契約 ~前編~
仏典堂高校、2年2組、出席番号4番、学力は中の下、部活はテニス部というのが、風間 聖哉つまり俺のプロフィールだ。
俺が入学した仏典堂高校は、文字通り仏教系の高校だ。
しかし、俺は全く宗教というものに、興味がない。
なにせ、自分の家の宗教すら知らないんだからな。
しかし、これから起こることのために、宗教というものが、どれくらい大切になってくるのかを、俺はまだ知る由もなかった。
前起きはこのぐらいにして、早速本題に入ろう。
俺がどのようにして天使と契約したのか、ということの。
天使と契約することになった朝は、とても晴れていた。
なので、今日は歩いて登校しよう、と思ったのだ。
晴れている日に歩いて登校すると、とても気持ちがいい。
そして歩いて登校すると、目当ての人と一緒に登校出来るっていうのもある。
前方50メートル先に、奴はいた。
長い髪をポニーテールでまとめ、身長は160センチぐらいだろうか、モデルのようなすらっと伸びた足、整った顔立ち。
まさに完璧な女性だ。
別に、好、好、好きっていうんじゃないんだからねっ!
一応、俺はクールボーイなんだ。
冷静におはよう、と言う。
「お、お、おひゃよう。」
しまった、噛んだ。
おはようで噛んでしまった、もう死ぬしかない。
「フフフ、おはよう風間君」
彼女は笑いながら、俺の名前を呼んだ。
クールな俺はあいさつだけでは、止まらない。
「今日の天気は晴れだ。」
よっしゃぁー、噛まなかった。
会話文的にはおかしい気がするが、気にはしない。
「そうね、最近こういう晴れの日にはよく体が痛むの。」
彼女は、そう言って胸のあたりを押さえた。
彼女のバストは、俺の眼力ではDカップぐらいだと、予想した。
俺って本当に最悪だな。
「だ、だ、大丈夫かい?
そんなに痛むんなら、病院に行った方が...」
「ありがとう、もう大丈夫。
もうすぐ校内に入らないと遅刻扱いになっちゃう。
急ごっ。」
そう言って彼女は、俺の手を引っ張った。
俺は、この時幸せすぎて考えてなかったが、この登校時のことがもうすでにフラグになっていたのだ。