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夏期休暇に暗雲立ち込めると思った日

 夏期休暇に入り、学園の寮で資格試験の勉強をしていると王城に来いと呼び出された。

 「ただの学生を何回も王城に呼び出さないでもらえないでしょうか。諦めてハワード領の祖父母に王城に呼び出された時用の服を送って貰うよう今日手紙を出しました。」

半目で文句を言う俺は今制服だ。

 「送って貰うならこれからもじゃんじゃん呼び出せるね~」

ニコニコ笑う第一王子が憎らしい。最近この人に対する好感度がどんどん下がっていく。

 「実は困ったことが起こってね。・・・ノア君の欲しがってた高麗ニンニック草なんだけど、冒険ギルドに採取の依頼を出したんだけどね、最近採取される量が減っているらしくて・・・」


 王子の話はこうだ。

 薬草採取は冒険者になりたての者が依頼を受ける。冒険者になりたては魔獣への戦闘経験が少ないので、危険の少ない魔獣があまり居ない所での薬草採取に人気がある。しかし、最近危険の少ない土地での高麗ニンニック草が根こそぎ採取によって無くなってしまった。目撃された群生地は魔獣が多く、しかも掘り起こすのに多少苦労する土質らしく繊細な薬草を傷つけることなく採取するのが難しいらしい。しかも初心者冒険者であった頃なら、毎日薬草採取していたのでコツがわかるが、しばらく魔獣相手ばかりしていた冒険者には繊細な作業が苦手になっているという。傷が付いてしまった薬草は痛みが早いらしく出来ればその場で調合して欲しい。それからなんとかきれいな状態で採取して欲しい。全体的に高麗ニンニック草の在庫がないに等しいので薬草植物園で栽培することになった。株分けする分を採取してくれたら展示禁止エリアの見学を許可する。


 「・・・それって、もう回復薬作らなくて良いって事ですか?」

嫌な予感しかしない。

 「違うよ。ノア君が群生地に行って調合して、採取するって話だよ。」

 「何故?どうして僕が採取しに行かねばならないのでしょう。回復薬のご褒美の植物園はもういりません。だから、回復薬も作りません。では失礼します。」

そう言って部屋から出ようとすると、バッと前に出て両手を開げて止める第一王子。

 「大丈夫だよ!魔獣からノア君を守るためにちゃんと考えてるから!頼むよ回復薬作ってよ~一回引き受けた仕事をノア君は反故する気?」

 「それとこれとは話が違います。どうして僕が回復薬をそもそも作らなければならないのでしょう。王城の薬師に依頼したら良いではありませんか。それに前から言っておりますが、親しくもない第二王子殿下の為に作る筋合いはございません。しかも本人は一切僕の前に顔を出して依頼をしていません。今彼は何をしているのですか?まさか遊んでいるのではないですよね?ご自分は安全な場所でのほほんとしていて、どうして家臣でもない僕が危険な所に行かねばならないのでしょう。植物園の展示禁止エリア見学と魔獣のいる群生地で、掘りにくい高麗ニンニック草を採取ではギブとテイクの釣り合いが取れません。」

 一気にまくし立てると、側に居た兄上がオロオロし出し

 「あぁ~謝って!早く謝って!ノアが敬語で嫌味含んで怒って一気に話し出したらそれは、相手を心底見下しているときなんだよぅ。母上にもあんな態度で一気に話した後家出したから!早く謝って!アレクサンダー様すぐに!!!」

 「わ、悪かった。このとおりだ。弟の回復薬の為でもあるんだが、一番は国内の高麗ニンニック草が不足している点だ。なんとか今まで通りの在庫を確保しておかないと大変なことになる。君の安全は確保するからどうか採取に行ってもらえないだろうか。」

 高麗ニンニック草は、毒を持つ魔獣に浴びせられたけが人の治療にも使われる。魔獣の毒の血清に使われたり、大けがをした者へ光魔法を使う時併用すると回復が早くなる希少な薬草だ。ギルドでも採取値は高い。

 「だからって、なんで僕なんですか?適任者居ないんですか?僕まだ学生ですよ。」

 「それが、その・・・弟の回復薬調合依頼内密になってるから・・・そっちも分の確保もあるでしょう。その場で調合して貰って・・・」

 歯切れ悪ぅ~多分国内の高麗ニンニック草が不足が優先課題で、早急に国内の高麗ニンニック草をなんとかしないといけないのに、弟のしょーもない回復薬作るのに、ちょこっと高麗ニンニック草ちょうだいって言えないから、採取場所でサクッと調合して、残りを国内の高麗ニンニック草不足の為に搾取してきて欲しいんだろ。

 「え~ん兄上~殿下が意地悪言うよぅ~僕怖い~魔獣の居る所なんて怖くていけないよぅ~」

行きたくないから兄上にすがってみた。

 「あぁ~ノア!かわいそうに。そうだね、そうだね、そんな怖いところになんて行かなくていいよ。デービィット様には諦めて貰おうね。身から出た錆だもんね。ノアが行く事無いよ。」

 「ヘンリー、気持ちはわかりますが、今回は国の重要案件なんです。なんとかノア君を説得してくださいってさっきお願いしましたよね。」 

ベンジャミンの冷たい言葉に

 「うんって言って無い~」

と返事する兄上。役に立たないと思ってましたって言われてるぞ。

 「父が勅令を出すと言っていた。」

 「簡単に勅令出す~もう~嫌だ~王家に関わるとろくな事無い~」

不敬な事を口走ってしまった。でもめちゃくちゃじゃん。誰か適任者居ないの?

 「俺も一緒に行く。共に頑張ろう!」

・・・・オリヴァーが誘ってくるけど、俺オリヴァーとちゃんと話したことないから、はい!行きますとはならないよ。無表情になった俺に第一王子は

 「オリヴァーが付いていれば大丈夫だよ。だって毎年魔獣実践訓練で1位の成績だからね!」

 「魔獣実践訓練?学園の騎士科のやつですか?」

 たしかアルバートが魔獣実践訓練での治療は大変だって言ってたな。あれのことか?

 「それってどんな感じの訓練なんですか?個人個人で魔獣駆除するんですか?」

 「いや、チームだ。毎年オリヴァーのチームは優勝している。」

 「チームですか・・・」

 「お前今俺を頼りないと思っただろう。確かに毎年同じメンバーのチームだがそれ以外にも俺は訓練を怠っていない。俺に任せろ!しっかり守ってやる。」

 もうさ、勅令なら断れないじゃん。行くしかないってなんなの。

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