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RagnaLog~金色の旅人~  作者: とうろく
プロローグ
2/73

2

 ※


 初めまして。おれの名前はラグナ。


 突然だけど、おれは今怒っている。今と言うか、ここ最近は気に食わないことだらけだ。


 さっきだってまたじじいに怒鳴られた。ちくしょう。


 しわしわの枯草みたいなじじいのくせに、怒鳴り声だけは無駄にでかい。

 おれが外に行きたいって言うたび、メンタマひん剥いて怒鳴りつけやがる。 

 

 そんなに怒鳴らなくたって聞こえるってんだ。


 何が「お前にはまだ早い」だ。おれはもう十五だぞ。

 ちっ。


 業腹を抑えきれずに、誰に聞かせるでもない悪態をつきながらおれは森を歩く。

 草が踏み倒され立派な獣道となっているが、これをこさえたのはおれだ。

 だから、これはおれの道。ふふん。


 向かうは丘。さらに言えば、その頂の大木。


 立腹の時は、たいていあそこに行って気を静める。辺りを見渡せる大木の樹上は、おれの特等席だ。


 じじいが、最近は賊が多いから子供は森の外に出るなとか言ってたが、知ったこっちゃねえ。

 おれはもう大人だ。賊なんて余裕で返り討ち。


 あからさまな悪人面の盗賊を華麗に撃退し、襲われていた絶世の美女から感謝の抱擁を受ける場面まで妄想が展開したところで。



 ――グキッ、と


 

 視界が暗転。直後に顔面を強打。顔面と足に鈍痛。

 コケた。派手にコケた。ちくしょう、痛い。

 鈍痛鈍痛鈍痛鈍痛。

 最悪だ。口に泥が入った。口内がジャリジャリする。

 何よりダサい。最悪だ。


 不幸中の幸いは、目撃者がいないことか。転んだのが村でなくてよかった。

 こんな失態、村の連中、とりわけじじいには見せる訳にはいかねえんだ。

 どうせ、鼻で笑った後に『小童が』とか吐き捨てるに違いない。


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