てことは…?)


七男と二人きり!?


「…ん?どうかしました?先輩」


「あ…えっと!えっとね…」


あ、そういえば…


「前から思ってたんだけど…僕に対して、敬語は使わなくていいよ?」


「え?」


「ほら、やっぱり、一緒に行動してるし、あんま変に硬くしなくても、って思って」


「…そういうことですか。なら」


七男は僕に近づいて来る。髪の毛から滴る水滴の音が、僕の胸をより高鳴らせる。


「…今度から素でいくね?…僕のことは、心って呼んで」


「…心くん…」


僕の胸はうるさいまま。さらに、体中が熱くなってくる。


「……暑い」


「…一希先輩?」


心くんの呼びかけが聞こえたのは、それが最後だった…。



「…ん…?」


「あっ、気がついた?」


「…碧璃…?」


あれ、ここ…僕の部屋?僕、温泉にいたんじゃなかったっけ?すると、僕の考えてることを見透かしたように、


「一希、すっかりのぼせてたの」


「…のぼせてた?」


碧璃は笑顔で頷く。


「ドアのノックが聞こえて、出てみたら、心くんがいたんだもん、びっくりしたよ。心くんについていったら、そこは脱衣所で、その上、全身真っ赤にして横たわってる一希がいるんだから、ホントに驚いた」


「え、マジで?」


と言うと、彼女は、まず最初に言うべきことがあるでしょ、と言わんばかりに、にっこりと暗黒微笑を浮かべる。


「えっと…」


改めて、碧璃に事情を説明する。


「…要するに、混浴してたってこと?」


説明が終わると、彼女は呆れたように頭を抑えて、ため息をついた。


「はあ…なんでそんなことになるの」


「さあ…なんでだろうね、ははは…」


「もう…今回は心くんが部屋まで運んでくれたからいいけど…」


「…え!?ちょっと待って!」


今…何て言ったの?


「心くんが…運んでくれた?」


「うん、そうだよ。『先輩を着替えさせてください。僕はできないので』って言って、脱衣所を出たから、てっきり部屋に戻ったと思ったんだけど…」


徐々に、鼓動が早まるのがわかる…。


「着替え終えてから、扉を開けたら心くんがいて…『先輩をこちらに。』って言って、一希を軽々と持ち上げて、お姫様だっこしたの」


「なっ…お姫様だっこ!?」


と言って、僕は勢い良く起き上がる。


「大丈夫だよ、他の人たちはほとんど部屋にいて、寝てる人も多かったし」


「そ、そっか…ならよかった。」


ううん。ホントは違う。人がいるいないとかに慌てたんじゃなくて…


(…お姫様だっこ…女の子みたいに扱われてたことに…僕は…)


「あ、そういえば、一希の額にキスしてた」


「…え……?」


「ベッドに寝かせたと思ったら、前髪かきあげてそのまま…。その後、『先輩をよろしくお願いしますね。』って、部屋を出て行っちゃうんだもの……一希?…一希!」


「…え、えっ!?な、何…かな?」


僕の顔はどうなっていたんだろう。碧璃はただ、驚いたように僕を見つめていた……。











































評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ