表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夢の住人  作者: ことは
1/1

プロローグ

笑っている。

今日もあの子は笑っている。

でも、それは『偽り』だということを私だけは知っている。

だから私は、嘲笑ってやった―――…

プロローグ ユメの中でご挨拶


気がついたら、私は独りだった。

いままで……いままで、必死に取り繕ってきたのに…

『それ』はあっさりと壊れてしまった。


―――ダメだ。考えるな


「こんにちは」


―――ッ!!?


「そんなに驚かないで…?」


―――だ、誰だ…ッ


「私は―――」

汗ばむ手のひらにさらに力を込める。

もしもの時にそなえて


「『世界を救う少女』よ」


それはなんて軽やかな笑顔だったのだろう。



一振り目 『世界を救う少女』と『少年=彼女』


「―――ッ!!…夢…?」

ベットから起き上がり、周りを確かめてみる。


机―――押入れ―――時計―――ん…8時32分…

「あーーーーッ!!」思わず叫び声をあげる「学校!!遅刻するッ」

結局、学校についたのは一時間目が始まってからだった…


「おはよー柚亜。今日も遅刻?」

そういってカラカラと笑うのは、私の親友、瀬名亜梨亞せな ありあ

名前も可愛いけど、顔も可愛い。

性格容姿共に二重丸の亜梨亞はクラスでも人気がある。

ショートカットの髪にはウエーブが掛かっていて、くりくりした目は子リスみたいだった。


…それに比べて、私という奴は…

一応女の子で、胸もそれなりにある。

でも、髪は中途半端に伸びていて、男とばかりつるんでいるせいか、口調は男勝りで負けず嫌い。

おまけに目は徹夜明けで熊ができているしまつ…


「はぁ…」思わずため息をつく。

私の顔を心配そうに覗き込む亜梨亞に、思わず頬を赤らめてしまう。

「どうかした…?悩みとかあるんだったら、きくよ?」

「えっと…?」

悩みは特に―――あっそういえば!!

「柚亜?」

いや…でも、信じてもらえるか…?

夢の中で、『世界を救う少女』と名乗る、

幼稚園児ぐらいの女の子とあって会話をした―――しかも、見たこともない子供と……


「それって、私のこと?」


「!!」


おかしい。

なんだ…これ…空気が…いや、時間が止まってる!?

さっきまで聞こえていた教室の喧騒は音一つなく止み、目の前の亜梨亞も心配そうな顔をしたままだった。


「……。ぉ、ぉ~ぃ……ありあさ~ん…?」

やっぱり…

私が独り納得してると、後ろから盛大な笑い声が聞こえてきた。

「あははははッ。…やっぱりニンゲンは、愚か」

振り向きざまに右足を振り上げるそしてそれは「おっと…ッ」

「なっ!」よけた…?!私の右蹴りを!?……


「ねぇ」それはまるで独り言のようにも聞こえる口調だった「罪を犯したの」

開いていた窓から一陣の風が吹き込んで、綿菓子のようなふわふわの髪がなびく。


…甘い…匂い…、リンゴ…?

―――そう思ったのもつかの間、次に目を開いた時には見知らぬ地にいたのだった……


「嫉妬と傲慢の罪を、ね」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ