忘れた頃にお礼を頂いた日
突然の提案に目を丸くするガルシア。
「あなたが体調不良で倒れたとして、俺が馬車乗り場まで送り、その時『今日が期限の計画書を・・・』ってあなたが気にするから、俺が受け取って誰に渡して良いのか困って兄に相談してそのまま第一王子の手に渡るって寸歩です。第一王子に渡ったらなんでガルシア様が計画書を作成してるんだってことになるでしょう。」
「君、彼を懲らしめるために第一王子を使うの?すごいね。」
そうかな?使える物は何でも使えっていうじゃん。
「とりあえず今回は王子に役に立ってもらいましょう。で、他にも彼らの仕事なにか代わりにやってます?・・・ちょっと気になったんですけど、こう言う計画書作成したりとかっていう仕事は給金って出てるんですか?側近候補って給金もらってるのかな?」
「ふふふ・・・そこ気になります?そうですね、側近候補であれば、殿下の警護や、公務の補佐など有りますから、給金はでてますよ。」
「なっ!なんだと!あいつ仕事押しつけて給金もらってるのかよ!あーだめだ。あー嫌いだ。あーもう無理・・・俺そういう奴許せないタイプです。搾取する奴が世の中で一番嫌いです。よく今まで我慢しましたね。とりあえず、今日はもう体調不良で家に帰ってしばらくあいつらの仕事しない方がいいでしょう。」
「そうですね。その案にのります。そろそろ私も堪忍袋の緒が切れそうだったので、これからの事を自宅でゆっくり考えてみます。」
そう言って二人でガルシア家の馬車の所までモブメガネをかけて歩いて行った。馬車乗り場でメガネをはずし、大事な計画書を受け取った。そして、
「ハワード君、しばらくこのメガネ貸してくれませんか。」
と言うので、どうぞと貸してやった。きっと彼らを懲らしめるのに使うんだろう。
馬車を見送った俺はそのまま生徒会室に向かった。
「ノア!どうしたの?ここに来るなんて珍しいね。」
兄上が歓迎してくれる。
「リアム・ガルシア公爵令息に図書館であったんだけど、体調を崩されたんだよ。なんか顔色も悪かったし、フラフラしてたから僕馬車乗り場までお送りしたんだ。その時になんか第二王子の視察の計画書を今日中に~って息も絶え絶えでおっしゃるもんだから、僕どうして良いのかわかんなくて・・・兄上~誰に渡したらいいの?兄上助けて。僕どうしたら良いのかわかんないよ。大事なもんみたいだし~」
自分で言ってて恥ずかしい。こんな媚びた話し方。絵姿に残ったら恥ずか死ぬ。実際兄上以外の王子と側近候補の二人はチベスナみたいな目をしていた。他の生徒会役員と兄上は、コロッと騙され同情の目で見ている。
「ノア、かわいそうに。どうして良いのかわからなかったんだね。僕を頼ってくれたのは嬉しいよ。兄様が力になってあげる。」
「兄上~」
二人で抱き合っていると、呆れた王子が
「もういいか、寸劇は終わった?で、ノア君どうしたの?本当にリアム体調不良なの?」
とあっさり空気を壊してくる。
「あ、はい。顔色は本当に悪そうでしたよ。本人は隠してるみたいでしたけど。あと、これ騎士団に提出する第二王子の城下の視察計画書だそうです。本当はメイソンとかいう奴が計画書を作成しないといけないらしいのですが、ガルシア令息にいつもやってもらってたみたいです。今回はガルシア令息が懲らしめるって言ってたので、第一王子はこれを騎士団に持って行ってください。リアムからだよって言って。」
そう言って計画書を渡すと
「・・・お前私を顎で使うのか・・・」
「だって、弟の側近候補が仕事もしないで給金もらってるんですよ。しかも弟の婚約者に仕事押しつけて~お兄ちゃんくらい弟の婚約者の味方になってくれても良いじゃないですか~熊ちゃんあげたでしょ。それのお礼だと思って僕のお願い聞いてくださいよ。」
熊の目に写し玉いれたぬいぐるみあげたでしょ。あれのお礼もらってませんよ、俺。
「くっくっくっく・・わかった。持って行ってやるよ。しかも騎士団長に直接渡してあげる。メイソンの父親は騎士団長だからね。他になんか懲らしめるの?協力してあげるよ面白そうだからね。」
笑いながら計画書を受け取ってくれた。
「う~ん、ガルシア公爵令息が自分でするんじゃないですか。あの人そういうタイプでしょ。多分。」
これで今までの計画書を作成していたのがガルシアだってわかって怒られるんだろうな。一件落着とほっとしていると、兄上が
「ねえ、ノア?熊ちゃんってなに?」
とシャレにならないくらい暗い顔で聞いてきた。やっば!ちょっと助けて!と第一王子に目で助けを求めたのに知らん顔された。




