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ガチで親に怒られた日

ノアがミラー領に行っている時の話です。

 イライラが収まらない。3年前に次男のノアが家出をしたときも苛ついて家令に当たり散らしたが、今回はそれ以上に苛つく。

 3年前ノアが家に居ないとヘンリーが騒ぎ出し、いつから居ないのかもわからず、しかし探さないわけにはいかないので王都の警邏に連絡をして人捜しをしてもらうことにした。大体あいつは私に面倒ばかりかける。昔から何か言うとメソメソ泣くわ、うつむいて陰気くさいわ、出来は悪いわの良いところなしであった。良いところと言えば美しい妻にそっくりな点のみで、妻としては

「わたくしに、似ているってあんな陰気臭いのと一緒にしないでくださいまし。」

と毛嫌いするくらいであった。それが最近やたらと突っかかるようになって、私の意見は聞かないわ、勝手に家庭教師をクビにするわで、やりたい放題であった。その上家出ときたものだから、もし誘拐でもされていたら身代金など払わずに見捨てるつもりであった。しかし貴族であるので警邏に人捜しを一応依頼したのだ。ところが、2日後領を管理する父親から速達が届き、あろうことか父の元に逃げ込んでいると連絡があった。よりによって父の所にだ。手紙には

「ノアをないがしろにしているらしいな。誕生日のプレゼントも贈らないなんてそれでも親か!そんな風に育てた覚えはない。お前は子供を比較して罵倒しているのか。洋服もあつらえないなんて家計に困っているのか?違うよな、贔屓して子育てしてるんだろう。」

などと文句が便せん5枚びっしりと書いてあった。しかも最後に

「ハンナがとても憤慨している。お前の子育てを間違ったと泣いている。どうしてくれる」

と書いてあって震えた。すぐにノアに手紙を書いて

「今すぐ帰れ、お祖父様に迷惑をかけるな」

と送ったが、全く返事は来なかった。そしてまたしても父から

「ノアはしばらく預かる。お前たちに傷つけられてノアは悲しんでいる。療養が必要だ。」

と手紙が来たのでもう父に任せることにした。怒っている両親が怖くて領に帰れなったのもある。

非常に腹立たしいことに、若葉のお茶会を高熱の為に欠席しますと辞退することになった。

「若葉のお茶会は、高熱になる予定です。」

あのときノアが言った言葉通りとなり本当にムカついた。貴族間で

「ハワード家の次男はマナーもちゃんと出来ないくらいの出来損ないらしいからお茶会を欠席したらしいわ」

「頭の出来もよろしくないらしいですわよ」

と噂になった。解雇された家庭教師のザイール・スズが噂を流しているようだった。妻は

「もう!社交会にお呼ばれしてるのに恥ずかしいわ。居なくなっても迷惑かけるなんて本当に嫌な子だわ。」

と言って怒っていた。

 そして3年経った今日こそ、あいつを王都の屋敷に連れ帰る。来春学園に入学させなければ本当に周りから何を言われるかわからない。3年ぶりにハワード領に行く馬車の中で両親になんと言い訳しようかと、どうやって連れ帰ろうかと考えれば考えるほど苛つきだし、だいたいあいつが家出をしなければこんな面倒抱えることもなかったと思った。

 ハワード領の屋敷に着き、馬車の外に出たときずいぶん華やかになったな感じる。

冷静であったならば周りを見て3年前との違いが何かわかったかもしれないが、その時の私は冷静ではなかった。

 「3年もハワード領に帰ってこないなんて、あなた伯爵としてどういうつもりなの?領の管理を父上に任せっきりで良いと思っているの?子供がここに居るとわかっているのにどうして顔も見に来ないわけ?私はあなたの育て方を間違ったようね。」

母からいきなりの先制パンチで、もう倒れそうだ。挨拶もまだしていないというのに。

 「母上、お久しぶりです。ご息災でしたでしょうか。ご立派な父上と母上の元ならばノアを任せられると思っておりましたので・・・あのノアはどちらに?」

二人の目が冷たい。

「今は居らん。出かけとる。お前が来ると聞いて会いたくないと申しておった。」

「居ない?そんな、何故私が来ると連絡したのに出かける事を許したのです?いつ帰ってくるのです?帰ってくるまで待ちます」

「あら、迷惑だわ。待つなら宿を取ってちょうだい。」

「何故?実家なのに宿を取らなければならないのです?」

「だって、あなたの物何もないわよ。持って来たの?着替えとか?あなた、子供の服も用意しないくせに、自分の分は用意してあると思ったの?それより王都から来たんだからお土産も無いの?ソフィアさんも気が利かない人ね。全然領に来ないし本当にあなたたちハワード領主になる気あるの?もうノアちゃんに継いでもらった方がよっぽど領の為になるんじゃなくて?」

母上が、あんなに優しかった母上が嫌味を言うようになってしまった。ノアのせいか?

「どうしてノアに継がせるのです?ノアのような出来損ないには領の管理は無理です。ハワード伯爵はヘンリーが継ぎますので、ノアはどこかに政略結婚させます。どこか金払いの良い貴族をみつけておきます。」

ノアに何が出来るというのだ。孫かわいさに冷静的に物事を考えられなくなってしまったのか私の両親は。と言うと、二人はため息をついて

「ヘンリーは無理じゃろ。第一王子の側近候補になったとお前もはしゃいで居ったではないか。側近になるんなら王城で勤務せねばならんしの。お前はただの文官じゃから、領の管理も出来るはずじゃのにやる気にならんしの。わしもいつまでも管理しとうはない。はよ隠居してハンナとゆっくり過ごしたいわい。ソフィアさんは相変わらず王都から離れようとせんし、ノアに頼るしか有るまい。今も半分はノアが管理しとるからの。それからお前、ノアのことを出来損ないと二度と呼ぶ出ないぞ!領民はノアを慕っとる。お前よりもな!お前が顔を見せんせいで領民はお前の顔も忘れとるわ!」

ノアが領の管理を手伝っている?どう言うことかさっぱりわからない。混乱している私に追い打ちをかける父。

「お前の雇っておった家庭教師の・・・ザイールとかいう男じゃが、そいつ学園時代赤点常連の最下位クラスに居ったらしいぞ。何故そのような不出来な男を家庭教師として雇った?」

え?最下位クラス?

「お前、ちゃんと調べもせずに雇ったんじゃろ。昔から何でも慎重に調べてから行動をしろと忠告したはずじゃが?どうなんじゃ?」

「ノアちゃんが連れてきたトーマス先生ってザイール・スズと同級生だったんですって。ザイール・スズの学園時代の成績表って見たの?卒業認定テストは何点だったの?どうせツテで頼まれたんでしょ。だめね。あ、そうそう、ノアちゃんね。もうすぐ卒業認定テスト受けられるんですって。あなたが言う出来損ないのノアちゃんが学園に行かずに飛び級で卒業認定テストですって。ふふふ将来楽しみね~」

は?卒業認定テストが受けられる?学園も行かずに?もう何がどうなってるのか全くわからない。

「とにかくもうお前は帰れ。ノアはノアでちゃんと自分のことを考えておる。今更お前の事を親とも思っとらん。学園には行く予定はないそうじゃ。今はノアの好きにさせてやれ。それが嫌なら、もうお前の籍から抜け。わしの養子とするわ。そうなったらお前の弟じゃな。弟のノアに伯爵を継がせるかの~」

シシシと笑う父親に

「そんな事はさせません!私の籍からは抜きません。ノアは私の息子です。そして、伯爵を継ぐのは嫡男のヘンリーです。」

そう言い切ってその日のうちに王都に向かった。もう満身創痍であった。もうすぐ40だというのに親に怒られるなんて精神的にへこんだ。


 そして1年後、学園にも行かずにフラフラしていると思っていたノアが王城に呼び出され見たことも聞いたこともない魔道具を作り、領を発展させ税を多く納めていた。王相手にきちんと挨拶をし、マナーも完璧であった。ちょっとはましになった様だと思っていたら夕刻魔導塔の爆発を見てゲラゲラ笑っていた。私はもうどうして良いのかわからない。ただの文官の私は本当にハワード領をノアに取られてしまうかもしれないと思った。

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