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桜の木の下で  作者: リンゴいぬ
4月 部活それぞれ
17/33

第三話 雫Side


しばらくしてからようやく復活した佐藤先輩は頭をさすりながら今日の部活内容を教えてくれた。


「今日は仮入の子もいるので楽しんでもらうためにも鬼ごっこをしたいと思います…ねぇ遥がチョップしたところすげー痛い。」


「もともと15人くらいしかいない部活だしちょうどいいね。鬼は2人。早速じゃんけんをしようか。」


「ねぇ、スルー?オレのことスルー?」


佐藤先輩をスルーしてじゃんけんをしようとする鈴木先輩のところを佐藤先輩がうろちょろする。そんな佐藤先輩がウザかったのかまたスパーンとはたいていた。うわぁ…痛そう。陸と顔を見合わせてちょっと笑ったとかしてないです。佐藤先輩そんな顔で見ないで下さい。真面目な顔立ちなのですごく怖いです。真面目な顔立ちなのですごく怖いです。大事なことなので二回言いました。


それからじゃんけんをすると佐藤先輩と鈴木先輩の2人が最終的に鬼となった。


「なんでお前と鬼なんだよ…。」


「本当だよなー。これだと遥とどっちがおに最強か比べられないよなぁ。」


思わず陸が小声でそこかよ、と呟いた。相手がウザいから嫌とかじゃないんだ…まぁいいことだけど。というか鬼最強ってなんですか。どっちがどれだけタッチできたかとかそういうやつですかね。そんなことを考えていると先輩たちが数を数え始めた。10数えたら追いかけてくるはずだ。急いで逃げないと!


「じゅーうっ!」


佐藤先輩の大きな声が聞こえる。私はしばらく本気で走って一定距離を開けてから息を整えた。それから息が落ち着いて私が振り向くと、陸が鈴木先輩に追いかけられている。さすが運動は得意な陸だ。先輩とかなり距離をあけている。私もあんな風に男子と同じくらい走れたらいいんだけどなぁ。陸を目で追いかけていると佐藤先輩が目にはいった。あ、佐藤先輩。そう思って焦点をそちらに合わせるとバチッと先輩と目が合った。あ、これはロックオンされた…。2、3秒見つめ合うと同時に私と先輩は走り出した。


「ふはははは!木之本ちゃんまてまてー!」


「先輩その笑い方!魔王ですか!?」


まるで悪い人の笑い方のようで思わずツッコミをいれてしまった。それにしてもさすが部長!本気で走ってもなかなか引き離せない。やっぱりこれが男女の差ってやつかなぁ…。女子の中では1番だったから地味に悲しい。それからしばらくは先輩に追いかけてられていると目の前には陸と鈴木先輩がいた。ぶつかる!慌てて飛び退いて避けてから後ろを振り向くと、2人は鬼ごっこを放棄して何かを語り合っていた。鬼ごっこ中になにしてるんだろう…。若干呆れつつも私は話してる内容が気になったので佐藤先輩に追いかけられながら2人に近づいてみた。


「まさか鈴木先輩も同じ悩みを持っているとは思いませんでした。」


「僕も後輩にいるとはね。本当に見た目がチャラいからって怖がられるの嫌だよな。」


「そうですよね!茶髪だって地毛なのに!どうしようもないじゃないですか…。」


あー…なるほど。そこでわかりあっていたんだね…。佐藤先輩も内容が聞こえたのか私を追いかけるスピードを緩めた。それから2人の会話に加わり始める。あれ…これって鬼ごっこだよね…?鬼が放棄し始めたからか他の先輩達も話し始めてしまっている。仕方が無いから陸のところへ行くと鈴木先輩と佐藤先輩がもめていた。どうしたんだろう?


「陸、先輩達は何をもめてるの?」


「容姿のことについてだな…。」


容姿について?もしかして佐藤先輩も真面目そうに見えて中身はお茶目だから気にしてるのかな?そう思っていると鈴木先輩が話し始めた。


「お前はいいよな。真面目そうな顔してるから先生受けとかいいしさ…中身は明るいからクラスメイトにも好かれるし…。」


「だろ?オレ、自分の容姿が好きだわ!あれか?ギャップ萌えってやつ?良くね?オレの容姿良くね?」


あ…全然悩んでなかった。むしろ気に入ってた!鈴木先輩はプルプルと震えてから佐藤先輩の肩をグッと掴んだ。それからキッと顔を上げて佐藤先輩を見る。それから思いっきり叫んだ。


「こんのナルシーやろぉぉぉ!滅びろっ!」


佐藤先輩の肩をグラグラと揺する鈴木先輩は軽く涙目だ。佐藤先輩はニヤニヤしてこの状況を楽しんでいる。周りの先輩に目だけで助けを求めると、いつものことだから、と言われる。全く気にしていなかった。大丈夫かな…この部活。



佐藤先輩と鈴木先輩。


正反対なのに何だかんだで仲がいい。


凸凹コンビってやつですね。


あと少しで陸上部編が終わります。

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