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流星群さながらのおれの乱れ撃ち。びゅんびゅん風を切り葉と枝の隙間を抜け、これまた隕石さながらに地面に激突し弾けている。
地面にはあっという間に赤い水玉模様ができあがり、まるで地面が湿疹でも患ったかのような有様だ。
「どわわわわわわ!」
これにはさすがの盗賊も避けの一手に回るしかないようだ。絶え間なく身をかわし、時には樹の幹を盾に赤の実の直撃を防いでいるが、その顔に先ほどまでの余裕は見えない。
あれ、これ形勢逆転じゃね?
「ぬはははは。攻撃魔法メテオ!」
「ちょ、タイム……」
もちろん聞いちゃあいない。
優勢になった途端元気になるのがおれという人間である。端から見たら十人中九人がおれの方を悪人と判断し、残りの一人は即座に通報しそうなほどに邪悪でクレイジーな笑い声をあげながら撃つ撃つ撃つ。
きっと周囲の大人が育て方を間違えたんだろう。本人のせいじゃない。ラグナ、きみは悪くない。
もはやハイになりすぎて、セルフジャッジで脳内裁判まで始まっていた。無事おれは勝訴したようである。
脳内がそんなんだから、周りなんざ見えてない。唯一視界に入ってた盗賊でさえ、逃げ回るだけの的としか認識していなかった。
「いい加減に……」
だから当然、盗賊の表情がだんだん苛立ちをつのらせているような、我慢の限界に達しているような険しいものにかわっていってることにも気づかない。
「しろお!」
盗賊はくるりと身体を翻し、樹の幹に向かい合うと、右腕を大きく振りかぶる。
ほんの一瞬の静止の後、盗賊の拳が影すら見切れぬスピードで幹へと弾けた。