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男装女子と七人兄弟  作者: カナ
3/5

男の子である僕と女の子である僕

あの男子達は何者なのか。

そう考えていたら、ある一年女子の声が耳に入ってきた。


「ねえ…あれって…」


「絶対そうよ。間違いないわ。」


「ち、ちょっと!」


「わっ、た、高城先輩!?」


「僕にも教えてくれないかな?あいつら、一体何なの?」


一年生は顔を見合わせて、


「噂ですけど…」


「別にいいよ、どんなのでも」


「わかりました…じゃあ、えっと」


一人の女子が話し始めた。


「噂では、神無月グループのご子息が編入してくるとか。」


「なっ…!嘘だろ!?あの神無月グループか!?」


神無月グループ。有名な企業だ。まさか、その社長の息子が、ここに…


「一番右の方は長男のこう様で、大学部です。その次の、そっぽを向いてる方は次男の渚羽しょう様。同じく大学部です。ピンをしている方は、三男の一波いちは様。高等部です。四男、五男は双子で、まず、無表情の方が四男の慧雅けいが様。そして双子の弟である、五男の稜雅りょうが様。不敵に笑っている方は六男の颯樹さつき様。そして最後に、七男のしん様です。」


「…そう。ありがとう」


「いえ!お役に立てたなら良かったです」


…一年生は校舎に戻ってしまった。


「あっ…まだ聞きたいことあったのに…。」


僕は、兄弟達に目をやった。すると、三男と目があった。彼は笑いながらこちらに向かって来る。


「君、男子?この学校、男子いたんだ!」


「えっと…」


「僕てっきり、男子が僕達だけなんじゃないかって思ってたよ〜!」


「あの、そのっ…」


焦っていると、


「こら!一波!初対面の方に、その態度は失礼ですよ。」


…と、長男が来た。


「そうだよ。一波兄さんはフレンドリーすぎるんだよ。」


七男まで!?


「べ、別に僕は気にしてませ…」


「お前が気にしていなかったとしてもオレ達は気にする。」


「…渚羽兄も、なかなか失礼だぞ。」


次男と五男も来た。


「眠い…。早く行こう。」


四男も続き、


「慶雅、そればっかだな。」


六男も…。


「…ん?」


「え!?」


六男が、急に顔を近づけてくる。上から下まで見回してきた。


「お前…おん」


「わぁあぁああぁーーーーーーーーー!!!!」


僕は咄嗟に、大きい声で叫んだ。そして、六男の手を掴む。


「ちょっとこっち来い!」


そのまま引きずって校舎裏まで来た。


「いってぇ!いてぇっつの!!」


「うるさい!黙れ!」


僕は六男の手を離し、足を止めた。


「言っておくけど、僕は男だよ。確かに中性的な顔してるし、背も低い方だけど、女じゃない。」


「……。」


六男は僕をじっと見つめてくる。


「あのさ…まだ疑って」


「そういうことか。」


「!?」


声がして、振り返ると、次男がいた。


「お前、女なのか。」


「なっ、ちがっ…!」


「違わないよね?」


今度は三男が来た。続いて、長男、四男、五男、七男が来る。


「僕、君のこと間近で見たけど、可愛い顔してると思うけど?」


「確かに、あなたは、中性的で可愛らしい顔をされていますね。」


「まあ、男に見えなくもないから、最初は分かんねーけど…」


「…稜雅、失礼。」


「慧雅もかわんねーだろ…。」


「…別に何でもいいけどさ…こいつ、女なんだろ?なら女でいいだろ、めんどくさい」


「それは僕の台詞…てか、女じゃないし。」


僕は皆の言葉を否定した。


「……」


「な、なんだよ」


「……」


六男が近づいてくる。何も言わずに、ジリジリと。


「だからっ…何…!?」


六男が僕の髪に、指を通し、すっとすいていく。


「…!」


僕は、驚いて固まった。少しずつ、顔が紅潮していくのがわかる。…初めて、男子にこんなことされた…。どんどん恥ずかしくなってきて、僕はつい…


「…っ…私…は…っ」


「!」


「あっ…!」


どうしよ…バレた…!!


「やっぱ女じゃねーか。こんくらいで顔真っ赤にするなんて、可愛いじゃねーか!しかもお前、ちゃんと『私』って言ったな?」


「…っ…!」


さすがに言い訳が出来なくなった。そして同時に、可愛いと言われたことに恥ずかしさを覚える。


「…そのへんにしてやれよ、颯樹。こいつ、今にも倒れそうな顔してる…。」


「け、慧雅…だってよ、こいつ面白ぇんだもん!くくっ…はははっ!つい、からかいたくなっちまうんだよ!」


そう言うと、僕に向き直って、指を指してきた。


「お前、オレのことは、颯樹…名前で呼べ!」


「…は!?」











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