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やっぱり神なんて大嫌いだ。ファッキンゴッド。
目的の丘に到着し、今はその頂上に生える大木の樹上に身を潜めている。
イクスの樹と呼ばれるこの植物は、じじい曰く『特殊な』植物らしい。まずその形状。
パッと見には、なんも変哲のない広葉樹。が、枝と葉のつき方が特殊である。らしい。
枝葉がドーム状を形成し、その内部は空洞である。樹の真下から上を見上げても、その空洞内部の様子が窺えないほど枝葉の密度は高い。
簡単に言うと、天然のテントである。
枝葉のテント内に入れば、太い枝が幾本も伸びていて、足場には困らない。
さらには、葉の隙間から外の様子も窺える。隠れるにはもってこいなのだ。
これが、この樹が特殊と言われる理由の一つ。
ところで、なんでおれはテントに隠れてるのかって話だが、別にじじいがここまで追ってきた訳ではない。
ただ、じじいは関係している。否、じじいの言っていたことが関係している。
そう、盗賊だ。
「嘘だろ……。とことん」
――ついてない。
後半は言葉にはならず、代わりに溜息が漏れた。
不自由な足で丘へ辿りついたおれは即座に大木に登ったのだった。
片足での木登りは骨が折れたが、なんとか樹上にてくつろぐに至った。
ちなみに、骨が折れたってのは、何も骨折したってことじゃなく苦労したって意味だ。知的な言い回しだろ?
ふふん。
そうして一息ついたおれが何の気なしに天然テントの外を覗くと、平野を見渡すことができて、そしてその中に一台の荷車を引いた馬と、こちらの丘を目指して歩いてくる男―おそらくは盗賊―を発見したのだった。
んで、さきほどの暴言につながる訳である。あぁ、最悪だ。
もう一度言おう、ファッキンゴッド。