ノアがお茶会に誘われた日
あれから家に帰って父上に時間を作ってもらうよう家令に連絡した。
実の親に会うだけで時間をもらうってどうなの?どこの家でもそうなの?自分から父綾に会いに行く事が生まれて初めてのことなのでよくわからない。呼び出しは多いけど。
父上は今日は王城での仕事らしい。帰ってきたらサクッとトーマスを家庭教師にしたいと言って了解を得るだけなのに面倒すぎる。
ブツブツと文句を言いながら廊下を歩いていると兄上と母上の楽しそうな声が聞こえた。
二人でお茶を飲んでいるらしい。俺に気づいた兄上が
「ノア!今母上とお茶飲んでるんだけどノアも一緒にどう?」
と誘ってきたが、チラッと母上の方を見るとさっきまであんなに楽しそうだったのに無表情で兄上が俺をお茶に誘ったとき一瞬眉をひそめた。
「折角ですが、お二人でお楽しみください。」
そう言って立ち去ろうとしたのに
「そう言わないでさ、たまには一緒にお茶飲もうよ。」
更に誘う兄上。母上の気持ちをくんであげて欲しい。そして俺の気持ちも。
「ヘンリー、ノアは忙しいみたいだし今日はいいんじゃない?」
今日もだけどな。母上がやんわりと兄上を制止する。
「でも、若葉のお茶会の話もしないと・・・今年は第2王子様のお茶会だから、お遊び相手になることはないけど、将来の婚約者になるかもしれないじゃない。色々教えてあげたいんだけどなぁ」
第2王子のお茶会は第1王子のお茶会と異なり貴族の子息のみの参加だ。
余計な後継者争いを避けるため、第2以降の王子の婚約者は昔から男性であると決められている。
子供を作らせないためだ。どうしても男性と結婚したくない場合は王族から籍を抜いて他の貴族のところの入り婿になるか、他国への入り婿、王家のまま生涯独身又は爵位をもらって後継する気のないこと契約書にサインするかなるしかない。万が一子供を作ってしまった場合は、決して王家の子供とは認められない。
では、もし王太子となった第1王子に子供が出来なかった場合どうするのかというと、こちらはなんとしても子供を成さねばならないので、側妃を設ける場合が多い。そして王太子本人が原因で子供が出来ない場合は、婚姻して10年後第2,第3王子の子種を使って子供をもうける場合もあるが、そのような例は過去に1,2度しかない。そして出来た子供の父親は王太子として育てられる。決して自分が父親であると公にしてはならないことになっている。
今年のお茶会は、将来の婚約者を探す目的でもあるのだ。一家に一人のお遊び相手のルールは婚約者候補には当てはまらないので、ノアにもチャンスがあると言えばあるのだけど・・・ノア本人に婚約者候補とか、若葉のお茶会に興味が無いのだ。
「若葉のお茶会には参加しません。母上も僕には荷が重いとおっしゃっていたではありませんか。それでは失礼します。」
その場から立ち去る後ろで兄上が
「ノアならいけると思うんだよ!」
と叫んでいたが、婚約者候補なんてもっと高位の貴族の子息がなるもんだろ。出来損ないの次男と噂されている子供を王家も選ぶはずがない。もっと冷静に考えて欲しい。兄の身内びいきに苦笑いだ。




