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煽り散らかしている店主を呆れて見た日

 騎士団より街灯が無残にも根元からへし折られて盗まれたと報告を受け現場に駆けつけるまでは、

「あんな高いところにあるもん、どうやって盗むのよ。へし折るって結構頑丈に出来てると思うけど?」

とのんきにかまえていたが、実際へし折られているのを見て、

「なんじゃこりゃー!」

かなり無理してへし折って行ったんだろうな。と思える程支柱は傷だらけで血のような物が付いていた。

「強化魔法をかけて、渾身の力でへし折ったんだろうな。血も拭き取る余裕もなかったみたいだな。」

騎士団長が冷静に分析していた。強化魔法を体にかけ思いっきり力を入れるとへし折ることは出来るらしい。う~む今後の課題だ。

「とりあえず周りの街灯に付けてる写し玉で犯人の姿確認するわ。それと取られたの何番の街灯?」

一緒に来てもらったトーマス先生に設置場所の図面を確認してもらい製造番号4の街灯が盗まれたと判明した。遠隔操作で製造番号4の街灯の写し玉の映像を飛ばしてみんなで確認する。

「誰?見たことない奴だわ。誰か知ってる?」

そう聞いても騎士団の中には知っている人間はいなかった。

「なんかやばそうな奴ですね。目がくぼんでるし痩せてるし、危ない薬でもしてそうな感じの奴ですね。」

「・・・宿屋に宿泊していないか宿屋の連中にも見てもらってはいかがでしょう」

トーマス先生がそう言うとすぐに騎士団の方で宿屋に聞き込みに行くというので、待ったをかけ

「こいつの顔、今すぐ紙にコピーするわ。これ見せながら聞いたら誰かは見たことあるかもしれない。あと、街でも聞き込みしてほしい。」

おぉ~と歓心する声が聞こえる。この結構基本的な捜査の仕方もこの世界では画期的な方法なんだろうな。

そして1日騎士団があらゆる人に聞き込みをしてくれた。


 宿泊していたという宿屋はなかった。そんなに印象に残るタイプの顔でもなかったので、覚えていなかったのかもしれない。そして街の人に聞き込みをしたが、知らないと言うばかりであった。

「あー今日も聞き込みか~」

そろそろ街に行くかとみんなが言っていると丁度納品に来た魔道具屋の店主がコピーした手配書を見て

「あれ?これって魔導塔で見たことあるかも・・・」

と言うので、えっ!詳しく!と一気に詰め寄られ

「よし!今から遠隔で4番の写し玉の絵姿飛ばしてみるわ。」

と言って4番の映像を俺が持ってる大きめの写し玉再生機に飛ばしてみんなで確認した。

「あー!これ魔導塔主ですよ!俺の!俺の!アイデアをサクッと搾取して!俺に!俺に!残業に次ぐ残業をさせまくった!腹立つー!マジで腹立つー!」

 真っ赤な顔で興奮気味に怒鳴る店主。真面目でコツコツと魔導灯の制作をし、納期をしっかり守ってくれる仕事熱心な店主をここまで怒らせるなんて・・・

俺を含め騎士団の連中、トーマス先生が息をのんで見ていると

「こいつだけは、一生掛かっても復讐すると誓ってるんです。俺、体壊してもう少し遅かったらもしかしたら過労死してたかもしれないんで!今は元気ですけども!」

「今は元気になって良かったね・・・で、本当に盗んだ奴って魔導塔の奴なわけ?」

「多分・・・なんか塔主に媚び売ってた奴らの中に居たような気がするんですよね。盗んだときも塔主に~て何ちゃら言ってるし。ノア様!俺の代わりに仇討ってくださいよ!」

「え!?嫌だよ。俺は街灯盗まれたことには腹立たしく思ってるし、許すつもりはないから騎士団を通して逮捕してもらうけど、仇は自分で討ちなよ。一生掛かっても復讐するんでしょ?がんばれ!」


 そんな事もあったなぁ~と思いながら今目の前で叫んでいる男をトーマス先生と騎士団長と三人で並んでみている。全員なんとも言えない顔だ。

「ヨッシャ~イ!はっ!ざまぁ!ヨッシャ~イ!はっ!ざまぁ!」

両手の中指を立てて煽り散らかしているのは魔道具屋の店主だ。

目の前には腰に縄を付けられ腕に魔法封じの魔導具を付けた魔導塔主と街灯を盗んだ男。

ハワード領の騎士団に窃盗の罪で逮捕された男は最初罪を認めなかったが、証拠の写し玉を見せられると

「塔主に言われてやった」

と素直に罪を認めた。しかし塔主の方はしぶとかった。

「わしは知らん。勝手にこいつがやったことだ。わしは侯爵家の人間だぞ。こんなことして、ただで済むと思うなよ」

と息巻いていたが

「あなたが指示を出していたことの証拠はある。王家も知っているし、なにより王都の人間のほとんどが知っている。いくら侯爵家といえど今更隠蔽は出来ないでしょう。さっき見せた動く絵姿は大広場の噴水前で公開したからね。今はハワード領で窃盗と器物損壊の罪に問われているだけで、これが終わったら次は王都での裁判が待ってるよ。ファイト!」

そう言ってやるとみるみる顔色を無くしていった。

 窃盗や器物損壊、平民同士の暴力など小さな罪は、各領での裁きになるが、今回は王立の魔導塔での不正、アイデアの搾取であるので、王都での裁判が待っている。

「下手したら除籍かもね~もう侯爵家では庇いきれないみたいだし。このままあんたを庇ってたら自分たちの立場も悪くなっちゃうしね~」

と煽ってハワード領内での3日間の奉仕活動という罰となった。

心血注いで作り上げた街灯を盗んだ罰が3日間の奉仕活動ってさ~納得いかないけど、窃盗の罪なんて大体そんなもんだ。しかし、奉仕活動って顔さらして町中でするから指はさされるわ、下手したら罵られて石とか飛んでくるから罰としては妥当なのかもね。

 で、今まさに店主に罵られている。魔導塔で勤務してたんだから、魔道具を作る奉仕活動をさせようとなり

「はい!はい!俺指導します」

嬉々として手を上げた店主に任せているのだけど、

「今日は公開魔道具作りの日にします!」

と言ってハワード領のメインストリートの道沿いで罰を実行している。

「はぁ?何それ?本当に魔導塔に勤務してるわけ?不器用すぎるんですけど!こっちの手間増やさないでくれますぅ~?」

塔主に冷たくあたっている。

「親の身分で偉そうに塔主になったから、な~んも出来ないかぁ?」

彼は今一生掛かってもやると言っていた復讐をしているのだろう。

手を上げないところが彼らしいと言えば彼らしいが、それで満足なんだろうか。

 そして街灯を盗んだ男の方は、王都の人間に顔バレしてしまったので、とてもじゃないけど王都には帰れないと泣きついてきたので、罪を償ったら店主の店に雇ってもらうらしい。

ハワード領でも顔バレしてるし、なんだったら俺の苦労をわかってる領民に冷たくされると思うけどと俺が団長に言ったら、

「早々に罪を認めたし、塔主に言われて仕方なく・・・」

という風に見られているため、風当たりはそんなに強くないらしい。知らんけど。



魔導灯は普通の魔導灯を魔道具屋が製造し、中にノアが一枚ずつ手書きしている魔方陣を入れると魔石の消費量半分で光量が倍以上になる素敵な魔導灯になります。

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