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暗闇に小さな灯③  リアム・ガルシア視点

 やっと会話出来たのに、あれからずっと姿を見かけなくなった。

廊下も食堂でも見かけない。どうしてだろうと思っていると、ある日食堂で男爵令息に声をかけていた。

 二人は親しげで、男爵令息の方は彼をノンタンと呼んでいた。ニックネームで呼ぶほどの仲にチリっと胸が焼けた気がした。私は二人の仲がうらやましいらしい。

 

 王城で第一王子のアレクサンダー様に声をかけられた。アレクサンダー様は、よく私を気にかけてくださる。弟殿下と偉い違いだ。

 「今日、これから母上がお茶会を開くんだけど、リアムも一緒にどう?ノア・ハワード伯爵令息と付き添いの方しか来ないんだけど」

 「是非参加させてください!」

 食い気味に答えてしまった。

 「リアムがそんなに積極的に参加してくれるなんて珍しいね。」

 「彼と一度お話をしました。独特の感性の持ち主だったので、もう一度お会いしたいと思いまして。」

正直もう一度話したい。素直にそう言うと、アレクサンダー様は笑いながら

 「わかる!彼面白いよね。全然違うんだよ、ヘンリーと。」

 

 そしてお茶会に現れた彼の姿に私たちは唖然とした。付き添いのフィン・アルバート子爵令息と互いの色を纏った衣装だったのだ。婚約しているとは聞いていないので、恋人同士なのか。それにしては甘い雰囲気もなくしかし、アルバート子爵令息はしっかりと彼の瞳の色をリボンタイに付けている。チリチリと胸が痛い。しかし、王妃殿下が二人の出会いを聞いたとき

 「薬草畑で・・・」と言ったアルバート子爵令息にゴミを見るような目で見ている姿や、その後の会話で呆れ果てていたのを見て、これは違うな思ったら嬉しくなって笑ってしまった。

 益々ノア・ハワードのことが気になりだしたある日、例の男爵令嬢の側を通ったとき甘い匂いがしたので、何かよからぬ薬品でも使用しているのかと図書室で調べることにした。薬草図鑑を本棚で探すが一向に見つからなかった。誰か借りているのか?そう思い近くの席に座っている生徒の前に山積みの本があり、その中にお目当ての図鑑を見つけた。

 「ちょっと失礼、君が借りている薬草図鑑、今見てないみたいだけど・・・」

声をかけると、オバケでも見たのかと言うくらい目を丸くして唖然とする生徒が「え?」と驚きのあまり声を出すのも忘れたようであった。私が声をかけたからそんなに驚いたのだろうか?そんなに驚くことか?と不思議に思っていると廊下の方から第二王子殿下の大声が聞こえた。

 (チッ!見つかったか。面倒くさいな。)そう思っていると今声をかけた生徒が目の前にサッとメガネを滑らせて渡してきた。そしてすぐにかけろという。メガネをかけたところで変装にはならないぞと思いかけると、目の前にいきなりノア・ハワードが現れた。今度は私が驚く番だった。

 

 あれこれサクサク勝手に決めていくノア・ハワード。私に仮病を使えと言ってきた。そして、事もあろうにアレクサンダー様を使って側近候補のメイソン・バーリーをぎゃふんと言わせろと息巻いていた。自分が言わせるのではなく私に言わせろと言った。

 「だって、あなたは自分でなんとか出来る人でしょう。」

そうだ。私は自分で側近候補の怠慢を始末できる。これから第二王子との不貞と側近候補の業務怠慢を一気に片付ける。そして、婚約解消までもっていく!強く決意し、そのままメガネを借りることにした。仮病で家に帰ったらすることが山盛りであった。

 馬車乗り場まで送ってくれたノア・ハワードは

 「あまり無理しないでくださいね。」

そう言って、目の下を指でトントンと触った。寝不足がばれていたらしい。

 


 そして、私は王城で報告会を開いた。ノア・ハワードを巻き込んでしまったが、私の代わりに第二王子に怒ってくれた。私は第二王子を相手にすることを諦めていたから言い返す事はしなかったが、いつも思っていた。

 私だって、我慢している。何でも無いようにやってる様に見せているだけだ。お前がサボっている間も剣技や、お妃教育、勉学に励んだ。どれだけ時間があっても足りないくらいだ。お前が女と抱き合っている間もお前の公務を肩代わりしたのは私だ。甘えるのもいい加減にしろ。

 今まで全て飲み込んで顔に出さなかった。しかし、ノア・ハワードは私の代わりにまっすぐ第二王子を見て怒った。父の顔を見ると、うっすら涙を浮かべていた。父もずっと言いたかったのだろう。しかし、何も愚痴らない私を見て、今まで我慢していたのだろう。私と父はノア・ハワードに救われた。

 そしてノア・ハワードが退席するとき父の

 「これからも友達としてよろしく頼むよ。」

 「こちらこそ、よろしくお願いします。」

で、私は彼と友達として堂々と声をかける大義名分を得た。

 


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