空と彼女
僕は彼女に恋をした
でも彼女は青く澄んだ空に恋をしている
僕はずっと彼女のそばに
でも彼女はただ空に手を伸ばすだけ
彼女は言った
「ねぇ、空ってどんなところだろう」
「空はただのそらだろ」
彼女はすこしうつむく
「どうやったら空にいけるかな」
「飛べるようになったら空までいけんじゃん」
彼女はうつむくまま
「どうしてあなたは私のそばにずっといるの」
「そりゃ君が気になるから」
僕はうまく言葉がでなかった
ただ当たり前のことを言っただけでちゃんとした気持ちをなぜか言えなかった
彼女は上を向いて笑った
「ありがとね」
その言葉の意味が僕にはわからなかった
「なにいってんだよ。そろそろもどろうぜ」
「ありがとね。さよなら」
僕が振り返ると彼女はそこにいなかった
ある屋上から彼女は消えた
僕は動けなかった
でもなぜか目から涙がこぼれてきた
下からはサンレンが鳴り響き
僕は気づいた
彼女は空にいったんだと