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報告の日①

 大量に採取出来た高麗ニンニック草に、みんなほっくほくの顔で帰った。

 これで王家も文句はあるまい。オリヴァーの部屋を訪れるとベーコンを巻き付けたハンバーグをバクバク食べていた。

 「目覚められましたら、消化の良い物を食べさせてください。」

って治療師が言ってたけど?目覚めたのが、昨晩だからいいの?

 「えーと、消化の良い物を食べるようにって言われてるんですが、大丈夫でしょうか?」

 「血を流しすぎて腹が減ったからな。」

何それ?どっかの海賊王になりたいやつの台詞じゃん!

 「もう大丈夫な感じですか?もう一泊して明日王都に帰ることになりました。」

 「高麗ニンニック草の採取は、どうなった?俺の事なら心配要らないぞ。もう今からでも王都に帰れる。」

 やめてあげて・・・騎士団と冒険者はウキウキしながら街に繰り出していったのに、もう帰りますよ。なんて俺は言えない。

 「高麗ニンニック草は、予定より大量に採取出来ました。今日は皆疲れておりますので、明日帰ります。オリヴァーさんも、もうベットから起き上がれるなら、街の散策にでも行かれてはいかがですか?騎士団の皆さんは昨夜も訓練をされたので、今晩は自由時間だそうです。」

 サボってないよ。と遠回しに伝える。

 「そうだな。寝過ぎたから、ちょっと体を動かしたい。街の散策にでも行こうかな。付き合ってもらえるか?案内してくれないか?」

 と、言うことで二人でハワード領の散策に出かけた。


 「ノア様だ!夏期休暇で帰って来たの?」

街の子供たちに声をかけられる。

 「違うよ~、今はたまたま近くで任務があったから寄っただけ~近いうちにもう一回帰ってくるよ。」

夏期休暇の間にハワード領でゆっくりしたい。

 「そっちの人誰?彼氏?」

 「違うよ~兄上のお友達だよ~」

二人で歩いているので、すぐ彼氏とか言うよね。そんな甘い雰囲気出てないでしょ。

 子供たちにからかわれつつ、お目当てのカフェに入る。

 「オリヴァーさん、甘い物お好きですか?ここ、タルトとアップルパイが人気なんですけど。」

 「あぁ、いつかヘンリーが食べたいって言ってたやつか。あまり得意ではないが、食べてみようかな。」

 「でしたら、ミートパイもありますよ。食事って感じになりますが、なんて言うか軽食?あ、でもさっきハンバーグ食べてましたよね。やめておきます?紅茶も美味しいですよ。」

 「いや、ミートパイをいただく。食べたことがないから楽しみだ。」

 俺はイチゴのカスタードのタルト、オリヴァーはミートパイを注文した。

 「ずいぶん賑わっているな。いつもこんなに繁盛しているのか?」

 「タルトとかパイとか珍しいですからね。領の内外からお客さんが来るんですよ。あした王都に帰るので、お土産に持って帰ります?」

 そうして、二人でタルトとパイを食べ、オリヴァーはいくつかお土産を買っていた。その間も領民から声をかけられ、その都度彼氏なのかと聞かれ、オリヴァーは困ったように笑っていた。



 王城にて、今回の任務の報告会が行われた。

 王、第一王子、第二王子、宰相、薬草薬学管理部長、冒険ギルト長、王城騎士団、オリヴァー、俺というメンバーで。 

 まず、想定外の採取量で、品質も良く、植物園の移植分も申し分ないと言うことで王も薬草薬学管理部長も満足な様子だった。俺からの報告で、ギルド長に

 「従来の高麗ニンニック草より大きさも品質も良いことから、もしかしたら、痩せた土地で多く採取出来るかもしれません。魔獣が多く居るところと何か関係があるかもしれません。今後依頼を出されるときは冒険者は単独よりパーティーの方が安全だと思います。」

 と言うと、管理部長が、

 「痩せた土地というのは本当か?植物園に移植させるが、今回の様に大きくならないのか?」

と聞くので、

 「採取した土質は、栄養があるように思われませんでした。一度調査されると良いと思います。何分、僕は知識不足で、はっきり言えません。ただ、肥料を与えて育てて、今回のような高麗ニンニック草が収穫できるかあの土質を見ている者としては疑問です。それから、試しに高麗ニンニック草を薄く切って乾燥させてみた物がこちらです。使用するときに水で戻してみたのですが、十分使える物でしたので、今後このような方法で保存されるのは、どうでしょうか?」

 専門的な事を話していると、第二王子が

 「お前、偉そうな事を言ってるが、今回バーチに助けられたそうじゃないか。バーチが怪我をしたと聞いている。しかもお前を庇ってだと。結局俺が言ったとおり足を引っ張ってたんだな。」

 したり顔で言ってきた。

 「はい、確かに僕の不注意でバーチ様に迷惑をおかけしました。」

 「偉そうな態度で出かけたと思ったらやっぱりだ。お前が足手まといなことなど出発前から俺はわかってたがな!」

 「お待ちください殿下!バーチ殿が怪我をされたのは我々が警備を怠ったせいであります!ハワード殿に非はありません。我々がもっと木の上まで確認しておれば今回のような事はなかったのです。誠に申し訳ございません。」

 王城の騎士団がすぐに弁解をしてくれた。オリヴァーも

 「殿下、もともと私はハワード殿の護衛でしたので、怪我をしてもハワード殿をお守り出来たので本望でございます。しかも私は高麗ニンニック草の採取で5つも傷を付けてしまい、怪我までして足手まといなのは私であります。」

 え、お前5つも傷付けたの?って顔で第二王子以外がみている。

 「そうやって皆がこいつを甘やかすからつけあがるのではないのか?」

 「ディー!誰のせいでもないよ。魔獣豹が木の上から襲ってきたって聞いてるよ。すぐにノア君は回復薬を調合してオリヴァーに与えたって聞いてるし、ハワード領で治療師にも見せてくれたって。それですぐに完治したって話でしょ。ノア君もこのことに関しては罪悪感に駆られてるって聞いてるし、もう責めたって仕方ないでしょ。自分が今ストレスの吐き口にノア君に攻撃してるって気づいてる?黙りなよ。」

 第一王子が第二王子をたしなめた。不満そうな顔で黙る第二王子。

 「ごめんね、今デービィット虫の居所が悪くて・・・オリヴァーも完治してるんだし、次回からは警備の仕方をもう少し考えようね。今回は魔獣の多いところだったのに採取に行ってくれてご苦労様だったね。」

 「いえ、今回の様な状態でなくても魔獣に狙われていたのは僕だと思います。あの中で一番弱そうな者を襲うのは獣の習性で僕でした。バーチ様には本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。完治されて、本当に良かったです。なにかあればご両親、第一殿下に顔向けが出来ませんでした。怪我をされたとき気が動揺してしまい、冷静に行動出来なかったのも僕の今後の課題です。不甲斐ないです。」

 落ち込む俺に、皆しんみりしてしまう。第二王子だけがニヤニヤ笑っていた。


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