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スキル「ゴミ」いや、マジで (書籍化決定)  作者: 新川さとし
第8章 西の漫遊編

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第1話 かいじん現る

 後世の歴史作家、サトウ・フィールド=シチミは「サスティナブルの物語」を完結させた後、不思議な本を出した。初代皇帝を崇める人々に膝を打って迎えられ、特に時代劇ファンから「早くドラマ化してくれ」という声が多数出された本だ。


 しかしながら、多くの資料や専門家の見解を基に編まれた「サスティナブルの物語」全巻を買いそろえた真面目な読者には不評だった。


「あまりにも、作りものくさい」


 と拒否反応。


 そのタイトルは――


『ショウ皇帝・漫遊記――西部の流れ者となって――』


 この本を信じるも、信じないも読者に委ねられている。


・・・・・・・・・


 大国が興る時期には、伝説や逸話というものが必ず生まれる。

 特に初代皇帝ショウにまつわる噂の数は桁違いで、そのどれもが“アンビリバボー”で溢れている。


 おかげで私の本も売れに売れ、ついに十五巻を――いや、それはさておき。


 歴史家たちが「これはさすがに作りすぎだ」として無視した説がある。


 ショウ皇帝が、いつものお供であるアテナとカイを連れ、統一前の西辺境地を“世直しの旅”として巡っていた――という伝説だ。


 物書きである私も「いやいや、そんな出来すぎた話……」と思っていた。ところが現地で調査を重ねると、どうにも“それらしい痕跡”が点々と残っているではないか。


これこそまさに――


「あったらいいな」の物語。


本書では、歴史家ではなく小説家サトウとして、みなさんに語っていきたい。




・・・・・・・・・




 ……未来のラノベ作者あたりが、書いてくれないかなぁ。


「ショウの大冒険」って話。


 ケケっと笑うオレを、アテナが細い指でツンツンツン。


「ボクはどんなことでも文句は言わないつもりでしたけど、さすがに、このマスクの趣味だけは、ちょっと……」


 オレと同じ衣装――骸骨を模した黒マスクを被り、全身黒タイツ姿――のアテナの小さな苦情。


 なんでも従順すぎるほどに従順な、最凶の……じゃなかった最強の美少女剣士が、久し振りに嘆いて見せたのだ。


 ご褒美感が満点である。……後ろからの「生温かい目」は無視しておこう。


「ほら、このあたりは田舎だろ? こういうのしか手に入らなかったからさ」


 ここは、コフ盆地から西へと山を越えた場所。シーランダー王国では「西辺境地」と呼ばれている。ひと言で言えば「ド田舎」だ。


「ホントですかぁ~? ショウ様だけでも、もっとマシなのがあったんじゃ?」


 ジト目のアテナは珍しい。なんでも「さすショウ」になっちゃう美少女に、呆れた顔をされるのは、何となく楽しくなるよね。ま、見えているのは目だけだけどさ。


『アテナはやっぱり理解しているね。この衣装はスキル・ゴミで出した、前世の特撮モノの怪人の衣装だもん』


 あまりに不人気でワンクール打ち切り。大量の衣装が余ったって話をネットで見たんだ。


 これはその一枚。オレとアテナが着ているのは、戦闘員の衣装ってわけ。


 オレの能力は知っているから「どうせ出すならカッコイイヤツにすれば良いのに」と思っているんだよ。しかも、アテナの不満は、自分が被らされるからじゃない。


「ショウ様が、こんなマスクを被るなんて」


 これなんだよね。うーん、可愛い。


「ま、それは次回までに考えようか。ほら、見て。侵入するよ」


 山から、ようやく平地になった場所にある村は、ほそぼそと農業を営む50戸ほど。外れにあるのは、大きさから言って村長あたりの家なのだろう。今しも、そこに侵入を図る男達。


「ホントに怪しいヤツらって、あんな感じだから、かえって怪しくないさ」

「もう~」


 マスクの下の唇が尖ってるのが見えてるよ。

 

 とまあ、イチャイチャしているように見えるだろうけど、黄昏時に紛れて、その家に侵入しようとしている男達を見張っていたんだ。


「入りますね」

「いー ……ね」(いや、この発音は気分だよ、気分。意味はないからね!)


 オレの不思議な発音に、ちーさく首を捻りつつも、沈黙しているのはカイだ。


 騎馬中隊を一人で殲滅する「黒槍のカイ」は、いつものようにシブく、寡黙に控えている。ただし、今日は「恐怖・ハマグリ男」のかぶり物付き。


 本人は不満も文句も言わないが、戦闘に入れば一切の遊びはない


 え? いや、そりゃ、少しは遊ばないとダメでしょと思いつつ、中で争っている感じを察知する。


 始まったか。


 ノンビリし過ぎるのはダメだよね。


「カイ」

「ハッ」

「血を流さない」


 相手は、たった三人。しかも、侵入する時の動きから、能力はお察しだ。


 カイには散歩みたいなものさ。


「お待ちを」


 頭を下げたかと思うと、足音もない動き。


 ハマグリ頭が、風のような速さで音も無く走る姿は、まるで特撮の改造人間だ。

いや、カイならCGなしで再現できるんだけど。


 アテナと手を繋いだオレは、カイを見送りながらそんなことを考えていたんだ。 


 あ、ちなみに、この作戦は「ショウ様が私と絶対に離れないなら」という約束で実施している。だから「殺陣(たて)」には参加できないんだよ。


「さあ~て、そろそろ行きますか」


 オレたちが歩く後ろには、怪しげな女幹部姿の美女も、ちゃーんといるからね。


 え? 誰かって?


 そりゃあドラマなら「情報役の女忍者」がいないと進まないじゃん!


 オレたちが西辺境地に潜入したら、いつのまにか同行していたんだもん。さすが裏組織(ファントム)の長だよね。


 あ、入浴シーンは無しだから…… たぶん。


ショウ君が「そろそろ、オレにも何かさせろ」と暴れ出しかねないので、登場してもらいました。新章です。もちろん、忍者役は、変装の得意なあの方です。

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