本当にあった怖い悪役令嬢
学園の大ホール、そこで行われている卒業パーティでその惨劇は起こった。
第二王子サワーが宣言した。
「ティスト公爵家令嬢サディよ、お前の男爵令嬢ラビへの悪逆非道もう我慢ならん。
婚約を破棄し、そして追放とする!!」
扇で口元を隠しながらサディが返答する。
「私はまだラビさんへは何もやっていませんが?うふふふ」
「ラビから聞いたぞ!!」
「何をお聞きしたのですか?」
「まずお前は、ラビに辛辣な言葉を浴びせ続けたというではないか!!」
「いいえ、全く覚えがありません。」
「覚えがないだと、ラビは辛いと言って毎日私に泣きついてきていたのだぞ!!」
「ええやっていませんし、その証拠もありますわよ」
「証拠なんてでっち上げだろう!!」
「そうですわねぇ。はいそこの王子の取り巻き一号さん。」
「俺は取り巻きではない。」
「はいはい、それはいいですからお耳を数分ほどお貸しいただけますか?」
「それが証拠になるとでもいうのか?」
「はい、30秒ほどいただければ、わかりますわ。」
サディの元に宰相の次男が近づき、そしてサディが耳元で囁く。
囁き終わった瞬間、宰相の息子の顔色が紫になり、そして泡を吹いて倒れる。
「お前は何をした!!魔法を使ったのか!!」
「この会場では、テロ対策で魔法を使えなくする結界があるのをご存知ですわよね」
「ああ。」
「つまりこれは、私のちょっとした囁きで精神が崩壊しただけですわ。」
「え?」
「まったく某伯爵家令嬢でも、会場から遁走しトラウマで家からでれなくなる程度で済んだのに、
精神崩壊を起こし倒れるとは情けないですわ」
「え?まさか例のパーティの際に伯爵家令嬢が異常な行動を起こしたのは?」
「ちょっと囁いてあげただけですわ」
「な…ならラビの教科書を破って捨てた件はどうだ!!ほらこの通り破られているぞ」
王子は複数のページが破られた教科書を持ち出した。
「見せていただけますか?」
「ああ、いいぞ、この場で隠匿もできないだろうしな」
王子から破れた教科書を受け取ると、ページを破くのではなく
二つ折りにしたと思うと、二つ折りにした状態で真っ二つに破って捨てた。
「私が破くならこんな一部のページを破って捨てるなんてことをせずにこうしますわ。」
「…で…では、ドレスにワインをかけて汚した件はどうだ!!」
「そこの取り巻きの男爵家の次男坊さんこっちに来ていただけますか?」
「俺には、アレスという立派な名前がある。それでなんだ?」
「はいどうぞ」
彼女は、手に持ったワインに指を浸すとそのワインをアレスにかけた。
「ギャーい…痛い…た…助けて!!」
かかった部分から白い煙が出てそこの皮膚や肉が溶け落ちている。
「私がかけたならこうなりますけど?」
「え?」
「私の家は暗部を司っているのはご存知ですわね?私の手は毒手となっていて
専用の手袋をつけてない限り、触れたものが全て猛毒になりますので、フフフ」
「…」
「他に何かありますの?」
「え…えっとそ…そうだ、お前はラビを階段から突き落とそうとしただろう。」
「本当ですか、それではそこの…」
王子の取り巻きは全て逃げ出した。
残ったのは王子とラビのみ。
「ちょっと気分が悪いので…」
ラビは逃げ出そうとした。しかし公爵令嬢からは逃げられない。
「私が突き落としたならこうですわ。」
サディは、ラビの肩を持って少し押した。
するとラビはそのまま空を飛んで会場の壁にめり込んだ。
「あら?少し力がが強すぎたようですわね。ウフフフ」
「…」
「他に何かありますか?」
「なんでお前みたいな化け物が、俺の婚約者なのだ?」
「え?もしかして王子は忘れたのですか?」
「?」
「私は護衛兼対ハニートラップ向けの虫除けですわ」
「え?」
「なので王子が本気で結婚したい相手がいたら、連絡をいただければすぐに身を引くことに
なってましたが?」
「え?え?え?」
「とりあえず、隣国の仕込んだ男爵令嬢とそれに騙されて国益に
反する行為をしたお二方は排除させていただきましたわ。」
「ちょ…ちょっとまて?隣国が仕込んだ?」
「ええ、彼女はハニートラップですが何か?」
「…」
「あーあと婚約破棄は受け付けますわ。流石にここまで護衛対象がダメだと守りきれませんし
そもそも廃嫡される方に護衛は不要でしょうし」
「ま・・・待て俺が廃嫡?」
「はい、この場でバカな行動をした場合、即廃嫡と決まっておりました。」
「えっと・・・今のは冗談で・・・」
「王族たるものにそんなことは許されません。それではさようなら」
そして第二王子は廃嫡された。
がんばれ公爵令嬢!!
次の第三王子も同じような屑だぞ!!
まともな第5王子に継承権が移るまで
戦え公爵令嬢!!負けるな公爵令嬢
つまりすでに第一王子は・・・