永遠の時間建築者
この物語を読み進める前に、一つだけ警告しておく。
前書き
ここには、童話のような飛翔も、無垢な子供時代への郷愁もない。そんなものは、眠りにつくための欺瞞にすぎないからだ。
子供時代とは、ただの時間の浪費にすぎない。記憶とは、ただ体がより速く腐敗するための重石だ。この記録に魔法など存在しない。あるのは解剖学的な真実だけだ。肉が剥がれ、摩擦が生まれ、そして沈黙が訪れるまでの全工程を記した。
出口を探しているのなら、今すぐこの本を閉じろ。ここでは時間が止まっている。唯一の自由は、メスを握る者だけが与えることができるものだ。
未来を奪われた者がどうなるか。その結果がここにある。
ネバーランドは島じゃない。部屋だ。四つのコンクリートの壁、低い天井で汗と結露でべっとりと濡れた鉄のベッド、それに一番軽い動きでギシギシ鳴るもの。
ここでは時間が流れない。時間が腐るものを恐れる連中の発明なんだ。私はそれを理解して、腐りを管理するようになった。腐りを止める方法を学んだ。
そこで、シーツの上に彼女がいる。シーツは染みだらけで、液体が広がった地図のようだ。窓はない。入ってくる光は人工的で、電球を汚い膜で覆ってフィルターしたようなグレーで、大理石のような色合いの肌。
近づく。裸の足が床の冷たさを味わう。踝まで上がってくる冷たい風。
彼女を見下ろす。機能が正しく止まった機械を見るように、エンジニアが機械を見るように。彼女は生物的なシステムだ。組織、腱、血管、腔が最適化されたもので、彼女自身が気づいていない機能:私の養分。
身を乗り出す。いい。虚しくなるくらい興奮する。ロマンスなんかここにはない。
腕に触れる。皮膚が圧力で沈み、抵抗なく沈む。筋肉の張りはない。数日前に彼女の神経から反応能力を奪ったんだ。ウェンディは意志を失った。恐怖を失った。希望を失った。完璧な殻だ。私が用意した容器。層を一つずつ剥がした。外科医のメスなんかでは冷たくて不自然だが、結び目を解くように正確に。
指が触れた時の感覚は、物質がどうにでもできることを思い出させる。いい圧力をいい場所にかければ、人間の体は熟れた果実のように開く。
「ウェンディ」と囁く。返事はない。目が天井の死んだ点を見つめたまま、ほとんど瞬きしない。瞳孔は大きく開いている。
隣に座る。ベッドが沈む。胴体の地形を見る。鎖骨が目立つ、皮膚を突き破りそうな骨の構造。私はその脆さを愛する。美は健康じゃない。脆さにある。壊れそうなものにある。
検査を始める。指が首筋を這う。脈を触れる。遅い、怠惰な鼓動が重力をはねるように。ある日、その脈は止まる。でも今日は、その脈が私のメトロノームだ。舌で頸動脈をなぞってリズムを刻む。味は塩、汗、絶対的なもの。
下へ進む。爪を短く切って組織を傷つけないよう、指が腹腔を探る。そこに本質がある。そこが始まりで終わりだ。彼女は、本質的には管だ。通路だ。何度もその通路を横切って、「彼女」じゃなくなるまで。「私」と呼ぶようになるまで。
横隔膜を押す。彼女が吐息を漏らす。一本の指、二本の指を挿入。自然な潤滑液、熱く厚い液体がバームになる。技術的な侵入だ。普通のエロい快楽を探しているんじゃない。融合を探している。内壁の質感を味わいたい。どう収縮するのか、拒もうとするのか、受け入れると緩むのか。
摩擦が言語だ。皮膚が粘膜にすべる、絶え間ない往復。音は下品だ。湿ったぬめり声、リズミカルな「ぱたぱた」がコンクリートの壁に反響して、閉塞感を増幅する。毎回の突きは一語。毎回の突きは一文。彼女は叫ばない。叫べない。甲状軟骨を特定の圧力で無効にしたからだ。全て沈黙。ただ、私たちの結合の音だけ。
頭の中で子供時代に読んだ解剖図を思い浮かべる。臓器が番号付きの冷たい図表。「A」が肝臓、「B」が胃。視野の貧しさよ。現実の方がずっと汚い。現実とは、結合組織が伸び、裂け、血を流すもの。ファシアの抵抗。筋肉を覆う膜が、指の腹に濡れた絹のように感じる。
奥へ進むと、記憶の廊下を歩いているような気分になる。もしできたら、臓器を剥がすように記憶も剥がしたい。トラウマ、郷愁、呪われた子供時代を、もっと役立つもの——虚無に置き換えたい。虚無だけ。
汗が額から落ちて彼女のお腹に落ちる。滴が白い肌を伝うのを眺める、自分の廃物が彼女の表面に混ざる。液体が移り変わるのに魅了される。彼女は私を吸い取り、私は彼女に侵入する。私たちは開いた閉じたシステムだ。
ペースを上げる。摩擦が高まり、熱が上がる。生きていないのにまだ死体になっていない、息を詰まらせる熱。完璧な状態。ピーターパンの状態。永遠の若さは、この limbo だ。未来がないから老化しない。明日がないから。快楽と痛みの無限ループで自分を食い尽くす。
彼女が震え始める。無意識の痙攣、中枢神経系への電気放電。生き残りの反応を自分でも理解していない。私はそれが好きだ。それが私たちが残した唯一のコミュニケーションだ。触れると反応する。剥がすと崩れる。
手に乳房へ。皮膚が柔らかく、重みがない。 squeeze する。乳腺が沈み、脂肪組織が指の下でずれる。栄養するはずの構造が、今はただ消費される。噛む。彼女が弓なりに反る。骨格が最後の抵抗として立ち上がろうとする、哀れな動き。
マットレスに押しつける。体重で肋骨が感じられる。檻の棒みたいで、恐怖の鼓動を守っている心臓。顔の上に息を吹きかける。二秒止まる。肺から出た熱い空気が彼女の肺に入る。一緒に古い空気を吸っている。同じ息苦しい空間を共有する。
彼女がまだ考えているか、どんな風に考えているか想像する。灰色の脳の塊の中に「ウェンディ」という概念が残っているか。残っていないだろう。太陽を知り、飛べ、妖精を信じたウェンディは、時間、着色、使い過ぎで消えた。今ここに残るのは残骸。生の素材。
動きを再開。今度は奥へ。彼女の能力の限界を探す。体が体じゃなくなり、私の意志の延長になる瞬間。子宮頸管を探す。その外側と内側の境目。押し込まれてくるドア。
強く押す。彼女が低く、鈍い音で喘ぐ。入り口はきつい、温かい、逆さな受容の形。決してこの形では住むよう設計されていなかった空間に足を踏み入れるような。処女大陸を発見する。でも植民地化するんじゃない、破壊する。
毎回の突きが内側に私の署名を刻むみたいだ。彼女の細胞一つ一つに私の存在を知ってもらいたい。筋繊維が限界まで伸びて、ただこの絶対的占有の瞬間しかないことを学ぶ。
部屋は暗い。廊下の薄暗い灯りだけ。壁に落ちる影は、二頭の怪物みたいに永遠の抱擁の中で蠢く。真の形。私たちはウェンディとピーターじゃない。消費する者と消費される者。私たちははさみと紙。私たちは飢えと肉。
作業の結果を一瞬観察する。体表面が粘液のような輝きで覆われ、点滅する光に反射している。唇が開き、乾いている。目が固定されているが、今は……何か。痛み?快楽?状態の最終的な認識?どうでもいい。解釈はコントロールできない人間のものだ。私は実行だけだ。
もっと力強く沈む。今度は。伸びの感覚が総体だ。筋肉が張り、身体が行為の頂点に達した時の解放を探す。オルガスムじゃない。もっと原始的。破壊の前のエネルギーの放出。数世紀前から締め付けられていた結び目を解く感じ。
音は耐えられない。部屋を埋め尽くす湿った水音。自分の息吹を押し流す。彼女が収縮する。壁が私を抱きつかせようとして、内側の暗闇へ引きずり込もうとする。戦いだけど、芝居だ。終わってほしくない。終われば行為は終わり、行為が終われば彼女は虚無に戻る。この痛みが必要なんだ。
肘をついて彼女の顔を見る。歪んでいる。感覚の強さに顔がぼやけている。キスする。でもキスじゃない。液体が交換され、生物情報が移る。彼女の唾液の味、液体の歴史。全てが入る。全てが私のシステムで処理される。
体のアーキテクチャは素晴らしい。骨盤筋が感じられる、緊張し、振動する。柔らかい組織の抵抗が、要求するように少しずつ屈する。浸食のプロセス。人間性を削いで、根底の純粋な生物に到達する。
侵入が速くなり、リズミカルになる。思考は消える。純粋な運動機能だけ。中枢は消え、ピストンとシリンダー。私たちは永遠の拷問の機械の歯車。
もう終わりに近いと感じる。彼女の終わりじゃない。この段階の終わり。骨盤の緊張が電気的、脊髄を駆け上がる鋭い痛み。歯を食いしばり、顎が痛む。彼女も自分の破壊の頂点に達する。かつて無力だった脚が今はマットレスを叩き、存在しないアンカーを探す。
「はい」と囁く。誰も聞こえない。「全部捨てろ」
底まで力強く押し込む。内側構造の最後の抵抗を感じる。そして崩壊。壁が壊れる。巨大な柔らかさ、開く空間、完全な抱擁。身体が放出する。何年も蓄積した欲望、フラストレーション、飢えが彼女の中に注ぎ込まれる。
動きが止まる。沈黙が部屋に戻る、重く濃い沈黙が耳を圧迫する。私たちはそこに、息を荒げて繋がって。彼女が最後のため息を吐く。肺の空が風船が空になるように長い音。
動きを止め、彼女の体が緩むのを感じる。緊張が消える。硬さが薄れる。一瞬だけ、ただ肉として、物質として戻る。
ゆっくり座り上げる。汗が肌を冷やし、背中を走る。体を見る。手は液体でべっとり、光の下で光っている。手で顔を拭う。
ウェンディを見る。彼女は休んでいる。落ち着いていて、満足したように見える。目的を果たした人の安らぎ。使われ、剥がされ、最も純粋な状態に残されたものの安らぎ。
ベッドから出る。床はまだ冷たい。壁際の椅子に座り、眺める。灯りが点滅する。時間がまだ流れない。何も変わっていないのに、何もかもが変身した。私が彼女の一部を消費し、彼女が私の一部を消費した。今は解剖学を超えて、私たちの破壊の構造で繋がっている。
明日もプロセスが始まる。明日も彼女を眺め、構造を測り、限界を探る。明日も彼女の閉じ込めの建築者、永遠の若さの番人。
ウェンディは自由を必要としない。自由は死ぬ者、老ける者、未来がある者に与えられる。ウェンディには未来がない。ウェンディには私がある。このネバーランドでは、それだけが大事。
空気が古い。肉と忘却の匂いが漂う。彼女がどれくらい持つか。建て物が崩壊するまで、この「アーキテクチャ」がどれくらい剥がせるか。知らない。そして関心もない。解体は芸術の一部だ。解体は創造の最終段階。
立ち上がり、ドアへ歩く。少しだけ開けて暗い廊下を見る。出口はない。他のネバーランドはない。この一つの部屋、この一つの体、この永遠で栄光に満ちた血なまぐさしい反復。
ドアを閉める。暗闇に戻る。彼女に戻る。物語は終わっていない。物語はただ始まったばかりだ。かつてあったものが、今は永遠に私の宴の皮に書かれている。
部屋は待つ。体は待つ。生物は嘘をつかない。そして私、ピーターは、成長したくなかったから成長しなかった少年は、食事を止めたくなかったから、この二部を待っている。皮膚が剥がれるまで何が残るかを見たい。純粋で機械的で素晴らしい肉の中身。
ここが物語の終着点だ。
エピローグ
剥ぎ取るべきものは、もう何一つ残っていない。
建築は剥き出しだ。皮膚という無用な境界線は、もはやその機能を果たしていない。その下にあるのは、システムだけだ。震えることのない筋肉、支えることをやめた骨、かつて私が「ウェンディ」と呼んでいた管の網目。
時間は依然として流れない。この部屋は静止した空間であり、空気は循環せず、人工の明かりがコンクリートの壁にへばりついている。
残骸の中に座り込む。勝利などない。勝利とは人間の概念であり、人間とは老い、明日を待ち、死を恐れる生き物だ。私は何も待っていない。作業を終えただけだ。骨にまで到達した。名前も概念も必要としない、究極の構造。純粋な機械。
自分の手を見る。まだ湿っている。それが唯一の記録だ。乾けばただのシミとなり、別の物質へと姿を変える。
外の世界では、時間が過ぎ去っていく。人々は老い、腐り、未来を憂う。彼らは何も知らない。現実とは、ただ沈黙と冷たいコンクリートの壁だけが残るまで、すべてを解体するプロセスにすぎないことを。
これ以上の侵入は必要ない。システムは開放された。機械が止まったのは、死んだからではない。提供すべきものが尽きたからだ。
立ち上がり、部屋を薄暗闇の中に残す。鍵をかける必要はない。ここへ入ってくる者などいない。たとえ入ったところで、何も見えないだろう。そこにあるのは、ただの肉体と、ただの男と、何を意味するのかも忘れた沈黙だけだ。
物語は終わらない。ただ状態が変わっただけだ。それで十分だ。
部屋が待っている。肉体が待っている。生物は嘘をつかない。そして、成長を拒んだ少年である私、ピーターは、この二部作を待っている。皮膚がすべて剥がれ落ちたあとに何が残るのか。その、純粋で機械的で、完璧な肉の中身を確かめるために。




