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暗闇に小さな灯② リアム・ガルシア視点

 魔導塔主が逮捕されたと父が食事の時間に言っていた。

 「今日王城で魔導塔が爆発するのを見ました。」

そう答えると、魔導塔は爆発した影響で今バタバタしているらしいと言われた。何が起きているかわからなかったが、通いの使用人が帰宅したのにもう一度戻ってきて父に

 「大広場の噴水前で見たこともない動く絵姿が映し出されていて今それを見に来る人で大混乱です。」

そう報告したので、我が家の騎士団を警備の応援に何人か派遣していた。

 その頃にはもうデービィット様と男爵令嬢は付き合っていたのだろう、毎日腕を組みながら歩く姿を見かけた。すり寄ってくる同級生に

 「ガルシア様、このままではよろしくありませんよ。婚約者がいる方にあのようにベタベタと品のない・・・」

と告げられた。

 「私は気にしませんよ。殿下もわかっておられるでしょう。ただ、一度お相手の方に注意しておかなければなりませんね。」

涼しい顔で言ってやった。それと同時にこのまま二人が問題を起こせば婚約を解消できるかもな。と思った。知らないふりも出来ないので、一応注意だけはした。こちらに非がないように。それでも男爵令嬢は、

 「ひどいですわ~私たちはただのお友達ですの。友人関係も口を出されるのですか?焼き餅もほどほどにしておかないと殿下に嫌われますわよ~あ~もう嫌われてるんでしたわね~ふふふ」

と、馬鹿にしてきた。殿下にお似合いの相手だと思った。こちらが何もしなくてもいずれ問題を起こすと思いそれからは時期が来るのを待った。どうせ殿下のことだ、すぐにボロが出る。そして機会をうかがいながら相手を泳がせた。


 学年を重ねるごとに殿下は成績を落としていった。1年の時は同じクラスだったが、翌年は一段階下のクラスのなられた。そして今年は2段階も下のクラスになられた時は王城から呼び出しがあった。

 「デービィットの成績が落ちてるのだが、何か知らないか?悪いがこのままでは王族として示しがつかん、テスト期間は勉強を見てやってくれないか?」

 アンドリュー王にそう言われたが、

 「はて、どうしてでしょう。去年はクラスが違いましたので、私より側近候補のお二人の方が殿下にお詳しいと思います。テスト勉強を私が見てもよろしいのですが、殿下は私にライバル心をお持ちですので、素直に勉強なさるとは思えません。そちらも側近候補のお二人に任された方がよろしいかと思います。」

 そう言って、関わることを拒否した。アンドリュー王はデービィット様に甘いと思う。本来なら私を呼び出すより本人に問い詰めれば良いことだ。問い詰めたところで男爵令嬢と不貞関係ですなどと言えないであろうが。

 

 新学期も1ヶ月ほど過ぎた朝、廊下が騒がしくなり教室に入ってきた生徒が

 「第一王子殿下が、3年の教室の方にやって来ている!見に行こう!」

と友達を誘っていた。私はご挨拶だけでもと思い、廊下に出てアレクサンダー様が来るのを待った。アレクサンダー様は側近候補の方3名を連れて私の教室の前を通り過ぎた。その時疑問だったのは、アレクサンダー様の前にハワード伯爵令息が歩くと言うより早足で移動されていて、側近候補が殿下より前にいることが不思議であった。しかし5組の教室のドアを勢いよく開けたかと思うと大声で

 「ノアーー!ここノア・ハワードの教室って聞いたんだけど、ノアいる?」

と叫んでいたので、私の胸がドキリと飛び跳ねた。そして、廊下でノア・ハワードがヘンリー様とアレクサンダー様に挨拶するのを見て彼が学園にいることを知った。

 挨拶が終わるのを待って声をかけようかな。などと柄にもないことを思ってふらふら近寄ると隣のクラスからデービィット様が取り巻きを連れて出てこられたので、慌てて空き教室に身を隠した。しばらくして廊下の喧噪が落ち着いたら教室に戻ろうと思っていると、突然ドアが開いたかと思うといきなり防音魔法をかけられた。慌ててカーテンの裏に隠れてしまった。

 

 「はっ!?なーにが私の側近だ!ならねーって言ってんだろが!ばっかじゃねーの!」

 だの

 「きっしょ!」

 だの

 「サロンでランチだと?面倒の何もんでもないわ!誘うなよ。俺を!」

余程ムカついていたのか、止まることのない愚痴を私は聞いてしまった。愚痴の内容からそうじゃないかと思いチラリとカーテンの隙間からのぞくとやはりノア・ハワードが喚いていた。あんなかわいい顔で口が悪いんだ~第一王子殿下とのランチも面倒なんだ~と思ったら思わず吹き出してしまった。笑いがおさまらなかった。顔を出した私に目を丸くして驚くノア・ハワード。かわいい。一生懸命冷静さを取り戻そうとしてるけどめちゃくちゃ目が泳いでる。焦ってるのが手に取るようにわかる。なのに

 「先客がいるとは思いませんでした。お騒がせして申し訳ございません。それでは失礼いたします。」

どうだ。乗り切ったぜって顔してる!ごまかせてないよ。

 「え?無かったことにしようとしてる?君、ノア・ハワード君でしょう。」

私は知ってるんですよ。って感じで言ってあげた。さあ、どうする?

 焦りながらも自分がノア・ハワードと認めた。そして、私が誰だと聞いてきた。私のこと知らないんだ!結構国民に知られていると思っていた。おごりであったなぁでも今君に覚えて貰ったらそれでいいよ。そして、自虐的に私もまだまだだねって言ったら

 「そうですね。がんばってください。」

って返してきた。何この子、面白い!そして、さっきの愚痴が不敬と捉えられると思ったのか急に謝罪してきたから問題ないよって言うと、

 「ご婚約、お疲れ様でございます。」

だって!びっくりしたよ。ホントそう。私あの殿下の相手でお疲れ様なんだよ。大体みんな口に出さないけど、本当は自分じゃなくて良かったって思ってるでしょ。私はずっと自分が人身御供と思ってた。それを今はっきり素直に言ってくれたのは、ノア・ハワードだけであった。嬉しくなって笑いが止まらなかった。



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