月と黒猫
夜空に月がのぼりました
月は夜空で笑っていました
ゆらゆらと何かをのせてただよっている
そんな様子でもありました
そんな月を見上げる黒猫がいました
「お月様は一人で寂しくないのかな?」
黒猫はそっとつぶやきました
月に声が届くはずもありませんので
答えは返ってはきませんでした
でも黒猫に答えは必要ありませんでした
「お月様になれたらいいな」
黒猫はため息混じりにいいました
「でもそうしたら空から眺めているばかりで
風の強さも 雨の厳しさも 花の匂いも
鳥のうるさい鳴き声も 食べ物の美味しさも
知ることなんてできないだろうな
あんなに高いところにいて
手もないし 誰かが運んでいる様子もないし
それじゃ わからないだろうな
それなら 僕は今の僕のままでいいや
昼寝もできて ご飯も美味しく食べれるのだから」
黒猫は月が空を泳いでいるのを見上げて
ニャーオと一鳴きして挨拶をしました
月はなんでも知っているような何も知らないような
そんな顔をしていつも通りに地球を回っていました
黒猫が諦めたような浮かれたようなそんな声で
月に挨拶したなんて些細なできごとなのでした




