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男装女子と七人兄弟  作者: カナ
4/5

これから一緒に…

名前で呼ぶ!?何故、そんなことになる!?


「オレの言うことは絶対だからな!で、お前の名前は?」


「…た、高城一希。」


「一希、か。いい名前だな。」


六男は勝手に話を進めていく。


「いいか、よく聞け。今日からお前はオレ達と行動を共にしろ。絶対に、な。」


ニヤリとしながら、そう言った六男。…理解に苦しむ。


「何でだよ!?」


「そんなの、オレの勘だ。何が悪い?」


「悪いも何も…!」


「えー、いーんじゃない?僕、賛成!」


三男がそう言った。


(何…だと!?)


「僕も賛成…かな?」


「…どうでもいい!」


長男に次男。


「あー…オレは賛成。」


「別にいーんじゃね?」


双子。


「僕も賛成。」


…七男。満場一致!?


「決まり!じゃ、よろしくな?一希くん?」


「ちょっと!僕は納得してな…。」


ダンッ!!と、思いっきり壁に突きつけられ、


「うるさい…もう決まったことだろうが…つべこべ言わずにオレ達と一緒にいろ!じゃないと…全校生徒に女ってことバラすぞ。」


次男怖ぇぇぇ!!


「おい!暴力は許さないぞ、渚羽!」


「暴力じゃない、脅しだ。」


「まあ、渚羽は暴力はしません。大丈夫ですよ、颯樹。」


「で?どうするんだ?」


…僕は…


「わかったよ!!わかったから!バラすのだけは勘弁してくれ…」


「決まりだな!」


六男は笑みを浮かべた。するとその時、


「一希〜!?」


「碧璃!?」


息を切らしながら、碧璃が走ってきた。


「一体っ…どうしたって、いうのっ…!?」


「あっ、えっと、ごめん!!無理に追いかけて来なくても良かったのに…本当にごめん。僕のせいで。体力ないのに…」


「そんなことより!…この状況、何?」


碧璃は七人兄弟達をちらりと見る。兄弟達は顔を見合わせた。


「えーっと…」


僕は今まであったことを話した。一緒に行動すること。女だということがバレてしまったこと。話し終えると、彼女ほ深いため息をついた。


「はあ…まさか、よりによって男子に…。」


「ごめんなさい…反省してます。」


「過ぎたことは仕方ないわ。でも…」


碧璃は悲しげな顔を浮かべる。僕が離れることが悲しいのか、それとも――――…。


「なあ一希。そいつ誰だ?」


六男が聞いてきた。


「あ…同じクラスで、親友の北川碧璃。」


「どうも。」


彼女はぺこっと頭を下げる。普通なら少し動揺するだろう。だが、彼女は冷静だった。けど少し…悲しそう?ううん、辛そう…。


「ふーん…。」


「な、何ですか…?」


彼女は、スカートの前で手を組んでいたが、さらにそれに力を込める。口はきゅっも一線に結び、大きな瞳を揺らす。そんな彼女は、とても『女の子』らしい。少し羨ましかった。自分は、あんな態度…。そう思うと、思考が止まらなくて、切なくなる自分がいる。僕はどうしたいのかな。

六男は僕をちらりと見た。そして、また彼女へと視線を移す。大きな瞳がまばたきをして揺れる睫毛。六男はそれを見据えているようにも見えた。


「…よし、お前もオレ達と一緒にいろ。」


「え!?」


碧璃は目を見開く。


「ど…どうして」


「ん?そんなの、オレがそうしたかったからだ。それだけ。ていうか、理由なんているのか?」


六男はニッと笑う。碧璃は、


「…いりません。」


と言った。困ったように笑いながら、でも、嬉しそう。


「もう一人加わったの?」


三男が、目を輝かせながら言う。


「賑やかになるね〜!よろしくね、えっと」


「碧璃、でいいです…!」


「そっか。じゃ、碧璃ちゃん!よろしく!」


「よろしくお願いしますね、北川さん。」


「…よろしくな。」


「これから、よろしく!」


「…まあ、よろしく…。」


「これからよろしく頼むぜ、碧璃!」


「よろしくお願いしますね、北川先輩。」


皆の挨拶に、彼女ははにかみながらも応えていた。


「…だが、オレ達はお互いに名前で呼び合うぞ!」


「え、颯樹兄さん、なんで?」


七男が言った。


「決まってる。仲間で、友達だからだ。お互い信じあってると思える証、だ。」


「…。」


次男の視線が鋭くなる。これは…もしかすると…。


「呼び方は自由だ。あだ名はダメだぞ、変なのつける奴が絶対いる!」


…変なあだ名の時期、あったんだな…。


「おい。」


「なんだよ、渚羽」


「オレは呼ばないぞ。」


「オレが決めたことに逆らうんじゃねー…」


「年下で弟のくせにオレ様気取りか?…いい身分だな。いいか、オレが上だ。お前こそオレが決めたことに口出しするな。わかったな」


「はいすんませんでした」


六男がすぐに謝った。


「…ま、まあ、渚羽以外の奴はちゃんとやれよ?いいな?」


『はーい。』


次男以外は、返事をしていた。すると…


『キャーッ!!』


「えっ!?」


一斉に後ろを振り返る。…たくさんの女子がいた。


「神無月先輩と高城先輩が!?」


「え、嘘!?一希くんもいるの!?」


「高城くんが!?」


「本当だわ!!」


「…お前、モテんのな」


「う、うっさいよ。」


六男と小声で話す。


「イケメンが八人も!」


「それぞれタイプが違う…」


「これは…」


『イケメン8だ〜!!』


女子達の大きな声。耳がキンキンした。


「イ、イケメンエイト!?」


「何それ!?」


六男と三男が驚く。


『イケメン8〜!!』


くそっ、女子共め!!某アイドルのアイツらみたいに言うな!


「ったく!某アイドルのアイツらみてーに言うんじゃねーよ!?」


六男、アンタは僕と同じツッコミすんな!つまんない!てか、同じこと考えてたのかよ!?あーっ、もう女子がうっさい!多すぎ…暑苦しい!


「高城くーん!!」


「かっこいい〜!」


女子達が周りを囲む。僕は、


「…っ…またこのパターンかよ!?」


…何度目になるだろうか…数え切れないこのパターン。僕は大きな声で、心の叫びを口にしたのであった…。

























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