さあ、行きますよって誘われた日
数日後、俺は昼休みにリアム・ガルシアと二人でモブメガネをかけて薬草畑近くの人気の無いガゼボに向かった。
「へぇ、こんな所にもガゼボがあるのですね。」
初めてここに来たらしい。俺は水やり当番があるので、近道のこの道をよく通っていたけど、そんなに知られている所ではなかったみたいだ。そして案の定乳繰り合っている二人。もうさ、あのガゼボあいつらの色んな体液がかかってるかもって思ったら近寄りたくないよ。渋い顔をしている俺に
「さあ、行きますよ!」
さあ、行きますよ?何言ってんの?俺も行くの?マジで?無理無理無理~腕を掴まれ無理矢理近くまで
連れて行かれる俺。なんで?後は自分でするって言ったじゃん!
そしてメガネをサッと取られ、自分も取って
「ここで何をしているのです?」
空気も凍るよ~って位冷たい声で二人を見下ろし言い放つガルシア。俺なんて唾も飲み込めないよ。
ピタリと動きを止める二人。見られているのに気づいて「きゃあ!」と胸を隠し慌てて
「下品ですわ!のぞきですの?」
叫ぶ男爵令嬢。第二王子は慌てて下着とパンツを引き上げてベルトを締めている。修羅場だ。
「下品?人の婚約者にこのような事をしておいて、しかも誰に見られるかもわからない外で衣服を脱いでのぞきとおっしゃる・・・下品なのはあなたたちでは?」
「待て、違うんだ!これは誤解だ!」
第二王子が慌ててるけど、浮気した奴が言うであろう台詞過ぎてさすがに呆れる俺。
「何が誤解なのでしょう。このことはアンドリュー様に報告致します。それから、スカイラー男爵令嬢、あなたの使用されているこの甘い香りの薬品は何なのでしょう。それも調べますので、今薬品をお持ちでしたら提出してください。」
「待て!父に報告はやめてくれ!本当に誤解なんだ!報告することで恥を掻くのはお前だぞ!」
「薬品なんてもってません。この甘い香りは私のフェロモンです~」
・・・フェロモン?フェロモンってこんなにキツく香るもんか?嘘にもほどがある。
「甘夜露草、蜜虫草にカルダモンを調合した精力増強剤ですね。ずいぶんエグい物使ってるんですね。これ、使い続けると後々勃たなくなりますよ。」
しれっと匂いから分析した薬品の成分を言ってやった。
「後々勃たなくなる・・・」
みるみる青ざめる第二王子。
「あぁ、それは好都合ですね、殿下」
にっこりと微笑むガルシア。だから怖いって~
「とりあえずこのまま王城に行きましょう。良いですね殿下?誤解だとおっしゃるのなら言い訳を王城でなさったら良いではないですか。そちらのあなたもご一緒に。」
そう言って第二王子と男爵の娘に早く立てと促すガルシアに、何を思ったのか急に王子が
「何を言っているのだ?ここでは何もなかった。お前、急におかしな事を言い出したな。頭は大丈夫か?」
頭は大丈夫か?ってお前の頭が大丈夫か?王子はガルシアが見たと言うだけでは証拠がないと思ったのだろう、無かったことにする気だ。どうするガルシア。
「私が一人で有りもしないことで騒いでいると?私以外も見たという証拠にハワード伯爵令息を連れてきました。無理ですよ、無かったことにするのは。」
「はん?ハワード一人見たから何だというのだ。俺は何もしてない!お前らが勝手に有りもしないことで騒いでいるだけだ!俺は王城には行かないからな!」
「そうですわ!私たちは何もしておりませんわ!」
「では、何もしてないと王城で言えば良いじゃないですか。あと、殿下の側近候補の二人も王城に呼び出しておりますので、さっさと行きましょう。」
冷静だ。あくまで冷静にしかし、異議は認めぬガルシア公爵令息。
「申し訳ないのですが、ハワード伯爵令息も王城に同行願いませんか?」
なんでー?自分で、後は自分でやりますのでって言ってたじゃん。俺メガネ貸すだけ、青かん現場につれて行くだけの役割だったよね?
「んもー何でだよ。王子が青かんするから俺まで迷惑かけられてんじゃん!くそ女も変な薬使ってるしさーマジで迷惑!お前、王子インポにしたいの?・・・はっ!失礼しました。」
もうさ、ガルシアに付き合うと心の声の押さえが効かないのよ。こんな状況なのに、またガルシアがクスクス笑ってるし、王子は
「インポ・・インポ・・」
とブツブツ呟いてるし、女はギャーギャーうるさいし。
「あ!証拠なら有るんだった!」
そういった俺に三人の目が丸くなった。




