契約 ~中編~
登校デートみたいなやつを、終わらせた俺はその美しい女性と共にクラスに入った。
男共が羨ましそうにこちらを見ている、哀れな奴らよ。
言い忘れたが、その女性の名を姫神 ナナという。
中学校から、ずっと同じクラスなのだが余り仲は進展していない。
しかし、断じて言うが好きではなぃぃぃ。
姫神は俗に言うモテ女というやつだ。
運動、学力共に中の上。
性格が良いため友達も多く、先生受けもいい。
部活は、確かバトミントン部だった気がする。
俺の対義語みたいな女だ。
しかし、俺もちゃんと友達はいるけどねっ!
俺と姫神が席に着いた途端、担任の体育教師、牛島先生が入ってきた。
「ホームルームを始める前に、最近この近辺で老若男女問わず、行方不明者が多くなっている。
みんなも気を付けるように。
俺が体育の時に鍛えた男共は大丈夫だと思うが、女子が心配だ。
それで、帰宅時に男と女のペアを作って帰ってもらう。
勿論、部活はしばらく停止だ。」
キターーーーーーー。
筋肉牛男、たまには良いこというねぇ。
これで、姫神とペアにでもなったら・・・フフフフ。
しかし、俺は何度も言うがクールなんだ。
冷静なフリをするぜ。
「おまえらも、もう高校生なんだ。
ペアはくじで決めたりはしない。
好きにきめろ。
帰りのホームルームまでに決めて、俺に報告しろ。
以上だ。」
最高だ、牛ーーーーー。
この1時間目を使って、おれはどうやって姫神とペアになるか作戦を立てねば。
1時間目終わりの休み時間。
ろくな作戦は出来なかったので、俺は素直に誘うぜ。
今日の登校のあの雰囲気で、断られるはずがない。
もし、断られたら俺はたぶん、泣いてしまう。
よし、行くぜぇー。
「姫神さん、今日の朝言ってたペアの話なんだけど、お、お、お、俺と組んでくれないか?」
「いいよ。
風間君なら、安心して帰れる。」
イャッホー。
これは、キタな。
もうリア充というやつだな。
「なら、5時に下駄箱で待ち合わせでいい?」
「わかったわ。
なんかデートみたいね。」
これを機に、デートの誘いでもしようかな。
デートはまだいいだろう、まず好きでもないんだし。
そうして、俺と姫神はペアを組んだわけだが幸か不幸か、俺は天使と契約するきっかけを作ってしまったのだ。
昼休み。
俺はクラスの男共と、互いの成果を自慢し合っていた。
意中の人じゃない人に誘われたものや、まだペアを作ってないものもいる。
俺の悪友の一人、火門 朱雀は俺と同じく意中の人を誘えたらしい。
「お前は姫神を誘ったんだろう?
俺はあいつさ、あのクールビューティーな委員長。
渡辺 学美さ。」
「お前、ああいうのが好みだったのか。
俺が最も苦手とする部類だぜ。」
「ああいうのがいいんじゃないか。
ツンデレっぽくて。」
「そうか?
まあお互い頑張ろうぜ。」
帰りのホームルーム。
「みんなペアを作れたらしいな。
男はなんとしても女を守るんだぞ。
それでは、解散!」
牛島のホームルームの短さは異常だと思う。
まぁ、どうでもいいんだが。
約束の15分前に俺は下駄箱に行った。
もう、姫神は来ていたが誰かと話しているようだ。
「ナナ、あの男はお前のことが好きなんだ。
あいつは使えるよ。」
「ダメよ、絶対。
今まで通り、私の体力を吸っていて生きてちょうだい。」
「お前の体力などたかが知れている。
だが、確かにそのおかげかどうかはしらないけど、お前とのシンクロ率も上がった。
60%っていう所ぐらいか。」
「シンクロ率って何?」
「あなたはもう寝ていなさい。
わたしがこれからは表の顔よ。」
え・・・。
何の話だ、意味がわからない。
それより、あの男って俺のことか?
それとも、別の男かもしれない。
「風間君、もう来ていたの?
さぁ、帰りましょう。」
「う、うん・・・。」
こぇぇぇ。
何だ、本当に姫神か?
声のトーンが低すぎる。
「私を守ってくれるんでしょ?」
そう言って姫神は、手をだしてきた。
これは、握れってことなのか?
その時気が付いた、姫君の手の血管が緑色になっていることに。
こいつはやべぇぇ。
精神病なのかな、二重人格とか。
だが、おれは何故かその姫神も美しいと思ってしまい、手を握ってしまった。
その日の晩。
おれは寝ようとした時、いきなり突風で窓が開いた。
「うわぁぁぁ。
びっくりしたー。
なんだただの風じゃねぇか。」
「おい少年。
僕を無視する気かい?」
俺は、目を疑った。
俺の部屋に見知らぬ男がいたのも驚いたのだが、それ以上にこの男の風貌だった。
金髪に黄色のコート、風で形作った翼のようなもの。
それは、まさに俺が想像していた天使のようなやつだった。
「僕の名はラファエル。
大聖神の三男である、大天使だ。
僕と、契約しろ。」