ノア・ハワード③
大荒れだったノア・ハワードの謁見が終わった。魔導塔の連中は罵倒を散々ノア・ハワードに浴びせ帰って行った。ハワード伯爵も謁見の間に居たが声をかけることなく職場に戻っていった。そしてノア・ハワードとルイズ・ハワードは謁見の間を出て行った。ヘンリーの弟であるノア・ハワードを一度見ておきたかった私は無理を言って謁見の間に入れてもらったが、知人の弟が大人たちから罵声を浴びせられるのを見て気持ちが沈んでいた。しかし帰ったと思った二人が中庭に立って隣接する魔導塔を見上げていた。何もせずただ見上げている二人に周りの者たちは何かあるのかと二人を見ていた。そこへヘンリーが走って二人に近寄った。
「ノア!お祖父様!お久しぶりです。元気だった?どうしたのこんな所で。」
「おぉ、ヘンリーよ久しいのう。息災か?」
「あぁ、兄上ご無沙汰しております。もうすぐ魔導塔が爆発します。」
「爆発!?」
あまりにも大声でヘンリーが叫んだので周りの者はびっくりして騒ぎ出した。
「爆発ってどう言うこと?」
聞いてるヘンリーに答えず冷静に
「あぁ、その辺危ないですよ。もう少し後ろに下がって」
と野次馬に安全なところに居るよう指示を出すノア・ハワード。
ドカーーーーン!!!
魔導塔の最上階の外壁に穴が開き書類であろう紙が何枚も紙吹雪のように舞った。
「爆発したの」
とルイズ・ハワードが淡々と言い、
「ふふふ・・あーははははは本当にやるとはな!あいつら馬鹿だろ!」
さっきまでの品の良さも感じない口調でノア・ハワードは大笑いし、何かブツブツ呟き指を空でささっと動かすと穴の開いた外壁からこぶし大の丸い物がヒュンと飛んできてノア・ハワードの手の中に収まった。
「回収したかの?」
「はい、回収しました。おかえり」
そう言って手の中の物に口づけをしてポケットに大事そうにしまい近くに居たハワード領の騎士団長に
「団長、犯人捕まえてきて。あ、多分指の一本や二本逝っちゃってるからこれかけといて」
そう言って薬品の入った瓶を団長に投げた。
「治療魔法が効きやすい薬品ですか?いらないのでは?」
「要る。すぐ治る。でも治療魔法かけるときに言葉にならないくらいめっちゃ痛くなる薬品だから絶対かけといて。あ、兄上今から大広場の噴水前に行くのですが、暇ですか?面白い物が見られますよ。」
「ヘンリーよ久しぶりに会ったからなんか旨いものでも食べにいかんか?」
「海鮮が食べたいです!」
ノア・ハワードが元気よく答えて14歳の少年らしさを出していた。ヘンリーは
「え?え?どうすんのこれ?」
と言って魔導塔を眺めていたが引きずられて去って行った。
私を含めてその場に居た者は、呆然と魔導塔を眺めるしかなかった。
騒ぎを聞きつけた王城の騎士団が到着したのは魔導塔から引きずるようにハワード領騎士団長に連れ出された魔導塔主が姿を現した時だった。
「おい、魔導塔主をどこに連れて行く気だ。この爆発はお前らの仕業か?」
騎士団が問うと、毅然とした態度で
「この者はハワード領にて窃盗を犯した者だ。ハワード領にて裁きを行う。爆発についてはこちらのしたことではない。こやつらが勝手にしたことだ。目撃者も多数いる。では証拠隠滅を図られるとやっかいなんで失礼する」
といって去って行った。




